【国会ハイライト】「総理秘書官は総理の命を受けて動く。総理主導案件なら面会で聞いた話は報告しないといけないはずだ!」 元総理秘書官の江田憲司議員が柳瀬唯夫氏を痛烈批判 2018.5.10

記事公開日:2018.5.10 テキスト
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(文:IWJ編集部)

 安倍晋三総理が「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園グループ。その系列である岡山理科大学(愛媛県今治市)の獣医学部新設をめぐって、安倍総理の意向が重視され、「加計ありき」で国家戦略特区制度が利用されたのではないかという疑惑は、今も深まるばかりだ。

 2015年4月2日に、愛媛県職員、今治市職員、加計学園関係者らが獣医学部新設の件で官邸を訪問し、当時の総理大臣秘書官の柳瀬唯夫氏(現経済産業審議官)と面会した際、「本件は首相案件」と柳瀬氏が発言したと、愛媛県側が記録に残している。

 これまで安倍総理は、加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは同学園が事業者として正式決定した2017年1月、としてきた。2015年4月の時点で「首相案件」とされていたのなら、親友のために加計学園を優遇したのではないかと思わざるを得ない。

 2018年5月10日午前、国会の衆議院予算委員会に参考人として招致された柳瀬氏は、「2015年4月、加計学園関係者と面会したが相手方は10人近く。その中に愛媛県や今治市の職員もいたかもしれないが、自分の記憶には残っていない」と述べた。また、「首相案件」と言ったかを問われると、「私は普段から『首相』という言葉は使わない」とかわした。

▲柳瀬唯夫元総理大臣秘書官

 かつて橋本龍太郎内閣の総理秘書官だった江田憲司議員(無所属の会)は、柳瀬氏の答弁内容を「私の常識に反することばかりだ」と痛烈に批判。「総理秘書官は総理と一心同体。許認可が絡む相手と会えば、総理に累が及ぶ」とし、柳瀬氏が加計学園関係者と官邸で3回にわたり面会したことを、「リスク管理の基本もわきまえていない」と斬り捨てた。

 立憲民主党の長妻昭議員から、「総理の親友でなければ、加計学園の関係者とは会わなかったか」と尋ねられた柳瀬氏は、「都合がつけば、どなたでも会う」と応じたものの、他の公募の事業者とは面会したことはないと認めた。

 さらに、加計関係者との面会について、「安倍総理に、いちいち報告しない」と回答。総理の代理として面会者に対応した秘書官が、その報告を上げなかったという不自然さに議場はざわめき、複数の野党議員から「加計孝太郎氏を国会に呼ぶべきだ」との指摘が相次いでなされた。

優秀な総理秘書官が面会相手の名刺も保存していない!? 「加計の関係者とは会ったが、愛媛県や今治市の職員がいた記憶はない」

河村建夫予算委員長「これより参考人、柳瀬唯夫君に対し質疑を始めます」

▲河村建夫予算委員長

・質問者:自由民主党・後藤茂之議員

後藤茂之議員「今日こそは、本当の事をすべて話していただきたいと思います。国民の疑念は拭えていない。あなたは、愛媛県、今治市、加計学園の関係者と会っているのか、いないのか?」

柳瀬唯夫氏「自分の答弁をきっかけに、国会審議に大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。(2015年)4月2日だと思うが、加計学園関係者と面会した際、相手方は10人近くで大勢でした。加計学園の事務局の方から、国家戦略特区制度を活用するという方向で検討している、という話がありました。

 面会では、メインテーブルの中心におられた獣医学の専門家である元東大教授の方がほとんどの話をされました。加計学園の事務局の方もお話しになっていました。そのために、随行している方の中に愛媛県や今治市の方がいたか、記憶に残ってございません。ただ、随行者の中にいらっしゃったのかもしれない、と思います」

後藤議員「面会がどのようなものであったかはわかりましたが、愛媛県や今治市の方がいなかったのか、本当に確認はしなかったのでしょうか。名刺の交換はしなかったのですか」

