「見えない放射能を可視化する学者の警鐘」 山内知也教授 2011.11.12

記事公開日:2012.2.16取材地: テキスト動画
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 2011年11月12日、神戸で行われた山内知也氏(神戸大学教授・放射能実測)による講演会の模様。

■全編動画

  • 日時 2011年11月12日(土)
  • 場所 東播磨生活創造センター「かこむ」(兵庫県加古川市)

【以下、全文文字起こし】

「見えない放射能を可視化する学者の警鐘」 山内知也教授

 みなさんおはようございます。山内と申します。今日はよろしくお願いいたします。

 加古川で、もしかしたらお知り合いのかたとか、親戚のかたに今回の震災で被害に遭われた方がいらっしゃるんではないかな、と思います。

 最初にお見舞いを申し上げたいと思います。

 今日は「見えない放射能を可視化する学者の警鐘」というタイトルをつけていただきました。そういう風なタイトルにしようと思っていたんですけれども、私の方にも送っていただいたものを見ますと子供を放射能から守ろうという風なことが書かれてあったので、今日はその線で話をさせていただきたいと思います。

 この1号機、2号機と書いてあるのは、地震の前の福島第一原発の様子です。地震後、これはもう3月20日の状態ですね。昨日少し報道陣に公開されたんですけど、これが1号機で、これが2号機(写真)ですね。1号機は今は覆いができたところのようです。3号機、4号機についてはまだ手がつけれていない状態ですね。2号機は、これはあるんですけれども、炉心を冷やすのが実は一番難しい。外側は良さそうに見えなくもないですけれども中の状態はかなり悪いということが分かってきています。

 これが3号機(写真)ですね。非常に大きな爆発を起こした原発です。1号機の爆発の様子を見ているとどっちかというと白い煙がわっと広がるようなタイプに見えるので、見るからに水素爆発なんだろうな、ということが分かったんですけれども、これを(3号機を)みますと、かなり鉄骨などがひん曲がってしまっているんですね。爆発で曲がったというふうに加えて、もう一つ、熱、温度が非常に高いためにぐにゅっと曲がっていった、そんなふうな様相を呈しています。

 今、炉心の中は100℃よりも下がっているというふうなことになっているんですけれども、3月の事故の直後でいうと、おそらく圧力容器、原子炉容器の外に、熱い燃料が溶けて、それが出て、格納容器の内部が非常に高い高温になったが故に、全体が高温でひん曲がってしまったという状況になっているんではないかと思います。

 爆発の様子を見ていると、これも結果的には何か正式な報道というよりも海外から発信された映像ということになりますけど、1号機の白い白煙が四方八方にわっと広がるタイプではなくて、真上にドンっと吹き上げるような黒い黒煙、そして火の色、というんでしょうか、発火している所の色を見るとオレンジ色をしていたんですよね、明らかに。で、水素が燃えると、オレンジ色にはならないんです。赤紫色になるんですね。だからあの色が一体何の色だったか、というのは、解かなければいけない問題になっているのではないかな、というふうに私は思っています。

 で、ここ、もう崩れてしまっているところの、ここのフロアですね(写真)。ここが原子炉の構造でいうとどういうふうなところに対応しているのかというと、この辺りなんです(図)。上の構造物が全部どっか飛んで行ったと、そういうことです。崩れてしまったということです。

 この赤色で示しているところが原子炉の圧力容器で、この中に核燃料が入っていて、そして、通常の運転時にはそこで高温の水を発生させて蒸気にし、タービンを回すというそういうことになっています。その外側に、これ黄色で今、示してますけど、格納容器という容器があって、圧力容器が一つ目の壁だとすると、もう一つ壁がありますよ、ということになります。

 関西電力が用いてる原発と違う所は、ジョウキャクセイキ?がない、というところだと思います。燃料を交換するときに、圧力容器の頭を開けるんですね。そこから燃料を取り出して、実はこの格納容器の外側に使用済み燃料の貯蔵プールがあるという、そういうことになっています。今回の事故の深刻さというのは、4つの原子炉、でうね。そして、幸いとも言えないんですけれども4号機については定期検査に入ったばかりで、この(格納容器の)蓋は開けてるんです。今日の朝の新聞なんかにもちょっと蓋が写っていました。で、内部に燃料がなかった。ところが、取り出して、まだ熱い使用済み燃料がプールに置かれていたということなんですね。ですから原子炉だけじゃなくて使用済み燃料貯蔵プール、ここも大変なことになっていました。4号機では素雲照はなかったというふうに言われているんですけれども、沸騰がずっと起こり続けていました。ここが(使用済み燃料プール)が全部見ずがなくなるということになると、チェルノブイリの比、今回の事故の比ではないことが放出されることになります。

