耳を疑うようなニュースが入ってきた。大阪地検特捜部は財務省の文書改竄問題で、前国税庁長官の佐川宣寿(のぶひさ)氏ら財務省職員らの立件を見送る方針を固めた模様である。
毎日新聞の報道によると、大阪地検特捜部は、虚偽公文書作成などの容疑で刑事責任を問うことは困難との見方を強めているばかりか、8億円値引きについても違法性があったとまで言えないと判断しているようなのだ。
▲大阪地方検察庁(大阪地検検察庁のホームページから)
このニュースを受けて森友問題を追及してきた共産党の宮本岳志衆議院議員は、自身のフェイスブックで次のように述べている。
「もし本当なら、大阪地検特捜部見損なったぞ。国民は絶対に納得しないであろう。検察審査会への訴えが出されるに違いない」
宮本岳志衆議院議員(2018年3月27日、IWJ撮影)
検察の立件見送りの判断は、検察が「忖度機関」に堕落した証拠!
驚くのは検察がそう判断した論拠である。「契約方法や金額など根幹部分の変更はなく交渉経緯などが削除されても文書の本質は変わらない」というのである! 改竄前の決裁文書からわかったのは、その交渉経緯ではない。誰の影響で契約方法や金額が決まっていったのかということである。安倍昭恵氏の存在がなければ、文書に記載されたような、森友を過剰に優遇した契約や売買金額はありえない。他にこんな事例がないことでそれは明らかである。
また、文書の本質が変わらないのは当たり前である。文書が表しているのは、改竄前も改竄後も、国と森友学園との間に、公平性からは程遠い交渉が存在したということである。文書はその歪んだ取り引きの反映に過ぎない。この歪んだ取り引きこそが財務省の決裁文書の本質である。
もう一方の8億円値引きによる財務省の背任容疑に関して、特捜部は「値引きの背景には、ごみの処理の問題や賠償請求を避ける意味合いがあったことを論拠に違法とまでは言えないと判断した」と報道されている。これが本当なら、衝撃的であり、きわめて残念と言わざるを得ない。なぜなら、特捜部の判断では、ごみの存在が前提とされてしまっているからである。ごみの存在の有無を問題にせず、官邸と財務省の描いたシナリオの枠内で、合法・違法を判断しているとしたら、それは検察までが官邸の「忖度機関」に堕落したということに他ならない。検察、とりわけ特捜部に課せられた「正義の実現」という使命はどこに置き忘れてしまったのだろうか!?
ごみは本当に存在したのか?
財務省近畿財務局は敷地(8770平方メートル)の約6割に1 万9500トンのごみがあると主張して、約8億円を値引きしている。そのごみ全体は誰も見ていないし、見たという証言もないのである。これだけの量のごみを搬出するとすれば、ダンプカー4千台分くらいが必要になると言われている。4千台のダンプカーが往来すれば、周辺の交通事情や住環境に影響を及ぼさないわけがない。いったい、この運搬業者は官邸と財務省の頭の中以外の、どこに存在するのだろうか? また、検察特捜部の頭の中には、いつから存在するようになったのか?
さらに、ごみが幻であることを示唆する報道があった。4月12日の朝日新聞は、近畿財務局が大阪航空局にごみの積算量を増やすよう依頼したと報じている。ごみの量など行政機関同士の話し合いで、いくらでも操作できるということである。
▲建設中の「瑞穂の國記念小學院」(2017年2月15日IWJ撮影)
財政法9条は次のように定めている。
「第九条 国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。
2 国の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて、最も効率的に、これを運用しなければならない」
森友学園のケースは、財政法9条の1項にも2項にも違反していると言えるのではないか。
ないものをあるとし、ごみの具体的な量まで行政機構が決めるというのは、国民の税金で運営され、本来公平であるべき官僚機構が、「構造的な悪」へやすやすと変質したことを示している。いったいなぜなのか?
2人の「敏腕」プロデューサーと内閣人事局
前川喜平前文科事務次官は、4月11日に熊本市で行われた講演「権力の腐敗と暴走」の中で次のように述べている。
以下の部分を改めていただけませんでしょうか?
・『それは検察までが官邸の「忖度機関」に堕落』
→『それは検察までもが官邸の「忖度機関」に堕落』
日刊ガイド4.13日号についても、
・「インタビューの際中ですと」
→「インタビューの最中ですと」
・「収集がつかなくなってしまった」
→「収拾がつかなくなってしまった」
日刊ガイド4.14日号についても、
・「インタビューの際中ですと」
→「インタビューの最中ですと」
日刊ガイド4.17日号(https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/35714)についても、
・「攻撃に関しフランスが主導的したとも取れる」
→「攻撃に関しフランスが主導したとも取れる」
→「攻撃に関しフランスが主導的な立場にあったとも取れる」
日刊ガイド4.18日号(https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/35733)についても、
・「スラップ訴訟の特徴から浮かび上がってくると」
→「スラップ訴訟の特徴が浮かび上がってくると」
改竄されても文書の本質は変わらない!? 8億円値引きは違法性があったとまでは言えない!? 2人の「敏腕プロデューサー」と内閣人事局! https://iwj.co.jp/wj/open/archives/418051 … @iwakamiyasumi
法と憲法、そして社会を壊す仕組みの元凶が「役人の出世のため」とは。旧ソ連末期でもここまで酷くはなかっただろう。
https://twitter.com/55kurosuke/status/984921479165788161