東京電力 緊急記者会見(22:30) 2011.12.8

記事公開日:2011.12.8取材地: テキスト
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 2011年12月8日(木)、22:30から東電本社で緊急記者会見が開催された。

 福島第一原子力発電所1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に関する経済産業省原子力安全・保安院への報告について(その2)、保安院へ報告した。

 原子炉格納容器、燃料の取り出し、乾式キャスクなどについての報告書を提出、内容について説明した。

  • 日時 2011年12月8日(木)
  • 場所 東京電力本社(東京都千代田区)

映像記録なし

【冒頭説明】

 東京電力福島第一原子力発電所1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に関する経済産業省原子力安全・保安院への報告について(その2) の緊急記者会見が行われた。

 保安院から受けている指示文書の要求項目中、原子炉格納容器、燃料の取り出し、乾式キャスクなどのについての報告書を提出した。まだ報告していない部分は、放射線防護と管理、リスク低減や液体廃棄物の関連である。

 報告書本体は配布済みで、ネットWebにも掲載した。主には内容は以下の通り。

2章 固体廃棄物の管理、
3章 燃料取り出し、
4章 燃料共用プール、
5章 乾式キャスクなどの保管など
6章 格納容器とガス管理システム、監視、

 設備全体の状況や運用や非常時の対処を掲載格納容器、ガス管理システム。説明の通り内部ガスを抽出して排気するものを記載しており、2号の先般での希ガス等の検出が追加した。

 構成図ではどの号機も除湿装置を経由してフィルター・ファンを通じて屋外に。排気する。仕様は11項から。

 プラントの状態について、1号は本日から試運転を開始し、モニターとフィルター表面、希ガスモニターなどが、2号の設置時の経験から、最初から設置している。

全体の工程について

1号 現在試運転で順調に運用可能であれば本格運用。
2号 現在放射線モニターなどが月末に設置、希ガスモニターも同様。この間は生ガスサンプリングなどで希ガスを監視する
3号 建屋1階の線量の問題があり工事の関係で2月には完了する。

異常時の措置について

 格納容器ガス管理システムは、サンプリングの後、外気圧より下げることで原子炉建屋上部に抜ける放射性物質を削減する構成となっており、監視手段の一つ。すみやかに再開させる

 耐熱故障は基本的には二重系。電源喪失時でも、バックアップなどから受電する。排気ファンは上流側であるので直接の漏洩はない。

運転状態について

 パラメータの確認で早期発見が出来る。

 水素酸素濃度は出口で監視しており、可燃限界(水素3%,酸素4%)に近づいた場合には、窒素増加や隔離などの措置を講じる

 複数の系統が同時に機能した場合、直ちに冷却には支障はない。この他耐震設計などの評価を実施しており、安全クラスはCである。

格納容器ガス管理システムからの設備放出容量について。

 フィルターで含まれるセシウムなどが吸着するがキセノンなどはそのまま出る。添付の放出放射能量の影響を記載したが、希ガスの評価のこれまでの結果では、年間0.12マイクロであるので敷地境界の線量限度より十分に小さい。

監視の項目について

 冷却状態と不活性維持など。温度圧力などの項目ごとに監視する。ポイントは63項から計器の仕様など掲載しているところ。未臨界の維持している。2号機で発見したキセノン135についても新規した。

 3号機については希ガスモニターを新規に設置する

続いて放射性固体廃棄物の管理について

 貯蔵庫に既に固体廃棄物などを管理している。今後の汚染瓦礫、使用済み保護衣、伐採木など。2-9項の事故後の保管量、2万8千立法で容器922個。伐採木は5万8千立米保管。

固体廃棄物について

 今月中を目処に健全性を確認の上復旧方法を検討する。瓦礫は表面線量で部類分けする。100マイクロが基準で保管し、線量に応じた保管の管理を行う

燃料の取り出しについて

 いわゆる基本的には燃料取扱装置の復旧と新設、輸送用容器の確保などの3項目、設備の設計方針を記載。今後具体的に設計を進める。

がれき撤去について

 基本的には設備撤去の安全性確認以降に撤去を進める。瓦礫による災害などを防止するのが重要。特に実施中の使用済み燃料プールの表面養生を4号で実施し、万一の際の落下を防ぐ目的。

 また難しい所も、既に検討しており、崩れかけている外壁を切断すると一気に崩れるので壁を解体後に梁を解体する。壁全体の崩壊の危険性があるのでつかんだ上での作業を検討しており、基本的にはランウェイガーター、クレーンガーターという順序になる。

使用済み燃料プールについて

 まず報告書の内容は放射性液体廃棄物、管理などを除く。液体廃棄物は検討を進めてまとめる

【質疑応答】

○当初盛り込む予定だったものがなかったと。どういう判断なのか。また社内の検討がまだとのことだが海洋の放出という選択を断念ということなのかまだ結論が出てないということなのか

●「本日の報告について、処理後の水などのは意見も漁連など関係箇所のものを含めて方向性について決まってないので外した。従って現時点では海洋放出には意思決定が出来てない。検討を進める」

○全漁連に配慮して盛り込んでないということか

●「その他の関係箇所からの意見があるのでもう少し検討が必要だということ」

○今回の先送りで、3月にはタンクが満タンになる。改めてまとめる時期はいつになるのか

●「水処理計画のシミュレーションでは3月には満タンになるが、それはタンク増設の現状の範囲であり、(タンクを増設する)時間的な余裕はある。従って早急に意思決定の案件ではあるが少し時間を頂きたい。決定時期は未定」