 なんとかその危機は、今のところ避けることができた、ということですね。

 1重の壁があって、さらに2重の壁の格納容器があるんですけど、実はその下のほうに広がっているんですね。見てすぐに思われるんじゃないかと思うんですけれども、淳代供養機の大きさ、格納容器の大きさ、そんなに差がないなぁ、と思うんじゃないかと思うんですね。こんなんで大丈夫なんだろうか。そのために圧力抑制プールというのが付いてまして、常にここには水が貯められています。もし、高温の蒸気がこの原子炉容器から出て来たとしても、ここ(圧力抑制プール)の水と接することによって凝縮して、圧力の上昇を抑えようと、そういうことなんですけど、8気圧とかになると、だいぶ危ないんですよね。この圧力容器、このハンドウ?容器の耐圧自身が、容積が大きいですから、8気圧のものをもたせようとすると非常に大変なんです。潜水艦なんかは深いところに潜りますけど、あれは容器があったら、外側が抑える力になります。こちらの場合には内側からふくれようとする力を抑えることになりますから、同じ厚さの材料を使っても全然違うことになるんですね。で、仕方がないからベントという操作を今回もしなければならなかったんですけれども。

 原子炉から高温の蒸気だけじゃなくて水素も出てきています。水素が漏れてきた、ということになってくると、水と接しても水素は液体には戻ってくれません。

 ですからどこかで◯◯なければならないという、そんなふうな事態になりました。

 これが模式図なんですけれども、中に、先ほどの赤色に見えてきたところがこちらです。黄色で見えてきたところがこの格納容器です。下側にドーナツ状に広がっているものがありました、圧力抑制プールですけれども、断面にするとこういうふうになります。輪っかが2つあるという、こんなふうになってます。

 通常運転時であれば、蒸気はこちらに流れて、タービンを回転させて発電して、海水を使った復水器で水に戻してもう一度炉心に、というふうになります。今、事故の経緯とは直接関係はありませんけど、実はこちらにいく蒸気の量よりも、内部で循環してる水の量の方が多いんです。それを再循環ポンプといって、水をクルクルクルクル回転させるような、そういうふうなことをやっています。で、この中に、原子炉から遠いところなんですけれども、全体が熱のバランスを保って、炉心の温度なり、あるいは放出する水の温度なりが決まっているんですね。エネルギーのバランスが保たれているというのが、安定的な発電所の条件になります。それは炉心でバランスが崩れても、あるいはもし海水が入ってこなくなったとしても発電システムは成り立たなくなります。

 今回の事故で、制御棒は下から挿入することになってるんですけど、核分裂、連鎖反応と言われるものは止まったんですね。普通であれば例えばガスコンロでお湯を沸かす、パチッと火をつけて沸騰した、それで◯◯◯ (17:15) 切りますと、余熱は放っといたら冷めますよね。原子炉の場合は制御棒が挿入されて、核分裂、連鎖反応が止まっても、実は発熱が止まらないんです。発熱が続くんです。で、何なの?というと、それ放射線ですよ、ということになる。発生してる放射能が発する放射線、それが出続けているために、発熱が止まらないんですね。ですから普通に言う余熱とは違って発熱なんですね。通常運転時でだいたい7%から8%。短◯◯(18:04) 放射性物質が多いですからそれは原子炉がとまるとスーっと減少はするんですけど、いつまでもいつまでも発熱が続くんです。今現在も冷却をしてます。福島原発。もしその冷却がうまくいかなくなって止まると、滞積している一回溶融した燃料の大きさにもよりますけど、2日とか3日たてば、もう一度溶け始めます。1800度に到達すれば、溶けます。ですから冷却し続けないといけないということなんです。そこが普通の火力発電所とは違うところなんです。こっから先は(冷却側は)火力と一緒だ、というふうによく言われるんですけど、こっちは全く(格納容器側)違うんですね。つまり、原子炉を止める、核分裂連鎖反応を止めたとしても発熱が続いてるから、その熱を常に除去しないといけない。そういうふうなタイプの発電所です。

 発熱の量なんですけど、これは崩壊熱といいます。放射能が出す熱です。例えば、あとでお話させていただきますけれども、セシウムがあればセシウムからはまずβ線という放射線が出ます。β線を出すと実はセシウムはバリウムという別の物質に変わります。そのバリウムからはγ線という放射線が出ます。β線は非常に高い能力を持った電子なんですね。それが物質の中に入るとなるとどうなるかというと、電子が減速するんですけど、もともと持っていたそのエネルギーは最終的には全部熱になります。γ線、遠くまで飛んで行きますけどどこかでは衝突します。衝突すると、衝突したところで別のタイプの電子を発生させて、その電子がまた止まるまでにエネルギーを物質に与えて温度を上げる、ということなんですね。もともとは放射線のエネルギーが全部最終的には熱になります。

