猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見 2013.2.8

記事公開日:2013.2.8取材地: テキスト動画
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(阿部)

 2013年2月8日(金)15時から、東京都庁にて猪瀬直樹都知事の定例記者会見が行われた。まず猪瀬氏は、北京で深刻化している大気汚染の問題に触れ、以前から東京都が取り組んできたディーゼル車排気ガス対策で培った技術ノウハウを積極的に提供し、問題解決に協力していく姿勢を明らかにした。

 続いて、学校における体罰問題に言及。都内の公立小中高校を対象に大規模な調査を行った上で、予算を倍増し緊急対策を講じると述べた。

■全編動画

  • 日時 2013年2月8日(金)15:00~
  • 場所 東京都庁(東京都新宿区)

 深刻な大気汚染問題を抱える北京に対し、猪瀬知事は親書を送付したことを発表。書面で大気汚染対策のための技術支援を進んで行う旨を伝えた。東京都では以前よりディーゼル車の排気ガス対策に取り組んでおり、規制と新技術開発によって一定の成果を上げている。猪瀬知事は、これらのノウハウが中国の大気汚染改善にも活用できると強い自信を見せた。

 一方、同じく日中関係で未だ解決をみない尖閣問題に話題が及ぶと「尖閣購入に関しては国が突然介入してきて、20億もの金でなりふり構わず決着をつけた」と野田政権の対応を批判する一方、「政権が変わったので、政府や国会がどのような方針を示すか、様子を見ながら対処していく」と安倍政権へ期待を寄せた。ただし、都が尖閣諸島購入の目的で寄付を募った基金の使用方針に関しては、「すでに国に所有権が移っているので、具体策が整った段階で、なんらかの形で活用できればいいと思う」と具体的な回答は避けた。その後も再三にわたって記者から尖閣問題に関する質問が続くと、「それは外交の問題。東京都の問題ではない」と一蹴するなど、進展しない問題への苛立ちを窺わせる一幕もあった。

 2つ目のテーマにあげられた体罰問題では、部活動という指導の名の下において体罰が恒常化していることを大きな問題とし、解決に向けて緊急対策を講じると明言。すでに都内の公立小中高校で100万人(生徒94万人、教員6万人)を対象に、体罰の現状を把握するための調査を実施しており、3月末には集計結果が発表される予定だ。発表に先駆けて都は、「第三者を含めて、事実関係を徹底的に解明する調査委員会の設置」「弁護士が受け付ける通報窓口の新設」「体罰のない部活動の在り方を検討する委員会を設ける」などの具体策を挙げた他、公立の小中高2117校にスクールカウンセラーを配置するため、前年の倍となる34億円の予算を計上したことを明かした。

 また、オリンピック召集に強い意欲を見せる猪瀬知事は、「トレーニングの成果が目にみえるという意味で、スポーツは考える力を養う効果がある」という持論を展開。重要なのは、少年少女が自ら進んでスポーツに取り組むことで、体罰では決して強い人材が育たないという考えを強く押し出した。さらに、ロンドンオリンピックで柔道が思うような結果を出せなかった背景にも、体罰という古い指導体制があったのが理由ではないかと述べ、女子柔道日本代表における監督とコーチの体罰問題を批判。金メダルを目指すことは素晴らしいことだが、それと体罰は無関係であるとの見解を繰り返した。

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