2013年3月16日(土)18時より、大阪市中央区のエル・おおさかで「東京電力・国の刑事責任を問う闘いと 福島の人々のいま 佐藤和良氏講演」が行われた。25年間、原発の危険性を訴え続けてきた佐藤和良氏は、「原子力ムラの体質は変わっていない」とし、福島の原発事故から2年経った被災地の現状、国の対応の問題点を解説した。
2013年3月16日(土)18時より、大阪市中央区のエル・おおさかで「東京電力・国の刑事責任を問う闘いと 福島の人々のいま 佐藤和良氏講演」が行われた。25年間、原発の危険性を訴え続けてきた佐藤和良氏は、「原子力ムラの体質は変わっていない」とし、福島の原発事故から2年経った被災地の現状、国の対応の問題点を解説した。
■全編動画
※講演の終盤で録画が中断しております。何卒ご了承ください。
福島第二原発が立地する楢葉町に生まれた佐藤氏は、25年間、原発の危険性を訴え続けてきた。福島第一原発事故後、国民に対して情報を隠し、避難誘導もせず、未だに事故の状況を直視していない国、東電の姿勢を問題視し、「SPEEDIの情報隠しなど、原発を推進する国と、それに追従する県が一体となって情報を公開しなかったことで、福島県民の多くは初期被曝をした。また、汚染地域への県民の留置によって、さらに強制的に被曝させられている」と述べた。また、平安時代の貞観地震を例に挙げ、3.11の地震から、今後、各地で巨大な地震が誘発される可能性を指摘した。
佐藤氏は「原発事故が起きた根本原因には、国策の原発推進体制と、それに追従する立地町、原発安全神話、命よりも金を重視する原理がある」と話した。その上で、「事故から2年が経過した今もなお、原子力緊急事態宣言が解除されていない。福島第一原発から毎時1000万ベクレルが環境中に放出され、4号機の燃料プールには高濃度汚染水が溜まり続けている。原発で働く労働者の被曝管理体制はずさんである」と現状を説明した。
また、低線量被曝地域での居住を推奨する、政府と県の安全キャンペーンを疑問視し、「チェルノブイリでは年間5ミリシーベルト(以下mSv/y)を避難基準としているが、日本は20mSv/yを避難指示解除準備区域としている。日本は、未だに旧ソ連以下の事故対応だ。健康調査は、がんなどの疾病の未然予防を目的とせず、不安の解消に留まっている。被災者は、原子力ムラのモルモットのように扱われており、あまりにも非人道的である」と憤った。
続いて、佐藤氏は、避難自治体の存立の危機と住民との乖離、東電の損害賠償による分断と差別構造の持続、進まない住民の財物賠償、原子力ムラを支える1兆円の除染マネーの投入と不正除染の蔓延などの問題点を指摘した。
また、自身が関わる福島原発告訴団の活動を紹介し、「原子力ムラの体質は、あれだけの事故を起しても、まったく変わっていない。国民は、放射能の恐怖に晒され、自由で、健康で、文化的な生活を営む権利が脅かされている。原発の即時撤廃、事故の刑事責任の追求、疾病の未然予防のための県債体制の確立、保養休暇の制度化などを求めていく」と述べた。
質疑応答の中で、佐藤氏は、日本の原子力推進体制の中で、独立した検証機関が必要なことを訴えた。また、子ども・被災者支援法に代わる新たな被災者支援施策パッケージが、支援法とは似て非なるものである点を解説。支援対象地域を定めず、支援の基本方針、実施計画の作成を進めない国を批判し、この自民党案の支援施策パッケージが非常にトリッキーなものである点を指摘した。
また、参院選について、佐藤氏は「自民党が議席の過半数を占めれば、10年単位のスパンで戦争も視野に入ってくる、大変な選挙になる。自民党に代わる勢力がない現状があるが、候補者の人物像と主義主張を見定めて投票する必要がある」とした。