 その量がどれぐらいなのかということで、すみません、これ10月2日の時点なんですけど今でしたら250日ぐらいに近づいてるでしょうか。福島1号機は46万KW、これ電気出力ですけど、それが200日以降ぐらいですと1500KW、まだこれぐらいあるんですね、1000KW以上は十分あるんですね。

 2号機、3号機は78.4万KWなので2500KWとか2000KW以上あります。

 ティファールとか非常に早くお湯を沸かすことの出来る、瞬間湯沸かし器とも言えるようなものありますよね。これがドライヤーと一緒で1450W程度なんです。ですから今でもそれぞれ1000台とか1500台、原始炉の中でスイッチが入れっぱなしになっている状態なんです。今現在も。ということは、水をどんどん送ってやらないと、自身の温度がずっと上がっていって溶けるということです。ティファールであれば空焚きの防止とかがありますからそこまでいきません。電気も止まってしまうし。ですけど、放射性物質は放っとくと絶対止まらないんです。人間は、絶対これを制御することはできません。距離をおくとか、どこか持っていくということは出来るかもしれませんけど、放射能の強さをコントロールすることは人間にはできません。

 今の状態なんですけど、おそらく最も近い状態がスリーマイル島の原発事故の結果、これに非常に近い状態が1号機2号機3号機すべてに起こっていて、こちらの方がまだゆるいということだと思います。燃料棒の落差、これは少しタイプが違う現象なんですけれども、だいたい4.5mぐらいあります。中心にウランの酸化物のペレットといわれるものが、直径が1cm、高さが1cmの円柱形をしたものがずっしりと並んでいるんですね。その周辺に、ジルカロイと呼ばれるジルコニウムの合金なんですけど、それが◯◯(22:30) になってる、それがたくさん並んでいるわけなんですね。で、反応が止まりますから、最初、原子炉の炉心の温度は現塩が止まった後には一旦下がります。下がるんですけど、今度、冷却することが出来なくなったんですね、今回の震災では。おそらく地震動によって壊れた部分があって、その後、交流電源が完全に失われましたから、炉心に水をどんどん送り込むことがまずできなくなったんですね。で、放っとくとじわじわじわじわ温度が上がり始めて、まぁ、じわじわと言いましても、2時間、3時間で炉心が溶けるということは、もう70年代ぐらいから分かっていたことなんです。崩壊熱だけで、冷却施設を放っとくと、2時間3時間ぐらいすれば、スコーンと抜けてしまうということは分かっていたことなんです。当時NHKのテレビで、炉心は安定していますというようなことを言われ続けていましたけれども、私、最初何をこの人達は言ってるんかさっぱり理解できなかったです。もうそんなん溶け落ちてるに決まってるやないか、という、原子炉工学勉強した人ならすぐ分かるはずなんです。そういうもんなんです、原子炉というのは。ところが、安心させるためなのか、どうするためなのか、虚偽の報道をNHKはし続けているということになります。スリーマイル島でも、3時間4時間ぐらいでこの状態になったんですけど、溶け落ちて、この黄色で書いてある所は(図)、先ほど話しましたウランの酸化物、3号機の場合にはプルトニウムがかなり入っているMOX燃料というものを使ってました。それとジルコニウムが一体になったような、原子炉の事故の後にしか作れないような物質が溶けたもの。それが下に流れ落ちて、お棺の底にたまったような状態でした。事故後、この燃料棒は全部取り除けられた、というふうに聞いています。そのあと、お棺の底の調査が行われました。亀裂は入っていました。亀裂は入っていたんだけれど、突き抜けるということにはこの事故の時にはなりませんでした。

 この事故で、水素爆発は起きなかったんですか?という話なんですけど、少なくとも3回起きているんです。かなり大きなやつが。

 ところが、スリーマイル島原発のかなり近くにピッツバーグの空港があったんです。ですからこの原子炉を建てる時に、飛行機が突っ込んだらどうなるんだという議論はずっとされていたわけなんですね。通常アメリカにある原発のだいたい3倍ぐらいの強度の格納容器で守られていました。それによって吹き飛ぶことはなかったんじゃないのかよいうふうに言われています。79年ですね。私が高校生だったころなんですけど。

