2016年に政府が全国から機動隊を大量動員し、反対する住民を強引に排除して沖縄県東村高江の米軍北部演習場に新たなヘリコプター離着陸帯（ヘリパッド）の建設を強行した際に、京都不倫旅行が週刊文春で報じられた和泉洋人首相補佐官が、建設地に隣接する電源開発（Jパワー＝JP）会長に菅官房長官の名前を出した上、事実に反する言葉で強引に協力させていたことがわかった。

▲和泉洋人氏（ウィキペディアより）

　東京新聞の望月衣塑子記者が、Jパワーの内部文書からスクープを報じた。

• 高江ヘリパッド協力拒否覆す　首相補佐官が便宜示唆（東京新聞、2019年12月27日）

• 和泉補佐官「京都不倫出張」を巡り国会虚偽答弁の疑い（文春オンライン、週刊文春2019年12月26日号）

東京新聞が公開したJパワーの内部文書！和泉補佐官が北村雅良会長を官邸に呼び出し高江基地建設を巡り協力要請

　高江では住民の基地建設反対への抗議により、トラックが建設地に出入りできず、沖縄防衛局は自衛隊ヘリで資材を搬入していた。

　沖縄防衛局は高江に隣接する国頭村安波（あわ）に揚水発電所を所有するJパワーに協力を要請したが、地域に溶け込む努力をしていたJパワーは当初、地域住民との関係を重視して沖縄防衛局への協力を断っていた。

▲沖縄防衛局（防衛省ホームページより）

　東京新聞が公開したJパワーの内部文書によると、和泉補佐官は2016年9月14日にJパワーの北村雅良会長を官邸に呼び出し「反対派の活動もかなりのもので、あと3カ月で完成させるには、JPから建屋、水、燃料タンクなどの協力を得たい」と協力を要請。

　さらに「先週、事務局間でお願いしたところ、地元に防衛省に協力していると認識されるのは避けたい、中立を守りたい、と断られたとのこと」「本件は官房長官直結で私が仕切っており、一省庁の問題ではなく、国の問題。沖縄県も『歓迎』とは言わないが、水面下では本件はやってくれ、となっている。反対は活動家だけ」と、菅官房長官の名前を出して恫喝とも取れる発言をし、さらに沖縄県が賛成している、反対しているのは活動家だと事実に反し、沖縄県や地元住民を馬鹿にするような言葉を並べて迫った上で「懸念は理解するが、協力してほしい。中立とか言うのは勘弁してください」とたたみかけた。

▲電源開発株式会社（通称J-パワー／ウィキペディアより）

　これに対し、北村会長が「JPはこの海水揚水も石川火力（うるま市）も長年、地元に溶け込もうと努力。本件で現地での対立が深まっていて、JPが協力すると地元紙的にJPも悪者にされるのはつらいところ」としながらも、国の強い要請として受け止めると答えると、和泉氏は「ありがたい。海外案件は何でも協力しますから」と答えている。

• 高江ヘリパッド内部文書　首相補佐官「反対は活動家だけ」（東京新聞、2019年12月27日）

　IWJは高江ヘリパッド建設を巡り、2016年に複数回にわたり現地に記者を派遣して詳しくお伝えしてきた。特集も組んでいるので、ぜひ以下のURLよりご覧いただきたい。

• 緊急特集!! 殴る！ 絞める！ 米軍オスプレイパッド建設強行！ 機動隊が非暴力の市民を弾圧！ 沖縄・高江、国家的差別の「闇」を徹底可視化！

和泉補佐官、加計学園獣医学部新設を巡り前川喜平元文科事務次官に「総理が言えないから私が言うんだ」と発言!?

　和泉補佐官は加計学園問題で獣医学部新設を前川喜平元文科事務次官に「総理が言えないから私が言うんだ」と言ったとされている。

　岩上安身は2017年から2018年にかけて3回、前川喜平氏にインタビューを行っている。ぜひあわせてご覧いただきたい。

• 「メディアは権力を忖度し、司法権力は政治のために動いている」〜加計問題の闇を告発した前川喜平・前文科事務次官に岩上安身がロングインタビュー！「独裁国家に近づいている」と危機感！～岩上安身によるインタビュー 第819回 ゲスト 前川喜平氏 2017.12.5
• 今の日本は「もうファシズムの玄関に来ている」!? 道徳の教科書からは「国体思想」の影もちらついている!? ～岩上安身によるインタビュー 第845回 ゲスト 前文科省事務次官・前川喜平氏 2018.2.23
• 自民党が改憲で目指す家族国家観の危険性！「純血日本人主義」「血の共同体」がファシズム・排外主義の根拠に!? ～岩上安身によるインタビュー 第859回 ゲスト 前・文科事務次官 前川喜平氏 第3弾 2018.3.29

高江ヘリパッド建設を巡り沖縄県に機動隊を派遣！東京地裁は「職務行為が必ずしも全て適正だったとは言い難い」と言及

　高江のヘリパッド建設を巡っては、警視庁の機動隊を沖縄県に派遣したことは違法だとして、都民183人が派遣期間中に支払われた隊員への給与約2億8000万円の返還を求めて東京地裁に訴えていた。

　東京地裁は12月16日、原告の住民側の訴えを退けたが、判決では警視庁をはじめとする6都府県の警察から派遣された機動隊員について「職務行為が必ずしも全て適正だったとは言い難い」と言及。特に2016年7月22日、住民らが建設現場出入り口に置いた車両やテントを強制撤去したことについては「適法性に看過しがたい疑問が残る」との見解を示した。

• 沖縄の住民排除　警察への重い戒めだ（東京新聞、2019年12月24日 ※記事リンク切れ）

▲沖縄県東村高江の新規ヘリパッド建設問題で2016年7月22日、建設に反対する住民らを全国から集まった機動隊が強制排除に乗り出した。ゲート前は機動隊によって制圧された（IWJ撮影）