第26回大阪府市エネルギー戦略会議 2013.3.18

記事公開日:2013.3.18取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/澤邉)

 2013年3月18日(月)13時30分より、大阪市役所において「第26回大阪府市エネルギー戦略会議」が開かれた。同会議は、大阪府と大阪市というエネルギー消費圏の大都市としての立場から、国や電力業界などに脱原発の実現を働きかけるための具体案を練っている。

 今回の会合では、2017(平成29)年度までの5カ年計画に基づく工程表を、今年5月までに作成することを申し合わせた。工程表には、脱原発に伴って必要となる代替エネルギー確保や、それを促進していくための法整備に加え、脱原発に伴う廃炉作業をどのように行っていくかといった内容を明記する予定としている。

■全編動画
・1/2(13:26~ 2時間10分)

・2/2(15:38~ 16分間)

  • 出席者
    植田和弘会長(京都大学大学院経済学研究科教授)、古賀茂明副会長(元経済産業省大臣官房付)、河合弘之委員(さくら共同法律事務所弁護士)、佐藤暁委員(原子力コンサルタント)、高橋洋委員(株式会社富士通総研 経済研究所 主任研究員)、長尾年恭委員(東海大学 海洋研究所 地震予知研究センター長)、圓尾雅則委員(SMBC日興証券株式会社 マネージングディレクター)
    *古賀委員、河合委員はインターネットで参加
  • 日時 2013年3月18日(月)13:30〜
  • 場所 大阪市役所(大阪府大阪市)

 佐藤暁委員は、原子力規制委員会による新安全基準の設計基準地震動について説明した。佐藤委員は「設計基準地震動とは、原子炉建設の際の設計基準にする、一定期間内に発生する最大の地震のことで、アメリカでは10万年に1回、ヨーロッパでは1万年に1回起こり得る地震という基準を用いている。日本では2005年以降5カ所で、設計基準を超過する地震が起きているので、アメリカ、ヨーロッパが掲げている基準にまったく満たないことは明らかである」と現状について述べた。

 さらに「原子力規制委員会は、この基準を変えないで、原発のストレステストを行った。本来は、今までの基準を検証して、改善してから、ストレステストを実施すべきである」と、その対応を批判した。続けて、「地震、津波による事故の恐ろしさは、北は東通の原発から南は東海の原発まで、複数の原発が同時に緊急自動停止する可能性があること。また大災害と原子炉事故が併発することによって、予算、リソースの充当が分散、複雑化されるので、復旧活動が非常に遅れる。あるいは完全に不可能になる。瓦礫が放射能汚染されている可能性もあり、処理もできなくなる。そういう問題も今回の事故で学んだ」と述べ、新安全基準にはこれらを踏まえた対応が必要との認識を示した。

 高橋洋委員は、工程表の説明で「今回新しく記述しているのは、委員会で議論したことを整理して具体化した、基本方針の確立で、経済的脱原発をすぐに実施するということである」と話した。その内容について、「安全でなければ動かさない、万が一、事故が起きれば責任を負う、廃棄物の処理責任を持つ、ということを、普通の産業に準ずる形で課し、経済的に成り立たなければ稼働を容認しないということである。市長もこれに近い考え方を持っていると思う」と述べた。続けて、「経済的なことだけで稼働を決めていいのかという倫理的な話は、政治が意思決定をしないと、市場経済ではなじまないので、中央政府に対して提言することを考える」と述べた。

 さらに、「エネルギー問題については、しっかりとした国民的合意を確立する必要がある。そのために国民投票をする価値はあると考える」と述べた。最終的なエネルギー政策の方向性に関して、「国民的合意が確立できれば法律に落とし込む。1つはエネルギー転換の基本法で、これをもとに推進本部を作り、方向性を管理しつつ、数十年かけて進めていく。2つ目が放射性廃棄物の処理の問題。これがボトルネックになっているので、特措法を作り、合意形成を図っていく。3つ目は廃炉に関わる問題で、極めて重要な問題である。これら3つを束ねてエネルギー転換三法とすることを工程表で提案している」と説明した。

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