 福島第一原発はどうなったかというと、まちがいなく圧力容器の底は抜けてます。炉心にどの程度残っていて、格納容器のほうにどの程度出て行っているのか、これ、今分かっている人はいないんじゃないかな、と思います。把握することすら難しいんじゃないかと思います。近づくことも困難な状態がずっと続くし、はたして本当に外に、今言われているように出すことが出来るのだろうかと。スリーマイル島の場合だと、まだこの中に入ってくれていたので、いくぶん残っていた燃料棒を引き上げることもできたのかもしれませんけど、この場合、どこまで広がっていってるかですね。それも難しいんじゃないかと思います。

 なんとか熱のバランスをとって炉心、炉心と言ってももうここじゃないですね。溶融した燃料、それの冷却を続けているのが現状じゃないかというふうに思います。

 常に思うのが、専門家の言葉というのをどういうふうにとらえたらいいのか、ずっとテーマになるんじゃないかと思うんですよね。

 私も16年前ですか?阪神淡路大震災の時には、職場が東灘で、住んでたのが西宮だったのもあるんで周辺でもいろいろ被害がありました。

 阪神高速が横倒しになったのがありましたけど、あれがうちの職場から100メートルぐらいのところでした。うちの学校校門を出た所もコンクリートの橋脚がガンッと、横にスパンと◯◯◯(27:47)とポンと◯◯◯。45度にパッと切ってましたから◯◯◯は正しいんだなぁと考えながらでしたけど。

 あのときは埋まった人も非常に多かったですけれども津波はなかったです。ですけどあの地震の時でも、1年前でしたか、ノースリッジで地震があって高速道路が落ちる地震が起きてるんですね。で、専門家が「いや、日本ではそういう設計になってません、起きません」というふうなことを言ってて1年後くらい経った頃ですね、津波について、1昨年の8月に政府のある委員会で、◯◯地震の時の津波、それは問題にした先生はいました。それを取り入れて、対策を中でしてるとずいぶん違った結果になったかもしれません。だけどそうしなかった。ですから、ここで失敗したんですね。

 原子炉の安全性、国の原子力安全委員会の安全審査指針というのがあります。そこで先ほど申し上げました崩壊熱について記述されているところがあるんですけど、電源が全部使えなくなる状態までは考えなくていいんじゃないかということを書いてあるんです。ですから電源が全部使えなくなる事態のことも考えていれば冷却もできたのかもしれない。そこで間違えている。

 私が今非常に危惧しているのは、放射線リスクの取り扱いなんです。事故度すぐに、100ミリシーベルトまでは問題ないと発言する人が相次いだんですよ。テレビも新聞も書き続けました。私自身は、もしかしたら僕のほうが間違っているんじゃないかと一瞬思ったりもしたんですけど、到底そうと思えないんですね。

 国が安全だと言っているから、ということで、福島市は、まだ、一番最後にお話させてもらいますけれども、福島市に、渡利地区という、阿武隈川を福島の県庁とかJRの駅から言うと、渡ったところにある地域があります。戸数が6400か6500、人口1万人以上の地域なんですけど、そこが非常に放射線のレベルが高い。年間20ミリシーベルトのようなポイントでもあったんですね。そこで放射線の線量の計測と、あと、土を持って帰って汚染のレベルを評価したところ1kgあたり30万ベクレルという値が出てきました。これがどんなふうな値なのかということですけれども、関東のいろいろな下水処理施設とかゴミ焼却施設で消却灰というものすごい高いレベルの放射能が出てくるのが問題になっています。今現在も問題になっています。で、どうしたらいいんだ、というのを自治体が行っているんですけれども、同じことがもし若狭のほうで起こると兵庫県でも同じ問題が間違いなく起こるんですけど、下水処理場が、放射能濃縮装置になってるんですね。いろんな全体からセシウムがずっと集まってきて最後 汚泥にして乾燥、それを消却して容積を小さくしますから、普通の自治体のサービスとして行われるものなんですけれども、その消却灰をどうするかが問題になって、国の指針で8000ベクレルから10万ベクレル/kgの消却灰に関してはコンクリートで固めれば埋めてもいいかな、というそういう感じ。ですから、10万ベクレル/kgのものは、コンクリートで固めれば埋めてもいいかな、と。だけど私、これ取ってきたのは、水路なんです、渡利町の。数ヶ月前までは子供達が中に入って遊んでたんです。そこの土が30万ベクレル/kgを超えてるんです。ですから今政府が言っている年間20ミリシーベルトの基準というのは今回のセシウムが◯◯(32:40)しまった状態で言うと、コンクリートで固めて埋めることもできない。10万までしか許してない。それを超えているようなところの土地をほったらかしにしても構わないという意味の、そういう基準です。