柳瀬氏「私にはわかりません。お会いした定かな記憶がないのに、『お会いした』『お会いしなかった』というのは嘘になる可能性があると思いました。なお、普段から多くの方と名刺交換をするが、私が保存する名刺はごく一部。今回の件で、私が保存している名刺の中に、今治市や愛媛県の方の名刺はございませんでした」

(議場から「失礼だな!」と声が上がる)

後藤議員「なぜ、加計学園関係者の方と知り合いになられたのでしょうか」

柳瀬氏「以前、総理とご一緒した時にお会いしました。その後、平成27年2月か3月頃、加計学園の事務局から会いたいと申し入れがあり、官邸でお会いしました。その際、国家戦略特区制度の話も出たようにも思いますけど、具体的な話にはならなかった。私自身、獣医学部新設に詳しくなかったので聞き置いたということです」

「首相案件」発言を明確に否定はせず、「私は『首相』という言葉を使わない」とかわした柳瀬氏

後藤議員「総理からの指示はなく、個人的に会ったということだと承りましたが、4月に会うまでに事前に調べたり、指示をしたことがあったのですか」

柳瀬氏「レクを受けたことはありました。獣医学部が長年新設されていないこと、地域によっては鳥インフルエンザの感染症対策に苦労していること、獣医が不足しているというデータが重要であることなど。その際に、各省に指示を出したことはございません」

後藤議員「4月の面会以降、担当省庁とやり取りされましたか」

▲自由民主党・後藤茂之議員

柳瀬氏「私からは、特に内閣府に連絡した記憶はございません。省庁とやり取りした記憶はございません」

後藤議員「4月以降は関係者と会っていないのでしょうか。加計ありきで進んだのではないですか?」

柳瀬氏「制度設計を検討しており、事業者の選定に関与する余地はなかった」

後藤議員「総理との関係について。総理と加計孝太郎氏との友人関係を認識していたですのか。特別扱いしていないと言えますか」

柳瀬氏「友人関係は認識していたが、特別扱いしたことはございません」

後藤議員「愛媛県職員のメモには(柳瀬氏から)『本件は首相案件』という発言があった、との記載があります。あなたは、そう言われましたか?」

柳瀬氏「私は普段から『首相』という言葉は使いません。(愛媛県側に)私の趣旨とは違う形で伝わっているのかと思う」

後藤議員「総理から指示を受けた事はありますか」

柳瀬氏「一切ありません」

後藤議員「もっと早くお話いただければよかったと思う。どうして、お話しされなかったのですか」

柳瀬氏「個々の質問にひとつひとつ答えていった結果、全体が見えなくなっていた。お詫び申し上げます」

官邸で柳瀬氏と面会した獣医学の専門家は、新設された岡山理科大学獣医学部の学部長に就任!

・質問者:公明党・竹内譲議員

竹内譲議員「あなたが官邸で会った元東大教授とは、現在、(加計学園の)岡山理科大学獣医学部長の吉川泰弘さんで間違いありませんか」

柳瀬氏「当時、吉川氏と加計学園との関係はわかりませんでした。最近、吉川氏が岡山理科大学の獣医学部長になることをニュースで知りました」

竹内議員「この面会は加計学園側からの申し込みで、柳瀬参考人から呼び出したりは?」

柳瀬氏「あり得ません」

竹内議員「当時、内閣府地方創生推進室の藤原次長と連絡を取っていましたか」

▲公明党・竹内譲議員

柳瀬氏「ございません」

竹内議員「初めて加計学園関係者と会った平成27年の2月から3月頃も、吉川さんが来られたのですか」

柳瀬氏「その時にはいらっしゃらなかったと思います」

竹内議員「平成27年2月から3月と、4月2日の2回。短い期間に総理秘書官が官邸で連続して面会した。公正さを疑われるとは思わなかったのですか」

柳瀬氏「外の方からアポイントがあって断ったことはないと思います」

竹内議員「この加計学園の件を後任に引き継がれましたか」

柳瀬氏「まったく引き継いでおりません。それぞれの担当者から説明するというシステムです」

「加計をよろしく」という総理の指示や「首相案件」発言について、「まったくございません」と全否定!

