2012年11月15日(木)14時から、東京都港区の原子力規制委員会で、「緊急被ばく医療に関する検討チーム 第1回会合」が行われた。これは、緊急被ばく医療に関して、現場での経験が豊富な有識者から意見や要望を聞き、それを反映させた指針を作成するための会合である。初回のこの日は、「緊急被ばく医療の位置づけ」などについて話し合いが行われた。
(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)
2012年11月15日(木)14時から、東京都港区の原子力規制委員会で、「緊急被ばく医療に関する検討チーム 第1回会合」が行われた。これは、緊急被ばく医療に関して、現場での経験が豊富な有識者から意見や要望を聞き、それを反映させた指針を作成するための会合である。初回のこの日は、「緊急被ばく医療の位置づけ」などについて話し合いが行われた。
■全編動画
冒頭、司会の中村委員より、この会合全体を通して検討される項目と目的、及びそれらの議論点などの説明が行われた。続いて中村委員は、多数の傷病者への迅速な対応を可能とする緊急被ばく医療協力体制について、各有識者に意見を求めた。
明石氏は、福島第一原発事故を振り返り、現地での情報不足と汚染レベルの基準の混乱を指摘した。また、「現地の医療機関そのものが、被災者や被ばく者側になってしまった」と述べて、平常時の医療体制との違いを強調した。
山口氏は「医療従事者が従うべき判断基準が、あいまいである。そのため、うまく動けなかった。また、人材不足もあった」と話した。さらに、「今回の事故で、一次、二次、三次医療機関などの制度設計自体が、原発推進側の視点で作られていたことに、あらためて気づかされた」と指摘した。
細井氏は「医療従事者ですら、正しい知識が不足していた」とし、「被ばく医療は、少数の特殊な被ばく者への対応、一般傷病者の放射能汚染への対応、住民全体のマスとしての被ばくの対応、と分けて考察すべきである」との意見を述べた。
鈴木氏は「被ばくに対して、個人の受け取り方は千差万別。その点を踏まえて対応する必要がある」と述べた。
また、「医療従事者は、放射能や被ばくに対する基本的知識が不足している。共通のツールとしての語学力も必要である」という点に関しては、出席者全員の意見が一致した。
スクリーニングについては、線量、数値、それぞれ数字の取扱い方などがあいまいで、「スクリーニングの柔軟性がない」「数字がひとり歩きしている印象である」との意見が出された。山口氏は「国側(原子力規制委員会)が絶対的な基準値を作成し、それに対して、絶対に責任をとる、と明言しないと、スクリーニングをすることに意味はない」と強調した。
中村委員は「数値の設定の仕方、スクリーニングの目的を、きちんと提示する必要がある」と補足した。そして、「原子力規制委員会としては、今回の意見を反映させて、被災者の目線から見た指針を作成するようにしたい」と述べて、会合を締めくくった。