2012年2月24日(金)、田道住区センターにて行われた、「目黒区・宮城県女川町の災害廃棄物の受入にかかわる住民説明会」の模様。
内容は、1)特別区における災害廃棄物受入れの経緯、2)宮城県女川町での選別・破砕状況、運搬方法、3)清掃工場の試験焼却結果と安全対策。
(文字起こし:chicly)
2012年2月24日(金)、田道住区センターにて行われた、「目黒区・宮城県女川町の災害廃棄物の受入にかかわる住民説明会」の模様。
内容は、1)特別区における災害廃棄物受入れの経緯、2)宮城県女川町での選別・破砕状況、運搬方法、3)清掃工場の試験焼却結果と安全対策。
■イントロ
【質疑全文テキスト起こし】
Q:一つ目はバグフィルターで除去できる放射性物質核種について。除去できる物とできない物を教えてほしい。
二つ目。陸前高田市では昨年4月から5月の間に瓦礫プラントを建ててくれと岩手県にオファーしたが、もうその段階で岩手県の方は国から全国にお願いしているということで断られたらしい。女川町ではどうだったのか?
A:管理しているのはヨウ素とセシウムという2つの核種。国の方針はセシウムということだが、私共としてはヨウ素も含めて管理している。特にセシウムに関しては発生量が多いといったことも含め管理対象としている。どういう核種が取れるのかとの質問だが、私共としては、取れるという..核種として確認しようとして使っているものを確認している。放射性物質の核種ということに関しては、金属性のもの、全てということは把握していないが、核種的にはストロンチウムとかそういったものはあるが、基本的にはセシウムだと塩化セシウムといった形で分解して取っていくので、そういう金属元素のあるものについては核種としては取れていくということ。
(質問者)(単純明快に言うと「わからない」ということか?)
金属のものになっているものについては取れる、ということになる。
(質問者)(金属でないものは取れない?)
「確認をしていない」ということ。
被災地での中間処理施設の設置について。基本的にこの災害廃棄物というのは一般廃棄物なので地元の市町村が処理するのだが、先ほどのDVDにもあったように各市町村で排出される、例えば10年分20年分100年分というような量なので、これはとても一市町村では処理できないということで県の方に処理を委託している。先ほど陸前高田が出たので岩手県を例に挙げると、基本的に県内処理ということで進めてはいるが、平地での中間処理、仮設焼却炉や分別施設を設置しようとしてもなかなか岩手県、三陸海岸の方では平地が少ないとか、平地が今がれきで覆われていて処理できないので、広域処理に回したいということ。
女川町の方でもやはり平地が全体の14%、そのほとんどが瓦礫に覆われているため、まず最初に今ある災害廃棄物を処理してほしいということで宮城県に事務委託をして広域処理をお願いする。災害廃棄物は被災地で処理するのが基本。宮城県の方でも約1,500万トンの災害廃棄物が出ているが、広域処理に回すのはその約20%の340〜350万トン。これがなかなか地元では処理できないということで広域処理をお願いしている状況。
Q:今の関連で。この事業はどの法律に基づいて行っているのか?根拠法を教えてほしい。今、一般廃棄物や広域処理といった言葉が出てきたが、改めてどの法律に基づいての発言なのかききたい。
A:災害廃棄物を処理する、ごみの処理というのは皆さんが排出するごみもそうだが基本的には「廃棄物処理法」という法律で処理がなされる。廃棄物処理法の中でいま8,000ベクレル以下のものについては..(音声中断)..措置法」というものができ、それに基づいて処理をするという枠組みになっている。
(質問者)(水のほうはどうなっているのか?)