 法令では年間1ミリシーベルト、私も1ミリシーベルトでやれ、というようなことを言っているんですけれども、なかなかここまで普通被曝できないんです。

 今は違いますけど、原発の労働者のかたで1ミリシーベルト浴びてるかたは、ほとんどいらっしゃいませんでした。非常に高い人が1ミリとか2ミリ、そういうレベルでした。今は違いますけど。私達が実験で放射線を発生させてしまうようなケースがあります。その場合に通常1マイクロシーベルト/h あるような所には立ち入りません。そういう場所があったとしても、それは分厚い鉄の扉のむこうの世界です。今たぶんこの部屋で測ると0.05ぐらいです。ですから、0. いくつとか、0. 0いくつに下がるのを待って、それから中に入って作業します。ですから放射線を使う研究者はせいぜい10マイクロシーベルト、10とか15マイクロですよ。1ミリじゃないです。これの100分の1ぐらい。これは年間100ミリシーベルトですけど、事故後ここまで被曝しても構わない、と、いつの間にかすり変わって、20という基準が使われているとそういうふうなことになっています。

 これは、神戸新聞の黒川さんという記者が来て書いてくれた記事なんですけれども、1ミリシーベルトを適用しましょうと、そういうふうな申し入れをしたものでした。この記者自身は葛藤を持っているんです。事故後、100ミリシーベルトまで大丈夫という記事を何度も何度も書いてたんですね。本当にそれでいいのかという言葉を私のところにたずねてきたんですね。そういうふうな経緯で記事になりました。これはたしか5月で、まだ線量を下げろとかいう発言がしにくいような時期に神戸新聞が書いてくれたんですね。

 で、今日の話なんですけど、放射線被曝の特異性と非特異性、どんなふうなものなのかということと、あとセシウムの性質、あと、内部被曝を減らすこと、あと避難と除染の問題、渡利地区の問題についてお話させてもらいたいというふうに思います。

 放射線被曝のまず最初、特異性の話なんですけど、シーベルトという単位はこれ実はジュール/kgという物理の単位なんですね。1kgあたりどれだけのエネルギーを放射線が身体に与えたかという、そういうふうなものなんです。もともとの定義。で、どんなふうに考えればいいのかというので、お茶の例で考えてみたいと思います。

 57℃でだいたいおいしいぐらい。50ccぐらいいただくよ、というふうな場合に、体温が37℃ですから20℃の差がありますね。お茶を飲んだとして、お茶のほうから見て57℃が37℃に下がった、つまり、20℃分だけ身体がエネルギーをもらったというふうなんで計算をすると、体重が60kgだとkgあたりにすると70ジュールということになります。もし同じエネルギーを放射線によって与えたとすると、70シーベルトなんですね。人は7シーベルトで100%死にます。ほぼ即死に近い状態です。それの10回分になるんですね。

 20シーベルトの被曝はじゃあどんなのかというと、体温が37℃とすれば37.006℃のお茶を飲むということと同じです。エネルギーの観点からいうと、そういうことになるんですね。なんでこんなことになるんかというと、この化学結合を着るということが放射線にしかできないことだからなんです。

 私たちの身体は水が70%ですけれども、残りはタンパク質です。あるいはDNA、あるいは細胞膜でできてます。それは全部非常に大きな高分子の物質です。それらは高分子の形も含めていろいろ機能して、いろいろな私たちの意識も含めて生命体としての機能が発現してます。放射線はその結合を担ってるのが実は電子なんです。原子と原子の間にちょうど電子がたまるような格好になっていて、原子と原子を電位が結びつけてるんです。で、放射線が来るとその電子をはじきとばしてしまうんですね。ということになると、原子と原子、電子がはじき飛ばされる、原子の真ん中には原子核があってプラスの電気を、電子はマイナスの電気を持ってる、プラス、マイナス、プラス、マイナス、プラス、このつながりで大きな分子が安定に存在できている。で、放射線がやってくるとその電子をはじき飛ばします。どこに飛んで行くのか分からないぐらい遠くまではじき飛ばしてしまいます。そうなると残ったのはプラス、プラスが残ります。で、反発します。で、そこで切れるんです。これが化学結合を切るという、そういう意味合いなんです。

 お茶は80℃とか高い温度だと火傷はしますけど、お茶の場合はプラス、マイナス、プラス、マイナスのつながり、それのゆっくりとした熱運動です。それを少し激しくするように、私達の身体が暖まるというのはそういう意味合いなんです。
高分子としての機能、タンパクとしての機能、それは可能なままで、この行動が、若干高くなるというのが熱運動なんです。