竹内議員「あなたは『本件は首相案件』と発言しましたか」

柳瀬氏「平成26年9月の特区諮問会議で、民間有識者議員からの獣医学部新設の解禁を含んだ提案に対して、安倍総理が早急に検討していきたいと言われたので、その趣旨を申し上げました。この今治市のプロジェクトで、という趣旨ではありません」

竹内議員「では、『自治体が、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件』という発言はされましたか」

柳瀬氏「国家戦略特区の基準として、自治体の熱意が前提であるという趣旨は申し上げた」

竹内議員「『自治体が熱意を見せて、獣医師会に仕方がないと思わせるのがいい』という発言はしましたか」

柳瀬氏「ペット向けの獣医師ではなく、感染症対策の専門家の育成なので棲み分けできるという趣旨を言っていたと思います」

竹内議員「愛媛県の文書には、安倍総理と加計学園理事長が会食した際、下村文科大臣が『加計学園は課題への回答もなく、けしからん』と言っていることが話題になったので、その対応策について柳瀬秘書官に意見を求めたところ、『国家戦略特区の提案書と併せて課題への取り組み状況を整理して、文科省に説明するのがいい』と助言されたという記載がある。こういうやりとりがあったのですか」

柳瀬氏「そのような話が出た憶えはありません」

竹内議員「すると、あなたからは、閣議決定されているような『熱意が大切』ということを話されたということですね。では、加計学園関係者との面会について、事前でも事後でも総理に報告しましたか」

柳瀬氏「事前にも事後にもありません」

竹内議員「優秀な秘書官として、総理(の意向)を忖度して加計学園に誘導する狙いはあったのですか」

柳瀬氏「総理は、岩盤規制に穴を開ける強い決意を持たれていました。そんな中、民間議員の提案に対して、50年来、新規参入が認められていなかった獣医学部の新設も検討すると、総理がおっしゃっていたわけです。私としては、具体的にどの案件にするかは関心の外で、制度をどうするかに関心がありました。個別事業者の選定は平成29年なので、時間的にも制度的にも私の関心的にも、外のことだったということです」

竹内議員「総理から『加計をよろしく頼む』という指示は?」

柳瀬氏「まったくございません」

「おかしな規制に穴を開けるべき」との持論を延々と展開する国家戦略特区諮問会議メンバーに「質問に答えてくださいよ」と大ブーイング!

・参考人:八田達夫氏(国家戦略特区諮問会議有識者議員)への質疑
・質問者:自由民主党・後藤茂之議員
・質問者:公明党・竹内譲議員

後藤議員「この獣医学部新設にかかる国家戦略特区のプロセスは、適切だったとお考えですか」

八田達夫氏「規制緩和とは、消費者にとって利益が大きいが、既存の事業者からは抵抗されます。過去50年にわたって、岩盤規制のために新設できなかった獣医学部の件は最重要案件のひとつでした。特区の仕組みとは……」

(規制緩和の重要性を延々と語る八田氏にヤジが飛び、河村委員長が質問への回答を促す)

八田氏「はい、総理からも、秘書官からも、働きを受けたことはございませんでした」

▲八田達夫氏(国家戦略特区諮問会議有識者議員)

竹内議員「(加計学園と同様に獣医学部新設を希望していた)京都産業大学からの提案を、あなたは国家戦略特区のワーキンググループ座長として、どう評価したのですか。この提案は、さまざまな圧力で排除されたと思われますか。

 また、(柳瀬氏と加計学園側が面会した)平成27年4月という時期は、今治市や加計学園が論点になっていたのでしょうか。

八田氏「京都産業大の提案は大変よかったのですが、予期せぬことに『一校に限る』という制限がついた。これは、獣医師会の圧力によるものです。そこで、長年、何回も提案している今治を選びました。京都産業大の提案も、ぜひ実現してほしい。そして、柳瀬氏と加計学園関係者の面会が、私どもに影響を与えたことは一切ありません」

結局、安倍総理の親友が経営する加計学園としか会っていない柳瀬氏。しかし、総理への報告は1年以上もない不可解さ!