司会者:申し訳ないが一人でも多くの方から質問を受けたいので、のちほど時間があれば再度受けることにしたい。
Q:22ページに「煤塵(ばいじん)の粒子平均は数十ミクロン」とあるが、やはり平均ということで細かいものも含めかなりばらつきがあると思う。その結果、文科省の方で発表している「16都県の一般廃棄物焼却施設における排ガスのモニタリング結果」で10月7日にバグフィルターを通している「あらかわクリーンセンター」でもセシウム137が検出されている。このように全部が取れるわけではないので、先ほどスライドの22ページ目で「1ミクロン以上の粒子を確実に除去」とあったが、全部が取れるような印象を与えるのはまずいのではないか?ということを言っておきたい。
それに関連して。実際セシウム137、もちろんストロンチウムもだと思うが、ある程度出ることは出てしまっているはず。大気拡散されると言うが、煙突を見ていると風向きによっては一定方向にずっと行き続けていることがある。意外に拡散されず、かなり濃度が高くなっているエリアもあるのではないかと思うので、浮遊塵(ふゆうじん)の測定をきめ細かく行ってほしい。いま浮遊塵の測定は江東区の都立産業技術研究センターで行っているだけだと思うが、それを目黒区でもきちんとやってほしい。
二点目。セシウム137以外のストロンチウム等に関し「金属は取れると考えている」と先ほど説明にあったが、計らないで「取れる」と言ってしまって良いのか?
三点目。バグフィルターの性能が劣化してきた場合、それを検知するシステムが実は無いのではないか? 性能が低下していても数字として出て来ない可能性がある。また圧力や温度が高まるなど万が一の緊急事態の際、バグフィルターを通さずいわゆるバイパスによって外に出してしまうシステムがあると思うが、その詳細について目黒区の焼却場における実態を教えてほしい。
A:二点目について。繰り返しになって大変恐縮だが、今回、国の指針の中でセシウムを指標として国からの色々なガイドラインが出ており、そのもとで私共は事業をしている。国の方はセシウムだけだが私共はヨウ素も測定している。セシウムを基準でものを考えて、その中での事業ということで行っている。
三点目のバグフィルターについて。基本的にまずバイパスがあるかということに関しては私共の設備ではバイパスは持っていない。全ての工場において、排ガスについてはバグフィルターを通して流れていくということ。また劣化の判定に関しては、私共の施設の中では基本的に交換周期を定めている。5年で取り換えるのが一応一定の周期。日々の管理や通常の管理はどうしているのかという話につながるかと思うが、通常管理の中では私共の設備は年一回定期点検ということで必ず停止させて点検する。その際バグフィルターの抜き取り検査をし、引張強度(ひっぱりきょうど)など劣化度の調査をしている。また日々の中では、フィルターをガスが流れていてガスの上流側と下流側では圧力差が出るので、その圧力差を確認している。あってはならないことだが万が一破けたとすれば差圧の変化が確認できるので、そういったところで確認する。さらに煤塵計も持っているのでこれで連続測定し、煤塵計の中で確認していくという形で通常管理をしている。
司会者:この件に関しては東京都の方から補足説明をお願いしたい。
A:プルトニウムやストロンチウムの検査について。確かにプルトニウムやストロンチウムは非常に半減期が長いとかそういった影響が強いということは言われている。ただ、この福島原発の影響でどれだけ外気中に飛散したかというようなことで、一応文部科学省の方で、現地の調査で、福島原発からおおむね100キロ圏内で2,200か所ぐらい調査している。これは昨年9月だがプルトニウム、ストロンチウムの核種検査をしている。
そのうちの放射性ストロンチウムやプルトニウム、これが土壌等への沈着量の最高値が検出された場所においていろいろ測定したわけだが、例えばその場所で50年間生活した場合にどれだけ放射能の影響を受けるかというような、これは積算値だが、50年間の実効積算量等を測定したところセシウム134、137に比べてプルトニウムやストロンチウム等は非常に影響が小さいということで、今後の被ばく量の線量評価や除染対策においてはセシウム134と137を評価すればその範囲内でプルトニウム、ストロンチウムの影響も分かるというような評価が出ている。
これに基づいて、例えばプルトニウム238等は50年間の積算線量で言うと0.027ミリシーベルト、ストロンチウム89は0.00061ミリシーベルトというような数字。逆にセシウムは、それだけ量が多かったということなのだが、セシウム134が71ミリシーベルト、137は2,000ミリシーベルト。このような量的なものと影響力とを比較して、環境省のほうも広域処理のガイドラインや、または放射線対策の特別措置法の中で放射性の物質についてはセシウム134と137を対象として測定すべきだというような評価を与えている。
(質問者)(内部の評価は入っているのか?)