 我々もジョギングしたりサイクリングしたりスポーツをしますよね。その場合も結合が切れるようなことはしてないんです。タンパク質の運動の仕方、それが違っているというそれだけのことです。ですけど放射線はその化学結合を切ることができる。ここが違うところです。

 私、これを放射線の特異性、と言っています。放射線ぐらいしかないですね。こんなわずかなエネルギーの付与で物質に致命的なダメージを与えることができるのは。

 非特異性とはどういうことかというと、甲状腺がん、あるいは子供の白血病等を別にすれば、放射線を浴びたから発病する特異な疾病はないんです。あらゆる疾病が生じます。その発病率が全体的に高くなるように放射線は作用します。どう考えたらいいのかということになりますけれども、免疫機能を傷付けることができるんですね。免疫を担っているようなタンパク質、それを破壊することができますから、全体的に発症率が上がります。となると結果どうなるかというと、例えがんになった、で、病理の検診で、がんですね、ということが指摘できたとしてもその原因が放射線ですよというふうに立証することが事実上できないんです。被曝が原因だと証明することが不可能なんです。そういうところから、放射線に安全な線量はないというふうに考えられます。

 シーベルトなんですけど、繰り返しになりますが、靭帯に吸収される体重あたりのエネルギー、放射線エネルギーです。ジュール/kgという単位です。

 このあたりだと0.05μSv/h といううことになります。名称自体は人の名前で、ロルフ・シーベルトというスウェーデンの学者です。スウェーデンは放射線の計測に関して独自の発展を遂げた国です。チェルノブイリの事故が1986年に起こったときに、間違いなく原発事故が起きてるということを世界に先駆けて公表できたのはスウェーデンなんです。自分のところの環境放射線のネットワークを持ってたんです。それに自信をちゃんと持ってたので言えたわけです。もちろんポーランドとか他の国でも測れたんでしょうけど、当時、世界情勢からソビエトよりも先に公表することが出来なかったということになるんでしょう。

 もう一方のベクレルのほうは、先ほどのシーベルトが人体に与える放射線の影響を見ようというのに対して、放射能自体の強さを表します。ですから、照明があるとすると、その照明の明るさというふうに思えばいいんですね。照明があって、照明に近い所に人がいると影響が大きい。照明から離れると影響が小さいということなんですね。単位としては、一秒間に壊れている原子核の数を表します。壊れることを「壊変」と呼んだりするんですけど、福島に行って簡単に計測できる放射能は何かというとセシウム137と134です。セシウム137は壊変してバリウム137に壊れます。セシウム134はバリウム134に壊れます。バリウムはX線の検査の時にバリウム飲むって言いますよね。あれはバリウムの硫酸化物なんですね。硫酸バリウムです。バリウム自体が結構重たい元素なのでX線の造影を撮りやすいということと、硫酸化物ですけどほとんど人体に吸収されないので安全だということで使われています。セシウムとは全く違う物質に変わってしまうんですね。

 余談ですけど、アントワーヌ・アンリ・ベクレル。彼で四代目ぐらいのフランスの、パリの博物館に勤めていて、教授だった。四代続けてそこの職を持ってて、かなり古い段階から実はウランを持ってたんです。ずっとそこから放射線が出てるということに気が付かなかった。全然、全く別な研究をしてる時に、どう考えても何か出てるというふうにしか見えない、ということでウラン線を発見した。その後、キュリー夫妻等がさらに詳しく仕立てて、ウランだけではなくてラジウムとかトリウムとか、そういったものから放射線というものが出てることが分かりました。その後、原子核だとかそういったものがイギリスの研究者達が明らかにしていったんですね。

 繰り返しになるんですけど、セシウム137というのは原子核の中の陽子、これプラスの電気を持っている小さな粒ですけど、それが55個あるものをセシウムと言います。137というのはその55個と、実は中性子が82個ありますよということで足し算で137なんです。セシウム134の方は中性子の数が少ないということです。

 これは、ある確率でβ線を出すんです。β線とは何かというと電子で、マイナスの電気を持ってる。原子核の中で何が起こっているかというと、ある日ある時、突然、原子核の中の中性子が陽子に変身してしまう。変身をする時に、中性子はもともと電気を持ってませんから、プラスの電気を残そうと思うとマイナスの電気を吐き出さないといけない。保存則が成り立っている。で、原子核から出る電子のことをβ線と呼ぼうというふうに名前を付ける約束をしました。
β線を出して出来るのがバリウムの137Mというふうについてますけど、これが実は不安低な原子核なんです。で、安定になろうとしてγ線を出すということです。これが今、汚染の原因でもあるし、原子炉の中の発熱の原因の一つでもあります。原子炉の中にはセシウム以外にもとんでもないほかの放射性物質がまだまだ大量に残っていますけど、外に飛び出て今一番目立っているセシウムはβ線を出したあとにγ線を出すということをしています。ちょっとこの辺になると話が落ち着いてしまってつまらないと思われるかもしれないですけど。

