2013年3月27日(水)、北海道札幌市で、北海道電力の川合克彦社長の記者会見が開かれた。平成25年度の供給計画概略として、電力需要の見通し、整備計画、電力料金値上げについて報告した。
質疑応答では、泊原発の再稼働について、多くの質問が寄せられた。川合社長は、原子力規制委員会の7月発表予定の新安全基準に基づいて、泊原発の再稼働申請を、「可及的速やかに(行なう)」と表現。また、現在の経営状態に照らして、電気料金の値上げと再稼働の必要性を訴えたが、始終、具体的な回答を避け続けた。
(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)
2013年3月27日(水)、北海道札幌市で、北海道電力の川合克彦社長の記者会見が開かれた。平成25年度の供給計画概略として、電力需要の見通し、整備計画、電力料金値上げについて報告した。
質疑応答では、泊原発の再稼働について、多くの質問が寄せられた。川合社長は、原子力規制委員会の7月発表予定の新安全基準に基づいて、泊原発の再稼働申請を、「可及的速やかに(行なう)」と表現。また、現在の経営状態に照らして、電気料金の値上げと再稼働の必要性を訴えたが、始終、具体的な回答を避け続けた。
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川合克彦社長が、北海道電力の平成25年度の供給計画概略として、電力需要の見通し、整備計画、電力料金値上げについて説明した。まず、「平成25年度供給計画については、泊発電所の発電再開時期が不透明であることから、前回計画に引き続き、供給力は未定である。2013年度の販売電力量は、前年度の節電、自家発電の稼働増などで、対前年伸び率1.3%の316億キロワット毎時と想定している。中長期的には、人口減少、省エネ・節電による需要減の要素も見込まれるが、景気回復による業務用需要の増加などにより、2011年~2022年度の電力量は年平均伸び率0.6%を予想している。また、2013年度の最大電力は、対前年伸び率1.2%の531万キロワットと想定している」と、添付資料をもとに説明した。
続けて川合社長は、設備計画について報告をした。「燃料種の多様化を図り、将来的な電力の安定供給を確実なものとするため、石狩湾新港発電所(LNG火力160万キロワット級)を導入する。1号機(50万キロワット級)は、2019年2月に運転開始予定。また、性能の優れた純揚水の京極発電所は、1号機(20万キロワット)が2014年10月、2号機(20万キロワット)が2015年12月に、運転を開始する予定だ。緊急時をメインに活用してきた音別発電所は、京極発電所による代替が可能となることから、2015年12月に廃止する。なお、泊発電所の状況によっては、それらについては柔軟に対応する」などと述べた。
最後に、川合社長は電気料金の値上げについて説明した。「泊発電所は、現在、全基停止している。このため、火力燃料費が大幅に増加、経営努力などを施してきたが、平成24年度収支は、過去最大の損失を計上する見通しで、自己資本も大幅な減少が見込まれる。現在、原子力規制委員会が、新安全基準の策定を進めているが、泊発電所の発電再開は、わからない。このまま発電停止が続くと、自己資本の毀損が拡大、燃料や設備の保守・保全などに必要な資金の調達も困難となり、電力の安定供給にも支障をきたすおそれが生じる。平成24年度の経常損益は1280億円程度、当期純損益は1300億円ほどと算定、自己資本比率が9%まで落ち込む。いずれも過去最大の損益となる見通しだ」と、泊原発の運転停止が主要因であることをほのめかし、電気料金値上げの検討開始について報告し、質疑応答に移った。
「電気料金の値上げ幅には、泊原発再稼働を織り込んでいるのか。そして、その値上げのタイミングと再稼働との関連性はあるのか」という質問があり、川合社長は「国は、安全を確保できるなら、再稼働を許可するということなので、泊原発の再稼働は見込んでいる。ただ、値上げのタイミングやその幅などは、慎重に検討する」と答えた。この問題については、他の記者からも、言葉を換えて質問が寄せられたが、川合社長は始終、具体的な回答を避け続けた。また、減給や資産売却などの経営努力、再稼働申請の予定、活断層の有無についてなどの質問が続いたが、いずれも踏み込んだ回答はしなかった。最後に「電気料金を上げても原発を止めてほしい、という市民の声も聞くが、どう思うか」という質問が投げかけられた。川合社長は「福島第一原発事故などがあり、そういう考えの人もいるとは思うが、われわれにとっては今の経営状況を立て直すことが第一。原子炉もお金をかけて作った資産である。また、安倍総理は『安全性が確認されたものは動かす』と言っている。ご理解いただきたい」と応じた。