両方入っている。人体への影響ということで。
Q:バグフィルターが過去に何回か欠落したり、先ほどもちょっと穴があいているとおっしゃっていたが仮に焼却が始まってそのような事故があった場合、ちょっと言い方が申し訳ないがどこが責任を負ってくれるのか?例えば周辺住民がその煙によって被ばくしてしまった場合。
もうひとつ。今回の件が特別区長会で決まったとのことだが、目黒区の区議会では審議されているのか?
A:バグフィルターは先ほど説明したように厳重な管理はしている。過去に..過去にということはないが、ちょっと絵で説明したい。(補助資料13番)万が一漏れると心配だということかと思う。どのような構造になっているかというと、バグフィルターは要は箱。箱の中に「ろ布(ろふ)」というガラス繊維でできた布のようなものがあり、当然たわんではいけないのでリテーナーという金物を中に入れて保持している。こういった形で多数、600本とか多いところでは1,900本とか入っている工場もある。いくつかに分かれた部屋の中をガスが通っていくので、万が一何かあった場合はその部屋を閉鎖することは可能。これは外観の絵。先ほど説明した差圧というのは、ガスの流れの入口側と出口側での圧力を常時監視しているということ。こういった細かい部屋に分かれている。こういった形で細かく厳しい管理をしているので、損傷等に関して心配はあるかと思うが安心してほしい。
二点目、目黒区議会の方への報告に関して。昨年11月22日に議会運営委員会、同じく11月28日には都市環境委員会、同じく30日には震災対策調査特別委員会に報告してある。
(質問者)(今日の説明会というのは「こういう事が決まった」という区や清掃一組からの報告説明であって、我々が事前に、それは心配なのではないか?とか検査体制が充分なのか?等について確認する機会はなかったということか?)
まず冒頭にあったが、11月15日特別区長会の総会で、清掃一組(東京二十三区清掃一部事務組合)の方から現地での焼却試験評価が出て安全性が確認された旨の報告があった。その特別区長会の総会で、今後清掃一組が行う試験焼却、これは大田と品川で実際に行ったが、それによる安全性の検証を前提条件に受け入れを確認したという形を取っている。だから23区の区長の総意として受け入れを確認したという形になる。
(質問者)(そうするとその場で目黒区長も賛成をしたということなのか?区議会もそれにOKしたという認識で良いのか?)
先ほど審議ということで質疑があったが、まず議会との関係について。これは審議という形ではなく議会の方に私共の方から説明をしたということなので、いわゆる議決とか同意とかそういう類のものではない。それから区長会での確認については、今も説明にあったように基本的には清掃一組がその後行う予定だった試験焼却による安全確認がなされることを大前提として11月15日に確認した。目黒区長としては特別区長会の席上、清掃一組による安全性の確認についてはきちんと行うよう東京都と清掃一組に強く要望している。また目黒の地域特性と言うか、これまで清掃工場の建設に当たり東京都から話があってから竣工まで20年余、又清掃工場が竣工してから今日まで21年経っているが、目黒区はこれまで地元の方々と真摯に話し合いを進めてきた経緯があるので、そういった点も含めて充分に慎重な対応をするよう区長の方から強く要望しているところ。
Q:私は地元が仙台なのでぜひ受け入れには賛成したいのだが、やはり我々目黒区民は行政のことを信頼していない。
数値に関して。「不検出」と出ているが定量下限値はいくつなのか?また「ベクレル」表示のもの、例えば最初の方で133Bqとあったがこれは全体の量に対してパーセンテージはどの位の測定をしてこの値を出したのか?何回も測定をした平均なのか?何十万トンという中の何グラム、何キロを測定してこの値になったのか知りたい。
また、測定機種やどこに依頼したのかについても聞きたい。
A:まず排ガスの放射能測定方法を説明してから検出の話をしたい。(補助資料16)こういった形で吸引し、初めに「ろ紙部」というところで補足をし、その後「捕集水部」でドレン化させた物を集め、最終段で「活性炭部」で更に捕集。三部位で放射能を測定している。ちなみに国の指針では「ろ紙部」「「捕集水部」のみの測定で良いとされているが、私共ではそれに「活性炭部」も上乗せして測定している。また検出下限がどのくらいかということだが、この表が今回試験焼却をした際の「排ガス放射能濃度測定結果の検出下限一覧」。(補助資料17)大田工場と品川工場のものだが、「ろ紙部」「捕集水部」「活性炭部」それぞれ下のカッコ書きのところが検出下限値の数字。
(質問者)(単位はキログラムではないのか?)