 繰り返しになりますけどセシウム137、134、ともに陽子が55個、中性子の数が82と79で違って、足し合わせるとこの番号、質量数と呼んでいるんですけど、それになります。バリウムは陽子が56個、中性子が一個減って陽子が一個増える、と、こういうふうになってます。

 α線の正体である原子核が陽子が2つで中性子が2つであるモデルとすると、その周辺に電子が雲のように取り巻いている、こういうふうな構造です。

 スケールを少し見ておきたいんですけれども、我々の身体のサイズ、メートルです。だいたい1メートル、2メートルの人はなかなかいませんけれども。それの1000分の1をミリメートルと言いますけれども、これは普通の物差しの目盛りで見えますよね。1ミリメートルのさらに1000分の1のことをマイクロメートルというふうに言います。1マイクロメートルでしたら普通の顕微鏡でようやく見ることが出来るレベルです。動物の細胞はだいたい10マイクロメートル程度。細胞よりも10倍ぐらい小さいのが1マイクロメートル。その1マイクロメートルからさらに1000分の1になるとナノメートルといいます。ナノテクノロジーのナノはここのナノから来ています。だいたい原子が10個並ぶと1ナノメートル程度です。ナノメートルの1個下あたり。さらにナノメートルの1000分の1のことをピコメートルと呼び、さらに1000分の1がフィムトメートルと言います。原子核のサイズは、実はこのレベルなんです。ですから原子は小さいですけど、それに比べてもかなり小さいということが分かります。1000分の1の、100分の1くらいの小ささです。イメージで考えますと、この部屋全体が原子だとすると、ボールペンをもしお持ちでしたら、ボールペンの先のボール、ありますね、それが原子核ぐらいのサイズです。よく言われるのはアメリカで有名な学者が、ヤンキーススタジアムが原子だとすると、マウンドの上にいるアリが原子核だと言ってるんで、この辺だったら甲子園球場が原子だとすると、マウンドの上のアリが、マウンドの上にアリはいないかもしれませんけど、それが原子核だと。

 あれ?というふうにお気付きかもしれませんけど、陽子がプラスの電気でしたよね。それがこんな小さいところに集まっていて大丈夫なのかという問題があります。反発しないのか。55個もありますよね。そんな小さいところに集まっているということは反発力が働いてバラバラになるんじゃないかという話になるんですけど、その反発力に打ち勝つだけの力があるということを言い出したのが湯川先生なんです。

 日本で最初にノーベル賞をもらった、原子核・素粒子物理学の湯川先生なんですけど、セシウムぐらいでしたらまあ、なんとか55個で持ちこたえることが出来るんですけど、ウラン、核燃料のが235なんですけど、この場合にはまるで違ったことが起きてしまいます。ある一定の確率で放射線を出すというふうなこともするんですけど、そこに中性子がやってくる。中性子というのは電気持ってませんから、平気でプラスであろうがマイナスであろうが原子核に入っていくことができるんですね。それが入ってくると、中の構造がゆがみます。一旦こういうのができてしまうと、プラスプラスの反発力が働いて、2つにぶっちぎれてしまいます。これは1930年代に発見されたんですけど、最初よく分からない現象だったんですね。ウランに中性子を当てる実験をしているとバリウムが見つかる。それの解釈が分からない。なんでそんなものが出てくるのかということだったんですけど、この頃どういうふうな研究をしていたかというと、ウランよりも重たい元素が作れるのではないか、ということで中性子を当てていた。どんどんどんどん大きくなるのではないか。そうではなくて、あるところで割れてしまうということが分かった。それが核分裂反応が見つかった瞬間でした。
この反応、2つに割れてしまうんですけど、単位が先ほどと違いますけど2億エレクトロボルト。1個でこのエネルギーが出るんです。

 メタンガスが2個の酸素と結びついて、二酸化炭素と2個の水分子を出す、普通に都市ガスで燃えているような反応ですけど、これメタンガス分子1個分だとすると9エレクトロンボルトぐらい。全然桁が違う現象だということです。

 こちら(メタンガスを指して)は原子と原子がお互いの表面にあるような電子をこっちだ、あっちだと言いながら手渡し手渡ししている普通の化学反応。

 こっちは(ウランを指して)原子核が別れていくんです。電子なんてついていくこともできないような、そんなふうな反応です。この時に2個、3個の中性子が出てきて、また別なウランに当たる、でまた中性子が出てくるというのを繰り返すのが連鎖反応。それをやっているのが通常の原子炉です。その時に、2つに割れたものが残ります。これが放射能です。今の場合だとセシウムということになります。