・再び、参考人・柳瀬唯夫氏への質疑
・質問者:立憲民主党・長妻昭議員

長妻昭議員「平成27年4月2日の会談以降、加計学園の関係者に会いましたか。4月2日以降は一度しか会っていないという事ですか」

柳瀬氏「官邸でお会いした3回は、覚えています」

長妻議員「官邸以外で、加計学園関係者と会ったのは何回ですか」

柳瀬氏「ゴールデンウィークに総理の別荘でバーベキューをやった時です。それ以外は覚えてございません」

長妻議員「ゴルフはされましたか?」

柳瀬氏「バーベキューの翌日、後ろの方でついて行った」

長妻議員「ゴルフの代金は誰が払ったんですか」

▲立憲民主党・長妻昭議員

柳瀬氏「私はわかりません」

長妻議員「加計学園関係者との会食はないですか」

柳瀬氏「バーベキューを。会食といえば会食」

長妻議員「後日、誰が払ったのか、調べてくれませんか」

柳瀬氏「しかるべきところに聞いていただきたい」

長妻議員「(加計理事長が)総理の親友でなければ、加計学園関係者とは会わなかったということでしょうか」

柳瀬氏「私は時間の都合がつけば、どなたであってもアポイントがあればお会いします」

長妻議員「それならば、同様に獣医学部の新設を希望していた京都産業大学などの関係者とも会ったのですか」

柳瀬氏「アポイントがなければ、お会いしていない」

長妻議員「普通は、首相秘書官にアポイントを入れるという発想はしませんよ。では、国家戦略特区の他の公募の事業者などと官邸で会ったことはあるのでしょうか」

柳瀬氏「特区の提案者とお会いしたことはない」

長妻議員「すると、(会ったのは)加計だけじゃないですか」

柳瀬氏「アポイントは加計だけだったので。最初のアポイントは『上京するので会いたい』と。用件を言われた記憶はありません」

長妻議員「国家戦略特区の件では(面会したのは)加計だけ。柳瀬さんが初めて加計学園の獣医学部新設の計画を知ったのは、いつですか」

柳瀬氏「平成27年の2月から3月に、加計学園の方が官邸に来られた時に聞きました」

長妻議員「首相と首相秘書官は一心同体で、秘書官は首相にまめに報告すると聞いています。勝手に外部の事業者と会うことはないはず。しかし、安倍総理は加計学園の獣医学部新設を去年1月20日に知った、と。加計学園の計画を認識した時期が、柳瀬さんと総理とで2年弱ぐらい空白がある。その間、あなたは総理に何も報告しなかったのですか」

柳瀬氏「これに限らず、総理にいちいち報告しません」

(場内、どよめく)

長妻議員「加計さんは総理の親友ですよ。首相秘書官が2年近くも何も言わないなど、あり得るのでしょうか。それでは、愛媛県の議事録にある『首相案件』という4月2日の柳瀬さんの発言ですが、おっしゃった記憶はございませんか」

柳瀬氏「総理が、獣医学部新設の解禁という民間議員からの提案を早急に検討したいと言った案件である、という趣旨で申し上げたものです」

長妻議員「当日は文科省と農水省の参事官も同席していますね。参事官はメモを取るはずです。メモがあれば出していただけますか?」

柳瀬氏「私はメモは取っていません。2人の参事官がメモをしたかはわからないので、委員会でご判断いただければ」

長妻議員「加計学園関係者と官邸で3回も会ったのは、今から考えると軽率だったとは思いませんか」

柳瀬氏「何回お会いしたからと、特別に配慮することはありません」

長妻議員「この件の本来の申請者は今治市、愛媛県です。ところが、メインテーブルには加計学園が主役で座っていた。これをまずいと思わない神経が信じられない。2013年5月の総理とのゴルフには、今井秘書官がいましたか?」