排ガスなので、単位はBq/ m3N(ベクレル/ノルマル・リューベ)になる。
(質問者)(災害廃棄物の初めのページでKgになっている、持ってくる前つまり現地の方について知りたい)
配布した資料4ページ上段「女川町の災害廃棄物の焼却試験結果」、これは昨年9月に女川町が実施したもの。先ほどの映像のように、この分母となるものは例えば災害廃棄物のひと山、これがどの位の量かというのは女川町がやったので分母は分からないが、そのひと山からそれぞれ木くずやプラスチックを、ひと山の中の10点ほど5リットルずつ、全体で50リットルをサンプリングし..
(質問者)(何十万トンの内の50リットルか?)
それはそう。サンプリングとして133Bqを出したものは。
(質問者)(一日だけか?)
これは一回。そのような形で出している。次に、実際に都内に運んでくる物については8ページを見てほしい。手選別ライン等で選別した、都内に運んでくる木くず80%、プラ類14%、その他繊維くず等が6%のものを、これはコンテナごとに測ったもの。コンテナがだいたい最大で16リューベ(=立法メートル)だから..
(質問者)(空間ではなくてベクレルの方で説明してほしい)
ベクレルの話をしている。71と57の方。コンテナごとに測って16リューベの中から、同じように木くず、繊維くず、プラスチック類を、5リットル10点ほど集め一緒に混ぜて四分法で分け測定したもの、これが71Bqと57Bqになる。今後このような形で基本単位としてはコンテナで運んできて、だいたいコンテナごとに線量を測るが、ベクレルは一カ月に一回測る。ベクレルを測るというのはなかなかすぐその場で測定結果は出ない。一週間ほど専門の機関で行う。
(質問者)(専門の機関とはどこか?)
今はエヌエス環境という所がやっている。そこで測って、実際に濃度(Bq)と毎日測る空間線量との相関性等を考慮しながら安全性を確認して都内の方に持ってくる。
Q:この数値は71Bqと57Bqぐらい出るのでゲルマニウムで測る必要はないと思う。4月からの国の指針ではシンチレータでもスクリーニングができると言われている。こういう測定を行政が行うのではなく、例えば都内にかなりの数できている市民測定所等で測らせることは考えないのか?
それから清掃工場の周りの土壌について。今の内に空間ではなく土壌のベクレル値を測定しておけば、清掃工場に持ち込まれた後にどれだけ汚染されたかが分かる。そういったものを市民に測らせる計画はないのか?
A:8ページにあるように、被災地から搬出する時に空間線量を3回に渡り測っている。これに関しては色々な機種等があるが、専門のエヌエス環境で測定しきちんと法定検査を受け検量証明書等が付いた物で提出してもらっている。実際に被災地の方でそれを見てもらうことはなかなかできないが、それを監視している環境整備公社が現地で確認しており、そのデータを毎日測ったものを東京都のホームページで出しているところ。
(質問者)(ただ、一週間ぐらいかかる訳ですよね。シンチレータならすぐに結果が出るが。)
空間線量の方はその日に出る。
(質問者)(空間でなくベクレル)
ベクレルの、ゲルマニウムの方は..
(質問者)(この位の値だったらゲルマニウムで測る必要はないのでは?)
空間線量については随時測ってその状況等を見ているが、やはり物質の濃度というのはどの位の物なのか、どの位の濃度の物を都内に運んでくるかというのをきちっと確認する必要があるということで。
(質問者)(100Bqを超えるのなら、ゲルマニウムでなくてシンチレータでも測れると思うが。そうすれば数も回数も増やせる。)
シンチレータで濃度を測るという事?
(質問者)(はい。4月からの法規制でも食品の測定に関しシンチレータでもスクリーニングできると言われおり、土壌に関してならもっと簡単にシンチレータで測れる。
それはあくまでも簡易測定だと思う。
(質問者)(簡易ではない。100Bqを超えれば正しい値が出る。)
(…会員ページにつづく)