「3.11」から2年 ―― それぞれの「命を守る」ための闘い(「IWJ通信」3月9日号 巻頭言より) 2013.3.9

記事公開日:2013.3.9 テキスト
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(岩上安身)

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3.11から2年―。それぞれの「命を守る」ための闘い

 2011年3月11日の東日本大震災から、今年で2年。IWJでは、未だ途上にある被災地復興や被災者支援、先の見えない原子力政策などに焦点をあて、取材を重ねてきました。

 これらの集大成として、IWJでは「3.11特集」を組み、被災地の今復興に向けた今後の課題、そして日本の原子力政策のこれからについて、お届けしていきます。

 3月1日には、1997年から茨城県東海村で村長を務める、村上達也氏にインタビューを行い、多くの原子力関連施設を抱える村の首長としての、廃炉の問題、使用済み核燃料、汚染物質の問題について話をうかがいました。

 3月7日には、みどりの風の谷岡郁子代表にインタビューを行い、官僚機構によって未だ進まない、「子ども・被災者支援法」について、また復興予算やTPPについても、幅広く話をうかがいました。

 また、3月3日には、「希望の牧場・ふくしま」の吉澤正巳代表に、3月5日には震災の瓦礫をマウントにして、9千年続く本物の防潮堤を築こうと提唱している宮脇昭横浜国大名誉教授には、それぞれ録画でインタビューを行いました。丁寧に編集したものを、公開致します。被災地復興の今後の方向性や希望を見いだす、必見のインタビューです。

 これらのインタビューは、現在準備中の特集ページより見ることができます。そして、過去にIWJが取材してきた膨大な動画記事の中から「福島第一原発」「津波」「中間貯蔵施設・最終処分場」「原子力規制委員会」「健康被害」の分野にまとめ直し、掲載しました。あわせてご覧ください。

 また、この特集ページと並行して、IWJでは3月6日(水)より3月11日(月)まで、麻布十番の「パレットギャラリー」という小さな画廊で。「3.11ーーそれぞれの選択。福島の声。『百人百話』展」を開催しています。こちらもぜひ、お越しください。

「日米地位協定」から見える属国日本の姿

 日本国憲法よりも上位にあるとされる「日米地位協定」とは何か-孫崎享氏のベストセラー『戦後史の正体』に続くシリーズ第二弾、『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』とのコラボ企画として、IWJでは日米地位協定に関する取材を、特集として進めていきます。

 その第一弾として3月5日、『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』の著者、沖縄国際大学大学院教授の前泊博盛氏へインタビューを行いました。

 オスプレイの強行配備から普天間基地の辺野古への移設問題、さらには原発再稼働からTPP交渉参加まで、「日米地位協定」を切り口に、日米間に横たわるいくつもの政治的課題を幅広くうかがいました。

 3月後半には、私自身による沖縄現地取材も予定しています。前泊氏へのインタビューと、今後の「日米地位協定」に関する取材は、以下の特集ページをチェックしてください。さらに現在、『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』の40頁無料ダウンロードを実施中です。

 こちらもあわせて、ご覧ください。

「射殺せよ!」と叫ぶデモが吹き荒れたあとの街で

 2月17日、IWJは、新大久保で行われた、「竹島奪還デモ」を取材し、生中継を行いました。それは、これまでIWJが行なってきたデモ取材とはまるで様相が異なっていました。

 「竹島奪還」という政治的目的を謳ってはいる。しかし、シュプレヒコールやプラカードの中身は、領土問題の解決や主権の主張というよりも、在日韓国人・朝鮮人らに対する、極めて過激な「ヘイトスピーチ」でした。

 侮辱の表現をストレートに伝えることで、憎悪を煽り、対立をエスカレートさせるのではないか、という懸念、他方で、静観している既存メディアと同様、見て見ぬふりをしているうちに事態はどんどん悪化していくのではないか、という思い。IWJとして、この問題をどう伝えるかを考えたとき、我々はそこに決定的に欠けている「当事者の声」を聞く必要があることに気づきました。

 そこで、2月26日、IWJとして取材班を編成し、新大久保の街へ追加取材のために送り出しました。実際にヘイトスピーチの対象となった新大久保の在日韓国人の人たちは、あのデモに対し、どのような思いを抱いたのか、丁寧に聞き取るために。取材にあたったのは、原佑介、ぎぎまき、芹沢あんずの3名。

 若さゆえに在日コリアンの歴史も、日韓の歴史もよく知らない、ありていに言えば「無知」である3人が体当たりで「未知」とぶつかり、新鮮な目で事実を記述してゆくことこそ、ルポルタージュの原点であり、醍醐味であるとも思います。

 新大久保の街で100人に声を掛け、取材に応じてくれたのは20人。IWJでは、この取材の模様の一部をIWJブログとして公開しました。そして、ルポの全編を、メルマガで配信していく予定です。

岩上安身 拝

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