男女雇用機会均等法が施行されて28年。男女間の賃金格差・資格など、女性がいまだ低い地位に追いやられているという状況を鑑み、実効力のある男女平等法に変えていきたいという趣旨で、5月8日、参議院議員会館において院内集会が行われた。
冒頭、集会に参加した民主党林久美子議員、社民党福島瑞穂議員より挨拶があった。林議員は「男性と女性が均等に働けて評価される社会をつくっていきたい」と述べ、最近話題になっている女性手帳には違和感があるとした。続いて福島議員は、「今回の(均等法)改正は大きなものとなるように国会でも声をあげていきたい」と述べ、限定正社員の構想において、「待遇が悪いことの正当化につながる」として警鐘を鳴らした。
次に、早稲田大学の浅倉むつ子氏が均等法改正のポイントについて解説。均等法は1985年に制定され、97年、2006年と2度の改正を経てきた。浅倉氏は、85年の均等法は労使の激しい対立の中から成立した妥協の産物であり、その後、諸外国の法律と比べ、遜色のないものにしようという法改正への動きがあったと説明した。今回は3度目の改正にあたるが、法律の改正にまで至るかどうかはまだ不明確であり、危機的な状況であるとした。
他方、雇用均等分科会審議における論議として労働者側の委員による審議報告や、労働現場からの実態報告があった。報告によれば、機会は均等になったかもしれないが、ワーキングプアの増加なども相まって、格差は拡大しているという。1988年、99年、2012年の女性の年齢別雇用形態別推移を比較すると、88年に250万人以上であった正社員数が99年には200万人以下に低下、2012年には100万人程度の規模になってしまっているとの指摘があった。
最後に、集会を共催した「均等待遇アクション21」の事務局より、育休3年延長の問題が指摘された。
「この問題は女性手帳と同じで、30代の女性は仕事をせずに子どもを産め、1人ではなく、2人、3人産めと、今の政府は言っている」。育休を取得して継続就業した人の数は増えているが、育休を取らずに継続就業した人の数は減っていることから、「均等法は女性の継続就業には何の役にも立っていなかった」。さらに、厚労省は男性の育児休業の取得率を上げるために、5日から育休期間としてカウントしていることなども明らかにし、政府・行政の姿勢を厳しく批判した。
同じく共催の「日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)」からは、「働く環境を考えることは、働いている女性だけでなく、すべての女性に関わること」であるとし、「私たち自身の問題として考えていきたい」とまとめ、会を締めくくった。