福島県原子力損害対策協議会・県知事他の損害賠償についての要望活動 2012.11.19

記事公開日:2012.11.19取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 2012年11月19日(月)16時より、東京都千代田区の東京電力本店で「福島県原子力損害対策協議会・県知事他の損害賠償についての要望活動」が行われた。福島県知事で、福島県原子力損害対策協議会会長である佐藤雄平氏らが、原発事故に関わる賠償問題、財物補償、除染などについて、迅速に行なうよう、東京電力に要望した。

■全編動画

  • 要望者
    • 福島県原子力損害対策協議会会長 佐藤雄平氏(福島県知事)
    • 同副会長 轡田倉治氏(福島県商工会連合会長)
    • 同副会長 瀬戸孝則氏(福島県市長会長、福島市長)
    • 同副会長 佐藤正博氏(福島県町村会長、西郷村長)
    • 同副会長代理 但野忠義氏(JAグループ東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策福島県協議会副会長)
    • 同代表者会議議長 村田文雄氏(福島県副知事)
  • 日時 2012年11月19日(月)16時
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

 冒頭、同協議会会長の佐藤雄平氏から、東電の廣瀬直己社長へ、原子力損害賠償の完全実施に関する要求書が読み上げられた。佐藤氏は「原発事故発災から1年8か月が経過した今も、多くの県民が避難を余儀なくされ、また、放射能による健康への不安、そして風評被害に苦しめられながらも、懸命に復旧・復興の努力を続けている。200万県民の総意として、原子力損害賠償の完全実施を、強く要求する」と述べた。

 続けて佐藤氏は、1. 被害者の視点に立った親身・迅速な賠償の実施、2. 全ての損害に対する十分な賠償期間の確保、3. 避難指示区域の見直しに伴う賠償、4. 自主的避難等に係る賠償、5. 風評被害対策等に係る賠償、6. 除染等に係る賠償、7. 時効への対応という、7つの具体的な要望と、その詳細を読み上げた。

 次に、瀬戸氏が意見陳情を行い、「昨年10月に文科省の審査会でも強調したが、自主避難者と、避難しない住民の2つのグループがあり、それぞれに分け隔てなく補償をしてほしい。なぜなら、自主避難者が戻ってきた時、差別が生じ、地域社会の分断を招く。県民は声高には言わないが、新聞の放射線量チェックは習慣になっている。除染については、現状は2万戸だが、11万戸が目標である。自主的な除染への費用負担もするべき」と述べた。

 佐藤正博氏は「先日、楢葉町に行ったらセイタカアワダチソウなど雑草が繁茂し、真っ黄色になっていて、荒廃地のあり様を目の当たりにした。西郷村では400人が避難している。祖父母は他の町に避難し、子供と嫁は通学のため、そのまま生活を続け、父親は仕事で他県へ、というように家族が離散してしまったケースが多い。未だ、放射能汚染の恐怖から、給食を食さない子供たちも多い」と話した。

 次に、轡田氏が「双葉地区は商工連合会の指導地域でもあるが、ほとんどが避難した。ごく一部は戻ってきているが、人がいないので商売にならない。財物補償を一日でも早くしてほしい。住民たちは『もう働かないで酔っぱらっているのが耐えられない、早く働きたい。働く場所がほしい』という気持ちで一杯だ」と語った。

 但野氏は「まず、(東電が)福島に分社してくれたことに感謝する」と述べ、 「財物損害の賠償手続きにおいて、東電は、たくさんの書類を請求する。簡便な方法で手続きができるようにしてほしい」と話した。

 その後、東電の廣瀬氏より、各要求に対する回答があった。廣瀬氏は一連の不手際に謝罪の意を表し、「現在、1万人体制で復旧工事、賠償処理に取り組んでいる。また、財物補償については、半年近く遅れている。自主避難者に対する賠償の件など、復興本社を福島におき、最善で迅速な対応に努めていく」などと説明をした。

 瀬戸氏、村田氏らが陳述を補足して、「除染と廃棄物の仮置き場の問題。災害復興住宅の問題。また、時効についても、賠償が受けられない人が出ないよう、十分に検討してほしい」と述べた。

 最後に、佐藤雄平氏が「1年8か月が過ぎ、16万人が避難を余儀なくされている。将来を見通せない実態、現場の状況、感覚をしっかり受けてとめて、誠実に迅速な対応をしてほしい」と再度、訴えた。

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