イラク戦争から10年、劣化ウラン弾の影響か?先天異常の新生児が3年間で1,000人以上 ~高遠菜穂子氏報告会「イラク戦争から10年、子どもたちの未来が奪われている。イラク・ファルージャ調査報告会」 2013.4.11

記事公開日:2013.4.11取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎまき)

特集 中東
※ 全文文字起こしを会員ページに掲載しました(2014年6月26日)
※ 残酷で刺激の強い内容が含まれているため、動画は会員ページのみに掲載しました。

 2004年4月、イラク戦争開戦の翌年、自衛隊のイラク撤退を要求する武装勢力によって拘束された高遠菜穂子さん。釈放後も、拠点をヨルダンに移し、イラク支援活動を続けてきた。2013年1月、特定非営利活動法人、ヒューマンライツナウと共同で「イラクチーム」を結成し、現地の医療状況と子どもたちの健康調査を行うため、イラク・ファルージャに一ヶ月間滞在。2013年4月11日、その報告会を行った。

  • 主催 特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)、青山学院大学人権研究会

 当時、武装勢力の拠点となっていたファルージャは、2004年の4月と11月に、米軍による大規模な掃討作戦が展開された。この間の死者や行方不明者は9,000人以上と言われ、激戦地の傷跡は深い。現地の医師たちが子どもたちの異常に気づいたのは2006年頃。2009年からのデータによると、ファルージャ総合病院だけで、3年間で1,000人を超える先天異常の子どもが誕生している。その発症率は14.4%と異常な高さだが、「軽度のケースはデータから漏れている。14.4%では済まないのではないか」と高遠さんは指摘する。

 生まれつき心臓や腸が体外に出てしまっている赤ん坊、肛門のない鎖肛、足が外側に向いてしまっている外反足、頭に大きなコブができる脳にゅうなど、重篤なケースも多い。現地の医師は、先天異常を持った子どもの25の家族から毛髪を収集し、調査。全てからウラン、それも濃縮ウランなどの化学汚染物質が検出された。しかし、米軍は劣化ウラン弾の使用は認めていない。それを裏付ける十分な証拠はないからだ。

 戦時中は爆撃から逃れることで精一杯で、防護策を取る余裕はない。イラクでは一般市民はもちろん、医師の被ばくの知識は乏しいという。ガイガーカウンターの存在も知らない人がほとんど。「当時、飛散した劣化ウラン弾の微粒子を吸入し、汚染された土壌からとれた野菜を摂取した。食品測定の概念すらないまま、未だに無防備な状態で、内部被ばくにさらされている」と高遠さんは語った。

 ヒューマンライツ・ナウの伊藤さんは、「福島にはすでに国連の調査団が来日した。しかし、イラクでは10年が経った今でもこれだけの健康被害が出ているにもかかわらず、調査団が派遣されていない。イラク人の命がいかに軽視されているのかを感じる」と訴えた。

 「イラクチーム」は近日中に、ファルージャでの高遠さんの調査を報告書にまとめ、国連やWHOに調査を要請する予定だ。

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