武田邦彦氏(中部大学教授)講演会 2013.3.28

記事公開日:2013.3.28取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/澤邉)

 2013年3月28日(木)18時30分より、福島県郡山市の郡山市労働福祉会館で「武田邦彦氏(中部大学教授)講演会」が行われた。

 武田氏は、福島第一原発4号機の使用済み核燃料について、「物理的な計算をした結果、燃料プールが倒壊しても、危険な状態にはならない」と述べた。

■Ustream録画(18:29~ 2時間0分)

  • 日時 2013年3月28日(木)18:30~
  • 場所 郡山市労働福祉会館(福島県郡山市)
  • 主催 3a郡山(告知

 武田氏は、原子力発電所の安全性に関する重要なポイントとして、「原子力発電所は事故が起こると人が近づけなくなる。だから、固有安全性が必要となる。事故が起こりかけたら、自動的に元に戻るなど、処理を自分でするということである。日本の原発は固有安全性を持っているといわれ続けてきたが、今になって考えると、実は持っていなかった。その間違った認識が、今度の事故につながった」と説明した。

 もうひとつの大切な安全性として、多重防御を挙げた。「原子力発電所には、停電した時のために副電源を準備してある。そして、副電源もだめになったら、自家発電の電源がある。自家発電がだめなら、バッテリーがある。というように、基本的に4種類の電源で多重防御されているはず。しかし福島だけでなく、現在の原発はすべて、多重防御の安全性を持っていない。固有安全性、多重防御の安全性、この2つが守られていれば、福島の爆発もなかった」。また、「事故調査委員会の報告もあったが、どれもこれも、議論が甘く、安全性や多重防御について極めて重要な議題をすべて外して、ベントを開けた、開けないなどという、安全の根本に関わらない問題だけを議論している」と批判した。

 現在の福島第一原発についての見解として、武田氏は「3月に、停電が起こり、多くの人が非常に心配したが、今の福島第一原発が停電したり、すぐそばで爆弾が爆発したりしても、郡山に被害が及ぶことは絶対にない。逃げる必要もない。その最も大きな根拠は、現在の福島第一原発の中にある放射性物質の量である。計算すると、爆発直後の3月15日から16日、放射性物質が飛来した頃に比べ、だいたい50分の1になったとされる。これは、計算上ほとんど間違いない。半減期の短い放射性物質が、ほとんどなくなってしまったためである。したがって、一昨年の3月のような状態にはならない」と説明した。また、4号機の使用済み燃料について、「1500本の使用済み燃料の問題は、専門家によって見解が違う。私が計算したところ、1500本の燃料がどういう形になっても、半径5キロから遠いところに影響が及ぶことはない。また、燃料棒が壊れてバラバラになって下に落ち、床の上に堆積した時に、核反応が始まるかどうか、熱がどれぐらい上がるかどうかという計算もした。私の計算では、4号機の燃料がどういう崩れ方をしても、まったく問題ない。何回も慎重に計算したが、危ないことはない」と述べた。

 被曝による健康被害ついては、「郡山に住んでいる人は、心配していると思う。法令では、年間積算放射線量は、内部被曝と外部被曝を合計して、1年間で1ミリシーベルトと決まっている。これを守ることが大切である」と話した。その上で、「身体に、具体的な障害が出る恐れがある基準は、今のところ1年に5ミリシーベルト以上ということになっている。その根拠は、1年に5ミリシーベルト以上を浴びて白血病になった場合に、労災が適用された判例があるということである。5ミリシーベルトの内訳は、自然放射線が1.5、医療放射線が2.2、核実験による放射線が0.3、原子力発電所による放射線が1.0である。これを守るためには、医療放射線を浴びないことである。被曝しなければ、健康被害の確率が下がる。一応の限度は5ミリシーベルト、そして、その中で被曝量を減らす努力をすることが結論となる」と述べた。

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