「被曝後のこれからを考える『あなたはどう生きますか?』」 2013.4.13

記事公開日:2013.4.13取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・阿部玲/奥松)

 2013年4月13日(土)14時30分より、福島県いわき市の総合保健福祉センターで、おしどりマコ氏講演会「被曝後のこれからを考える『あなたはどう生きますか?』」が開かれた。 東京電力の記者会見や現地取材に積極的に足を運ぶマコ氏が、独自に入手した情報などを報告、放射能対策で心労が絶えない母親たちにエールを送った。

■Ustream録画(14:44~ 2時間0分)
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 主催者挨拶の後、いわきの初期被曝を追及するママの会から、「これ以上、被曝をさせないための対策を市に要望しているのだが、相変わらず『国に従う』『国に求めていく』などの返答ばかりだ」と、対応状況の報告があった。そして、「このような活動をすること自体、身内などから『世間体が悪い』と批判され、子どもを守ろうとする母親たちの大きな壁になっている。この問題は、母親だけでなく、未来をつなぐための、大人たち一人ひとりの責任である」と訴え、広く協力を要請した。

 マコ氏は、本業の漫才ユニットの相方であり、夫でもあるケン氏と共に登壇した。鳥取大学医学部生命科学科を中退した自身のプロフィールを紹介し、芸人でありながら、被曝問題や原発の問題に注力するようになったきっかけを語った。かつて、師匠から「芸人は国のために喋ってはいけない。目の前のお客さんの幸せのために、喋らなくてはいけない」と教えられた経験から、3.11以降、真実が報道されなくなった日本において、「自分が正々堂々と仕事をしたいから、真実を調べたくなった。ジャーナリズムの世界に入っていったことは、自然な流れだった」と話した。

 福島第一原発の状況については、自らが現場の作業員や専門家から直接入手した情報を報告した。「汚染水処理の実態は、東京電力いわく、『とても汚い水を、汚い水に変えている作業』だという。記者会見で『雰囲気線量が毎時0.2ミリシーベルト』などという話をよく聞くが、雰囲気線量とは、作業員のだいたい胸の辺りの線量がどのくらいか、という数値であり、汚染水そのものの値ではない。汚染水の表面線量がいくつなのか尋ねたら、『漏えいした付近では、毎時28ミリシーベルト』という答えだった。しかし、それも、土にしみ染み込んで拡散した状態での毎時28ミリシーベルト。元々の汚染水の数値を、知り合いの作業員に直接聞いたところ、毎時2000ミリシーベルトということだった」ど、曖昧にされがちな実態を明らかにした。一方、「胸にぶら下げた線量計の値が雰囲気線量ということになっているが、手は、もっと汚染源に近い所で被曝している。そちらの線量がどうなっているかが重要だ」と、作業員の被曝を気遣った。

 また、マコ氏は「汚染水問題ばかりが報道されるが、1~4号機をどうやって廃炉に持っていくかの方が遥かに困難、という現場の声が多い」と述べた。「東京電力自ら、『現在も、総量で毎時1000万ベクレルが放出されており、これは低減しない』と発表している。ある東大教授は『2号機は中がどうなっているか、まったく想像がつかない』と言う。1、3、4号機は、いざとなったら決死隊が入れるが、2号機は線量が高過ぎて、近づくだけで死に至るほどだ」と語った上で、「今後、大きな地震、もしくは何らかのアクシデントで、放射性物質が大量放出される事態になった場合、住民がどこに集合して、どうやって逃げるか、といった準備体制が必要だ。しかし、行政はまったく動いていない」と、対策の不備を問題視した。

 被曝問題については、「福島県の第10回県民健康管理調査検討委員会では、30%の子どもが、リンパ球、白血球、好中球の数値が基準より低かった。だが、おそらく県は把握しているはずなのに、被曝線量と健康被害を対応させたデータを公表しない。公表するかどうかを『検討する』とだけ答えている。被曝線量の評価と、健康調査の結果をクロスさせないのが、県民健康管理調査の黒いところだ」と不信感を示した。

 最後に、マコ氏は「いろいろ面倒な問題ばかりだが、皆さん一人ひとりが動きだせば、行政側も対応せざるを得なくなる。それは、自分の人生のためであり、子どものため、未来のため、毎日のためである」と、母親たちに励ましの言葉を贈った。

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