藤原寿和氏講演会「ダイオキシン対策をめぐる国内外の動向~ダイオキシンの毒性と人体への影響~」 2012.12.21

記事公開日:2012.12.21取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2012年12月21日(金)20時から、青森市の浪岡中央公民館で、「藤原寿和氏講演会『ダイオキシン対策をめぐる国内外の動向~ダイオキシンの毒性と人体への影響~』」が行われた。ダイオキシン汚染の問題に取り組んできた藤原寿和氏は、ダイオキシンは過去の問題ではなく、日本でも海外でも現在進行形の問題であることを指摘する。講演の中では、ダイオキシンとは何か、ダイオキシンによる人体の影響等を解説した。

■全編動画
※2013年1月8日に録画配信しました。

  • 講師 藤原寿和氏(「止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク」事務局長、元東京都公害局職員)
  • 日時 2012年12月21日(金)20時
  • 場所 浪岡中央公民館(青森県青森市)
  • 主催 青森県保険医協会

 1994年に、青森県市浦町で、産業廃棄物検討委員会専門委員も務めた経験のある藤原氏は、ダイオキシンは、妊娠中の母親が摂取することによって、胎児が成長する過程で、脳の活動に悪影響を与える、という東京大学の発表を紹介した。「昨今、日本国内で、今まで耳にしたことのないような子どもの障害が確認されている。各種の障害が、化学物質に因るとは一概には言えないが、人間に近いアカゲザルでの実験では、凶暴化や雄の雌化等で、ダイオキシンの影響が確認されている」と述べて、ダイオキシンを長期に渡って摂取することで影響が表れること、また、自閉症等の発達障害を起こす要因の一つかもしれない、という仮説段階にあることを説明した。

 続けて、ベトナム戦争でも利用された、枯葉剤の中にもダイオキシンが含まれていることを解説し、「西日本のゴミ焼却施設から出た灰のダイオキシンを分析した結果、枯葉剤に含まれていた非常に強い毒性を持つダイオキシンだと判明した。アメリカは、1957年に、いち早くダイオキシン等の人工的化学物質を作っており、動物被害が起きている。また、ベトナムの結合双生児、ベトちゃんドクちゃんに代表される、さまざまな障害も出た」と述べ、これが人為的に作られた問題であることを強調した。

 また、1976年7月10日、イタリアのロンバルディア州セベソの農薬工場で発生した爆発事故により、人工物質の中でも最も毒性の強い2,3,7,8-四塩化ダイオキシンが飛散し、事故2日後に、子ども達にクロルアクネ前駆症状が発症し、動物の死亡、植物の枯死が始まった、セベソ事件の歴史を解説した。

 ダイオキシンの危険性を指摘する藤原氏は、「ダイオキシンは急性症状で即死することはあまりないが、心臓への障害やホルモン代謝の異常、学習能力の低下等の障害を引き起こす可能性がある。魚にはダイオキシンが濃縮されており、脂肪に解けやすく母乳にも蓄積しやすい」と話し、食事を通じてダイオキシンが摂取されやすいことにも言及した。

 最後に、藤原氏は「さまざまな国のゴミ焼却炉周辺で、住民の健康被害が出ており、詳細な調査が行われている。いくつかの国では『脱焼却』が進んでおり、フィリピンでは、大気浄化法というゴミの焼却を禁止する法律がある。日本では、ダイオキシンに対する環境基準が定められているが、今後どのような対策を立てていくか、考えなければいけない」と語った。

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