2013年3月17日(日)13時から、福島県塙町の塙町公民館において青木泰氏講演「塙町バイオマス発電と鮫川村焼却炉建設計画に見る『放射能ゴミの行方と私たちの未来』」が行われた。講演の中では、住民に対する十分な説明もないままに、建設計画を進めようとした行政の問題点や、バイオマス発電の実態などが語られた。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
2013年3月17日(日)13時から、福島県塙町の塙町公民館において青木泰氏講演「塙町バイオマス発電と鮫川村焼却炉建設計画に見る『放射能ゴミの行方と私たちの未来』」が行われた。講演の中では、住民に対する十分な説明もないままに、建設計画を進めようとした行政の問題点や、バイオマス発電の実態などが語られた。
はじめに、鮫川村焼却炉問題連絡会の北村孝至氏が、鮫川村青野地区の住民に対して、試験焼却の話が出ている鮫川村焼却炉建設計画の現状報告を行い、「鮫川村で、高濃度放射性廃棄物が燃やされることになれば、これを引き金に福島県全域が汚染されてしまう」と述べた。続いて、同連絡会の和田央子氏が、この計画における問題点を解説した。その中で、環境省が主体となり、放射性物質を含む農林業系副産物の焼却を推進しようとする動きを説明し、建設着工後まで住民に対する説明がなく、危険性の検証も不十分なまま、利益誘導的に計画を進めてきた環境省の対応を問題視した。
講演では、青木氏が、この建設計画を進める環境省について、「環境省は、生活ゴミを焼却するだけであり、問題はないと説明するが、福島第一原発事故によって、東日本全域が汚染されている現状がある。放射性物質が付着したものを燃やすことによって、何が起こるのか。燃やして安全であるのかという検証がされないまま、建設計画が進んだ点は大きな問題である」と指摘し、放射能汚染の影響について、知見を持たない環境省のあり方を問題視した。
続いて、発電効率がわずか10%とされるバイオマス発電の実態について、青木氏は「ゴミの絶対量を減らすことができるという話を口実に、巨額の補助金をつけて、全国の市区町村に焼却施設が作られてきた」と経緯を解説した上で、「バイオマス発電問題における利害関係は、施設を作ることそのものにある。しかし、建設費に1/2以下の補助金が出るだけであり、あとは民間企業の負担となり、どう考えても採算が合わない。バイオマス発電が、本当に日本の森林資源を再生させていくため、町興しのために、必要なのか考えなければいけない」と指摘した。また、バグフィルターを取り付けるから焼却しても問題はない、とする行政側の説明について、「放射性物質に熱を加えるとガスと微粒子に分かれる。ガスはフィルターで除去することはできない。バグフィルターを取り付けるから安全とする行政の解釈は、専門家から見ると笑いものである」と指摘した。
焼却炉メーカやゼネコンに根回しをし、地元住民抜きで建設計画が進められている現状を危惧する青木氏は、「バイオマス発電に代わる方法を考えなければいけない。今回、水源地が建設計画地となっている点も、環境問題の観点からすると考えられず、最終処分場の予定地も明らかになっていない。われわれは、環境省や行政の言うことについて、よく研究しないといけない」と語った。