柳瀬氏「誰とゴルフを回ったか覚えていませんが、大体、今井秘書官と一緒だったと思います」

長妻議員「柳瀬さんが、いろんなことを言っている記録があります。『国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくか。実現すればどちらでもいい。国家戦略特区の方が勢いがある』と。そういうアドバイスをしたのですか」

柳瀬氏「安倍政権の看板政策として、国家戦略特区の説明はしたと思います」

長妻議員「首相秘書官が加計学園とだけ官邸で会って、このように丁寧なアドバイスをする。私は、さらに証人喚問を、あるいは加計孝太郎さんを参考人として予算員会に呼んでいただきたいと思います」

申請者の今治市ではなく、加計学園が「国家戦略特区で申請したい」と発言。やはり「加計ありき」だった!?

・質問者:国民民主党・今井雅人議員

今井雅人議員「私は政府に、柳瀬さんと加計学園関係者が会っていたのか、これまで何度も確認をお願いしていました。あなたに政府から照会はあったのでしょうか」

▲国民民主党・今井雅人議員

柳瀬氏「特に照会を受けた憶えはございません。私は、国会に呼ばれれば誠実にお答えすると一貫して答えていました」

今井議員「政府が本人に照会していないとは、びっくりしました。では、新聞報道すら読んでおられないという事ですか」

柳瀬氏「発端が国会でのやり取りだったので、私は国会でお答えするのが筋と考えていました」

今井議員「報道はご存知だったんですね。なぜ、政府に説明しないんですか」

柳瀬氏「国会から要請はいただかなかったので」

今井議員「これは柳瀬さんが悪いのか、安倍総理が悪いのか。後日、総理にもうかがわないといけない。『膿を出す』と言いながら本人に確認しないなど、行政府としてあっていけないことです。確認ですが(平成27年の)2月から3月の時は、どなたとお会いになったのですか」

柳瀬氏「多分、加計学園の事務局長はおられた」

今井議員「先方から国家戦略特区制度でどうしたい、という話はあったか」

柳瀬氏「国家戦略特区制度は話題に出た程度です」

今井議員「では、4月2日の面会の時は、加計学園から『国家戦略特区で申請したい』という話はありましたか」

柳瀬氏「(4月2日は)最初に元東大教授が世界の獣医学教育の話をされて、そのあと、事務局の方から国家戦略特区を活用したいという話があったと思います」

今井議員「その事務局の方とは、加計学園の方ですか」

柳瀬氏「その通りです」

今井議員「今のでよくわかりました。本来なら申請者である今治市が言うべきことを、加計学園が『国家戦略特区で申請したい』と発言したのですね。やっぱり『加計ありき』だったのですね?」

柳瀬氏「以前の構造改革特区の時も、今治市と加計学園が一緒にやってきたという認識です。私は個別の提案の良し悪しではなく、実際のニーズに関心がある。どこを採択するかは先の話で、当時は関心の外だった。提案者(申請者)以外から話を聞くのは極めて自然なことです」

今井議員「確かに構造改革特区の時は、今治市と加計学園は一体になって提案していた。しかし、国家戦略特区の場合、今治市が提案して(事業者は)公募でやるので、加計学園は関係ないはずです」

柳瀬氏「今井先生がおっしゃっている『加計ありき』は混乱があると思います。今治市が誰をパートナーにするかは、私の関心事項ではありません」

今井議員「柳瀬さんが、今治市にアドバイスをしたことはないんですよね。しかし、『自治体はこうしてください』というのは、加計学園に言うことなんでしょうか」

柳瀬氏「私は特区の基準をご説明しただけです」

今井議員「加計学園が主導して、今治市がついて行っている構図が、よくわかりました。また、愛媛県から提出された文書と柳瀬さんのお話には食い違いがあります。愛媛県側のお話をうかがいたいので、委員長よろしくお願いいたします」