○他にはタンク増設になるのか

●「大きな方針はあくまでも再利用保管。出来るだけ注水に使う他は淡水として活用。それでも余り場合には増設や56号のような散水が考えられる」

○元々は海洋放出は盛り込まれていたということか

●「今回は施設運営計画として3年程度の方針をまとめていた。その中の一つとして管理がある。液体廃棄物が生じる中で何らかの方針が必要、で濃度限度以下の放出はありうると考えている。

 (本文)4章の共用プールは、被害として水が侵入して使えない状況のほか、天井クレーンの破損等があり、点検後に設備稼動する予定。

 大きな課題は使用済み燃料の取り出しである。先ず共用プールに移動してから点検後、取り出しを先行する。基本的には来年上半期に天井クレーンの点検復旧や、燃料取扱装置、キャスク点検を実施する時に、
同時に冷却浄化系などを復旧する。設備の電源の多重性への増強なども実施する計画である。

 異常時の措置として記載している大きな点は、燃料集合体の落下対策。誤って落とす状況が想定されるが、共用プールの燃料は燃焼済みであるので破損があっても大きな影響はないと判断している

 共用プールの冷却機能の喪失や、冷却できないことを想定すると、水が蒸発し、有効燃料上部2mに達するまで30日かかる。その期間内に復旧するシステムになっている。万一の燃料プールの水位が下がった場合にもプールの線量は4mSvなどになるので線量的には作業は可能だと考えている。

 乾式キャスクなどについて。津波と今後の燃料取り出しのためにキャスク置き場を確保する。必要設計は既にあるので踏襲し、場所は免震重要棟のOP39700のグランドに、既存と新規(中型8基、大型3基)を含め全部で20基設置する。キャスク建屋の電源を4月までに終了させ、エリア確保を実施して来年下半期に取り出し実施予定。

 監視室と制御室。一つは免震重要棟の集中監視室とシールド監視室。そのものに人は入れるが、放射線の問題からカメラでの遠隔監視記録を実施している。シールド中層も線量が高く、遮蔽のためにシールドが必要。

 遮蔽や電源構成や火災対策について、免震重要棟では96基のカメラで遠隔監視し、電源については多重化している。

 廃スラッジ保管設備についてはまだ建設中であるので必要に応じて構築する。以上が報告書の内容」

○先ほどと重複、海洋放出の検討はまだだというが、逆に言うと決断する時期の目安はどのように決めるのか

●「決断の必要はある。施設運営計画を出す必要。運用方針の決定が必要。まずは計画検討とあわせ処理後の検討は進めている」

○タンクの増設について、漁業関連者は基準値の問題ではなく、放出することが風評被害だと考えている。循環注水システムで出さないというのにまた言い出すのが問題だ。このような自体はタンク増設が資金面か物理的な問題なのか

●「いわゆるタンクを作り続けるのは未来永劫は無理。従っていずれかのタイミングではその判断が必要。先の見通しが必要になる。まだ見えないので先行して検討している」

○タンクがいっぱいになってもか

●「敷地全体ではまだいわゆる森林などを用いてスペースはある。ただ今後の発生する瓦礫の置き場などもあるのでそれらを勘案すると全体を埋め尽くすのは無理だと考えている」

○廃炉に関連する。国が責任を持つとのことなので出さないと姿勢で示すべき。国の責任として泣きつくのはまずいが事実上そうなると

●「一義的には事業者の責任。必要な政府の支援はお願いしたい」

○プールの燃料取り出し後の共用プールに移す時期の目処は

●「目処は2年以内の燃料取り出しと考えている。出発点はステップ2終了から2年以内に」

○今回の海洋放出の検討と同時のタンクの増設など、それは海洋放出がダメな場合か同時なのか

●「同時並行。今言っているのは半永久的な増設は難しいので必要に応じて増設もある」

○そのような場合にはある程度の方向性を示すのか

●「施設運営計画には放射性物質の管理があるので記載されると」

○施設運営計画以降の先送りの可能性はあるのか

●「3年程度の方針を載せるので先についても記載する。保安院とは、まだ情報交換はしているが指示はない」

○今回の海洋放出の除外は関連団体に伝えているのか

●「確認する。提出が9時過ぎであるので前後で関係機関での状況を確認する」

○海洋放出について理解する場は設けるのか

●「濃度限度以下だから大丈夫という理屈でないと丁寧に説明した。海洋放出の方針は、選択としてまだ決まってはない。今後あるかどうか、現在未報告の内容で記載する必要がある。
処理済み滞留水の取り扱いについては様々な機関からご意見があるので最終検討としている」

○共用プールについて、報告書の試算による発熱量では燃料が残る計算に見える。追加して入れるように見える。また2年程度の件も計算が合わないのではないか

●「まず10項の表、26年初頭で34号から燃料が共用プールで熱量0.7メガワット加算。12号から28年度初頭として崩壊熱評価。一方既存燃料は24年度末には取出し、崩壊熱は徐々に減る」

○時間ではなく取り出しによって減っているということか

●「そうです。相当年代がたっているので取り出しで減少する」

○敷地内が苦しいのであれば敷地拡張の形でプールを設置する要望などはないのか

●「要望についてはまだ発電所敷地内で賄う。(拡張は可能か)可能性は不可能ではない。運営計画の連絡、全漁連など関連団体には伝達済み。」

●「訂正。10項崩壊熱、取り出しは考慮してない。ずっとあるとして貯蔵を上回る燃料ということで計算している」

○ということは実際には合算した崩壊熱だがそうはならないということか

●「小さくなる(そのままだと容量が足りないと)そうなる」

 以上

福島第一原子力発電所1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に関する経済産業省原子力安全・保安院への報告について(その2)平成23年12月8日

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