参院で問責決議案を突きつけられることとなった野田政権が、なりふりかまわぬ暴走を始めた。
明日(8月29日)、衆議院の外務委員会でACTAが採決にかけられることが、今日、衆議院の理事懇談会で決まった。問責決議のため、事実上、国会はストップし、野党が出席しないため、審議なしで採決される見通しだ。
自民、公明両党が提出した問責決議案が、明日、参議院で採決されることが明らかになってから、民主党は、衆議院の定数削減法案を、野党欠席のまま、単独で採決に踏み切るなど、昨日今日と、駆け込みで法案の採決を強行している。明日も、次々と法案の採決が行われる見通しだ。そのひとつがACTAなのである。
ACTAは海賊版や模造品の取り締まりに名を借りて、事実上、インターネットの言論規制へとつながるおそれのある、危険な国際条約である。Anti-Counterfeiting Trade Agreementの略称で、邦訳すると「偽造品の取引の防止に関する協定」という。多くの国会議員の理解は、「ネット上に氾濫する著作権違反のコンテンツ、著作物の海賊版を取り締まるための協定」という程度にとどまる。
条約の批准をすすめようとしている外務省の官僚は、この条約のはらむ問題性を目立たないように脇に置いて、国会議員に「ご説明」を行なってきた。その結果、7月31日に行われた参議院の外交防衛委員会では、ACTAは全会一致で可決された。
しかし、こんな無風状態で条約の批准が進んでいるのは、世界中を見渡しても、日本だけである。欧州では、今年の2月、250万人にもおよぶ大規模なACTA反対のデモが各地で行われた。参加した人々が掲げていたプラカードには、「HELLO DEMOCRACY GOODBYE ACTA!」と書かれていた。
欧州では今や、ACTAは民主主義の敵だと、広く一般に理解されているのだ。このデモが功を奏し、欧州議会では、ACTAの批准は、圧倒的多数の反対により否決された。
こうした状況下で、このACTAが、事実上のインターネット言論規制につながるということを、日本の国会議員としては、いち早く気づき、twitter上で警鐘を鳴らしたのが、新党きづなの斎藤やすのり衆議院議員である。
(続く)
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