今井議員「柳瀬さんが加計孝太郎理事長とお会いしたのは、2013年5月以外にはないですか」

柳瀬氏「記憶にございません」

今井議員「官邸で加計学園関係者に会う際、安倍総理の親友が運営している学校の人だという認識は?」

柳瀬氏「2013年5月のバーベキューの時、加計理事長と一緒に加計学園事務局の方もおられたので、その時の人だと」

今井議員「今井秘書官に、この話をしたことはありますか」

柳瀬氏「一切ありません」

今井議員「先ほど、『自治体はこうすればいい、獣医師会に対してはこう言えば』などのアドバイスをされたと言われましたが、『文科省には、こう説明したほうがいい』などのアドバイスはされましたか」

柳瀬氏「そういった記憶はございません」

今井議員「あなたは厚労省や農水省に関するアドバイスをしていた、とおっしゃった。文科省の事も説明しているのでは?」

柳瀬氏「獣医学部の新設がどこの役所の担当かわからなかったので、学部新設の文科省、獣医担当の農水省、感染症対策の厚労省、それぞれの出向者に聞き、面会には農水省や文科省の参事官に同席していただいた。それ以上でも以下でもない」

今井議員「加計孝太郎理事長も、ぜひ国会に来ていただきたいと思います」

総理秘書官を経験した江田憲司議員が糾弾!「総理秘書官は総理と一心同体。あなたはリスク管理の基本もわきまえていない」

・質問者:無所属の会・江田憲司議員

江田憲司議員「柳瀬さんは公僕であり、全体の奉仕者なのだから、国民全体の利益を考えてご答弁願いたい。あなたの答弁を聞いていると(かつて総理秘書官だった)私の常識に反することばかりで驚いている。(加計学園関係者との面会に際して)総理か首席秘書官の指示があったのではないですか」

柳瀬氏「まったくございません」

江田議員「指示もないのに、加計学園の関係者と3回、特に4月2日は1時間半も会ったのですか。あなたは『総理秘書官は多忙でたくさんの人に会う。いちいち記憶しておりません』とも言っていたのに、どうして3回も会うようなサービスをしたのでしょう」

▲無所属の会・江田憲司議員

柳瀬氏「多忙でも、アポイントがあればお会いする」

江田議員「では、他の案件でも地方自治体職員や事業者と会っているんですね、いっぱい」

柳瀬氏「私単独ではなく、総理と同行した際にお話をうかがうことはあります」

江田議員「いや、特定の案件で、あなたが官邸という密室で、ヒアリングした例があるのかを聞いている。他に面会の具体例があるのならば、委員会に提出してください」

柳瀬氏「……特区の関係でお会いした民間の方は、加計学園だけでございます」

江田議員「総理秘書官は総理大臣と一心同体です。許認可の対象になるかもしれない事業者と会うと、総理に累が及ぶ。普通はそんなことしません。異例中の異例の面談をしたから、疑念を持たれているんです。総理秘書官として、あなたが民間の人と面会する、しないの基準は何ですか」

柳瀬氏「反社会的勢力などを別にして、アポイントの申し入れがあれば、できるだけお会いしていました」

江田議員「あなたがリスク管理の基本もわきまえていないことがよくわかりました。さて、4月2日にあなたが加計学園関係者と1時間半の面談をしたあと、4月7日、安倍総理は桜を見る会で加計孝太郎さんと会っている。総理秘書官は、総理が翌日に面会する相手に関することを事前に伝えるのが当たり前です。『数日前、加計学園の方が見えましたよ』と耳打ちもしなかったんですか」

