福島第一原発港湾内のアイナメから51万ベクレル 過去最高値 2013.2.28

記事公開日:2013.2.28取材地: テキスト動画
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 東京電力は28日、福島第1原発港湾内で2月17日に採取したアイナメから、1キロあたり51万ベクレルの放射性セシウムが採取されたと発表した。事故後の東電による魚介類調査では最高の値。この日、高橋毅所長の記者会見の後、福島県楢葉町のJヴィレッジ内で行われた緊急ブリーフィングで発表された。

 この数値は、国が定める一般食品の基準値の5100倍に相当する。これまでの最大値は2012年12月に捕獲されたムラソイから検出された25万4000ベクレルで、今回はそれを大きく上回った。東電は28日、福島県漁連にこの結果を報告した。

■記者会見

  • 日時 2013年2月28日(木)
  • 場所 Jヴィレッジ(福島県楢葉町)

質疑応答の書き起こし

週刊金曜日「51万ベクレルというのは過去最大値ですか?」

東電「そうです」

フリーランス村上和巳氏「港湾内の魚類の分析結果なんですが、そもそも去年でしたか、魚類の駆除の計画を本店で説明された時、入り口の刺し網は船の航行には支障がないんだという説明がありました。つまり、網を置いたままでも船は上を航行できるという説明だったんですけれども、今のご説明ですと、網を除去するということですよね。それはどちらが正しいんでしょうか」

東電「基本的には通れるんですけれども、それを船長さんにお話したところ、『絶対に嫌だ』と。スクリューが絡んだりするという恐れがある限りは船は入れないとお断りいただきまして、私どもとしてはどけましょうということになりました」

村上氏「今は100%どけているということですか?」

東電「どけています」

村上氏「今回検出された51万ベクレルのアイナメですけども、この分析結果というのは、元々が体重200グラム以上のものからセレクトして検査にかけていると聞いていますが、今回の51万ベクレルのサンプルというのはだいたいどれくらいの重さのものだったのでしょうか」

東電「たぶん1キロくらいはあったかと思います。結構大きな魚だと聞いておりますので。確認してご連絡いたします」

週刊金曜日「アイナメですけど、目視で変形とかはありませんでしょうか」

東電「それはありません。目視での変形は今までも確認されておりません」

フリーランス豊田直己氏「51万ベクレルも24万ベクレルも、セシウム134と137の比率はほぼ同じですけれども、半減期から考えたら順調だと判断していらっしゃるんですか」

東電「セシウム137と134で半分になっていますので、事故以来2年経っているということから、おおよそこの数字は合っていると思っています」

豊田氏「ということは、新たに漏れでてはいないかな、とは思っている?」

東電「ちょっとそこは確認はできておりませんけども、この値から見れば、そういうことは言えるかと思います」

東電「港湾内の水も毎日サンプリングして、高い放射能の濃度の水は検出されていませんので、新たな水の放出はないと考えております」

フリーランス木野龍逸氏「今の51万ベクレルと、上のかご漁の27万7000ベクレル、これは今日初めての発表ということでよろしいですか」

東電「今日が初めてです」

木野氏「捕獲日から発表までの期間が1週間とか2週間かかっていると思うんですが、これはどういう検査体制で今やってらっしゃるんでしょうか。1F(福島第一原発)でやってるんですか」

東電「魚を獲ってまいりまして、福島第一でさばいて、環境管理棟の中で測定しているということです」

木野「セシウムの分析に2週間かかるのはどういう理由なんでしょうか」

東電「発表を月に2回というふうにしておりますので。(検査には)1週間とか10日くらいかかりますが」

木野氏「1週間もかかるんですか?」

東電「測定は1日ですが、データを確認したりとか」

木野氏「トリチウムについてですが、今のここの数字ですと、年間の上限が22兆ベクレルだと。今の汚染水の関係で、100万から500万ベクレル/リットル。この上限というのはおそらく、タンクの底に溜まっている一番濃い部分のことだと思うのですが、このタンクの量がおそらく20数万トンあって、それをこの年間の上限の22兆ベクレルを上限として希釈して出していくとすると、50年以上かかることになるんですけども」

東電「そういうことですね」

木野氏「そうすると、年間に出せるトリチウムの上限は4400トンくらいだと思うんですね。その4400トンというのは、1日に400トンくらい入ってくるとすると、10日ぶんにしかならなくて、仮にその半分の200トンだとしても20日ぶんにしかならない。そうすると、どれだけこれで出しても、年間の上限がある以上は中の水を減らすことは出来なくて、やはり増えていくことになると思うんですけども、シュミレーションをどういう風に計算されているのでしょう」

東電「放出というのは決まったわけではないのですが」

木野氏「いや、出すとして」

東電「そこはまだ計算しておりません」

木野氏「それはおかしいですよね。計算していないというのは。出すと決めていないとしても、仮に出す場合は上限値としてこれくらいかかるというのを、御社の側から出すべき数字であって、なぜそれを出さないのかということが理解できないんですけども。本店でもそうなんですけど、なぜ出さないんですか。漁協にはこの説明はされたんですか」

東電「しておりません」

木野氏「なぜされないんでしょう。本社のどなたの判断ですか」

東電「まあ、全体的と言いますか」

木野氏「数字としては、50年以上かかるという認識はお持ちなんですか」

東電「まあ、簡単に計算すればそういうことになりますが」

木野氏「計算した数字をご説明いただかないと、漁協としてもピンとこないと思うのですが」

東電「ごまかすとか、そういうつまりはまるっきりありません」

■配布資料「福島第一原子力発電所20Km圏内海域における魚介類の測定結果」

■配布資料「福島第一原子力発電所でのトリチウムについて」

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