第24回・原子力損害賠償紛争審査会 2012.2.23

記事公開日:2012.2.23取材地: 動画
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(IWJ・原佑介)

 2012年2月23日(木)、文部科学省旧文部省庁舎6階 第2講堂で行われた、「第24回・原子力損害賠償紛争審査会」の模様。

 原子力災害対策本部が、来月いっぱいで避難指示区域の見直しをすることに伴い、この日の原子力損害賠償紛争審査会では、避難区域指定解除後の精神的損害の賠償をどのようにするか等の議論が行われた。

■イントロ

 政府は、現在の警戒区域と、計画的避難区域を、「帰還困難区域(5年経っても20mSv/yを下回らないとされる土地)」、「居住制限区域(数年間で20mSv/yを下回るとされる土地)」、「避難指示解除準備区域(除染、都市基盤普及、雇用対策等を早急に行い、生活環境が整えば順次解除)」に、4月1日めどで3区分する方針。会議後、能見委員長は、5年以上帰宅が困難であるとされる「帰還困難区域」の住民には、避難費用、精神的損害として一人月10万円の支払いを行い、まずは5年間分(600万円)、一括請求出来ることになるのではないか、との個人的な見立てを記者らに明かした。

 しかし、難航する議論が示すように、帰還困難区域だけでなく、居住制限区域・避難指示解除準備区域に該当する住民の中にも、事故前に住んでいた家や財産に見切りをつけ、新たな生活を始めるも避難者もいる。そういった避難者にとって、結果的に早く元の家に戻れることになっても、かかった移住費用は帰還困難者と同じような負担であることに変わらず、避難費用、精神的損害に対する賠償額に差をつけることは正しいのか。しかし、賠償額を一律にした場合、解除後、元の居住地に戻った人と、解除されず、戻れない区域に住む人と、賠償額のバランスの悪さにどう折り合いを付けるか、などの議論も行われた。財物価値の賠償においては、中古品として値段がゼロに等しいが、メンテナンスしながら細々と乗ってきた車をどのように値段をつけて賠償することが適切か。課題の残る議論は、尽きない。

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