柳瀬氏「総理には一切お話ししたことはありません」

江田議員「6月5日には、加計の関係者が国家戦略特区ワーキンググループの会議に参加していた。8月には内閣府地方創生推進室の藤原次長(当時)が、岡山理科大学まで視察に行っている。4月2日にあなたが面談したことをスタートラインに、『加計ありき』の手続きが進んでいったと考えられる。総理秘書官は、総理の命を受けて動く。総理主導の案件ならば、面会で聞いた話は報告しないといけないはずだ」

柳瀬氏「個別の案件を、総理にご報告する必要はないと考えていました」

加計学園との面会には秘書官付きスタッフも同席。「そのスタッフが取ったメモはない」と確認せずに断言する柳瀬氏

・質問者:日本共産党・宮本岳志議員

宮本岳志議員「あなたは、加計学園関係者と会った際に今治市職員が同席していたとは知らなかった、と述べられた。東京新聞によれば、今治市側は前日、急にあなたと会う事になって飛行機の便を変えたという。いつ頃、このアポが入ったんですか」

▲日本共産党・宮本岳志議員

柳瀬氏「普通、アポがいつ入ったかは覚えていないものだと思います」

宮本議員「前日に今治市や愛媛県も一緒に行くことになったのなら、元々は加計とあなたとの約束だったのですね」

柳瀬氏「私は、加計学園からアポイントが入ったという認識だ。加計が今治や愛媛県とどういう話をしたかはわかりません」

宮本議員「その場には角田参事官、青山参事官が同席したというが、官邸側から他に同席者はいましたか」

柳瀬氏「総理秘書官付きのスタッフも同席していました」

宮本議員「そのスタッフのメモは残っていますか」

柳瀬氏「私のスタッフはメモを取ることはしません」

宮本議員「メモをとらない!?」

柳瀬氏「メモがあるかわからない。改めて訊いていないので」

宮本議員「推測はいいので、調べてもらえますか」

柳瀬氏「委員会でご案内いただければ……」

宮本議員「いや、あなたなら(本人に)訊けるでしょ?」

柳瀬氏「今は自分の職務命令下にないので、私から言うのはおかしい。私は、当時のスタッフに聞いた最大限の事をご説明しています。これ以上のメモや記憶があるとは思えません」

宮本議員「なぜ、断言できるのか。おかしいじゃないですか。メモについては(当時のスタッフに)訊いてください。さて、あなたの認識だと加計学園だけと会っていた、と。それならなぜ、『自治体の熱意が大事だ』などと自治体向けのことを語ったのですか」

柳瀬氏「地域の独自性を前面に出す、という制度の趣旨のご説明をしました」

宮本議員「全体としては認めながら、なぜ、下村大臣の発言(愛媛県作成の文書に『加計学園は課題への回答がなく、けしからん』との記述)はまったく記憶にないと断言できるのか。自治体が文書を捏造する意味はないと思うが、これを捏造とおっしゃるのか」

柳瀬氏「捏造かは、わかりません」

宮本議員「文書がこういう形で出てきている。そもそも、安倍総理と加計理事長が会食した時に安倍総理が語ったということなので、加計孝太郎理事長の証人喚問は不可欠です。また、愛媛県知事の参考人招致、合わせて、藤原豊氏(元内閣府地方創生推進室次長)の証人喚問、これらをご検討願いたい。加計は、公募のあとに出て来なきゃおかしい。この件は徹底的な追求が必要です」

・質問者:日本維新の会・井上英孝議員

井上英孝議員「規制緩和を進めていくという考え方は、われわれも当然だと考えている。そういう意味で一定の評価はしている。この岩盤規制の突破は完全であったと思いますか」

▲日本維新の会・井上英孝議員

柳瀬氏「大きく動いたと思うが、私が官邸を出たあとのことはコメントのしようがありません」

井上議員「一定の評価はするんですけれども、公平性が担保されていなかったと思う。その辺は、どうお考えなのか」

柳瀬氏「私が在籍していた時より、あとに出てきたことはよくわかりません」

井上議員「細心の注意を払って事にあたるべきだった。結果的に、公平ではなかったと思いますが」

柳瀬氏「配慮が必要だったと思います」

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