東京電力福島第一原発で18日午後6時57分ごろ、停電が発生し、セシウム吸着装置「キュリオン」、1,3,4号機の燃料貯蔵プール冷却装置、共用プール冷却装置など、計8つの装置が停止した。1号機プールには392体、3号機プールには566体、4号機プールには1533体、共用プールには6377体の使用済み核燃料が保管されている。燃料プールの水温は、最も高い4号機プールで19日午後4時30分には30度にまで上昇。東京電力は保安規定で定めた65度よりは低く、「冷却に問題はない」と説明した。
東電は約80名の体制で復旧作業に従事。19日12時にセシウム吸着装置「キュリオン」、14時20分に1号機プール冷却装置、19日17時に3号機冷却プール、19日22時26分に4号機冷却プール、20日0時12分に共用プールが順次復旧。停電により停止していたすべての設備が復旧を果たした。
20日10時から行われた会見で東京電力の尾野昌之原子力立地本部長代理は、停電の原因について「原因はこれから調査する」と語った。今回のトラブルは、トラックの上に設置されていた、3つの仮設配電盤(メタクラ=メタル・クラッド)に何らかの異常が発生したと見られている。
この日の会見で東京電力は、セシウム吸着装置「キュリオン」、3号機、4号機、共用プールに電気を供給している送電線「大熊線3L」から出ている送電系統「A系」と、1号機と免震重要棟に電気を供給している「大熊線4L」から出ている送電系統「B系」を、津波対策工事の関係で一時的に連結させていたことを明らかにした。そのため、「A系」で発生した異常が、凍結部から「B系」にも波及したことが考えられるのだという。
現在行われている「信頼性向上工事」が完了すれば、「A系」と「B系」をいったん切り離して交互に電力供給出来る仕組みが作られると東電側は説明した。
今回の停電トラブルをめぐっては、東電の広報体制についても記者から厳しい追及がされた。今回、東電は停電の発生から3時間以上経ってから報道各社にメールにて連絡を行った。また、福島県の関係自治体にはFAXを送信しただけだった。
本稿は3月20日午前10時から12時まで、2時間かけて行われた東電会見の内容の速報である。午後4時半からの会見の内容は、この後、順次お伝えする。(IWJ・平山茂樹)
■3月20日(水)10時からの会見で配布された資料