 これは(図)フランスの放射線防護原子力安全局員が、まず研究機関ですね、3月21日ぐらいにダウンロードして、それから私自身の更新はしてないんですけど、かなり早い時期に、フランス政府はフランス国民に対して東京から避難しろという指令を出したのはこれの計算があったからなんです。

 今、15日、16日ぐらいにかなりのところまで雲が覆った時期がありました。その時期、東京でもかなり線量が上がっているわけなんですけれども、幸いというと語弊があるんですけど、幸いだったのはその時、雨が降ってなかったということです。もしその時、雨が降っていると、東京が福島市レベルになってたというふうに言われています。たぶん間違いない話だと思います。

 これだけ汚染が広がってしまったわけなんですね。今はなんか計算結果を出してるみたいですけど、日本もSPEEDIとかいう計算を持っていたはずなんですけど、それはついに公表されませんでしたね。かなりあったと。正確さでかなりの感度があったということなんですけど。非常に大きな問題に起こしたと思います。

 SPEEDIの計算で(図)こっちまでの変化というのは出てませんけど、こちら方向に(図)のびてるよ、というのは十分出てるんですね。ですから計算結果と、どこか一点でも構わないから地上での結果があると相互比較でおおよその線量を考え出すことはできますから、10kmとか20kmとかいうのではなくて線量の高さに応じて避難させることはできたはずなんです。専門家ならそう考えたはずだと思うんです。ところが、そういうふうには動かなかったということです。

 これから少し、私の計測したことのある所だけお話したいというふうに思います。これは群馬大学の早川先生という地震学者のかたが出しているんですけど、火山の噴煙が拡散していくようなことを検討されて、その知識を応用されてマップを作られているんですけど、非常に役に立ったと思います。ただ、こういったマップとか、航空機で測ったもので分かるのは、例えば100メートルとか200メートルとかの平均値なんです。関西なら心配ないということになりますけど、住んでいる人からすると、今ここに経っているポイントと数メートルずれたポイントでケースによると10倍ぐらい違うときがある。ですから、基本的にこういう情報はいる訳なんですけど生活情報としてはあまりにも目が荒すぎるということになるんじゃないかと思います。

 私自身、実際 足を運んで計測したのは東京都の江東区というところ、あと埼玉の三郷市というところ、あと福島市です。実は、もっと他の所から来て下さいという話もあったんですけど土日で行くとするとお断りする以外なかったということと、計測した結果を公表してもいいのかという問題が、この場合非常に大きな問題があります。例えば土砂を持ってきて測ってほしいみたいなことは結構あって、それは結構やって発表してないこともあるんですね。なぜかというと大学の教員が勝手にそこに行って計測してもいいのか、そこの家の資産価値を損なってしまうようなことを勝手に発表してしまうようなことになっちゃう、それはできないというような話をしてて、地元の人がある目的を持って、そして測ってほしいということが明確になっている限りにおいてお受けしたということでした。一番早かったのが江東区にお住まいのお母さんお父さんなんですけど、私自身、江東区そんなに行ったことがなかったんですけど印象としては工業地帯かなぁとか、昔◯◯(59:10)の被害があったよなぁしかなかったんですけど、今、荒川の河川敷に沿って高層マンションとかが結構できてて、若いお父さんお母さんが子供を育てる地域になってるんです。やっぱりそういうかたが多いんです。電話をかけてきたのも、娘が3人いますよ、1番下はまだ1歳なんだけど上の2人の通っている幼稚園、それの計測をしてほしいという話でした。幼稚園の理事とか園長、その許可も得ています、ですから来てほしい。それが17日ぐらい、じゃあ土日使って、急いだ方がいいならそうしますよと、私自身も東京ですけれども線量計の用意とか、そういうことをしていました。で、直前になって、幼稚園測れなくなりました。ストップがかかりました。教育委員会からそれはしないでほしいと。幼稚園は非常に大きな幼稚園で、公立ではなくて私立なので計測もできるのかな、と思ってたりもしてたんですけど、私立に対してもそういう圧力があったみたいで、非常にお金のかかった幼稚園で、◯◯(1:00:47)、 川が中にあったり、◯◯みたいなものがあって木があったり、子供達が植えることのできる小さな畑が用意してあったり、そんなことをしている所だったので余計に気になったと思うんですけど、計測ができませんでした。結局そこは出来なかったんですね。

 これは(地図)東京の江東区です。最近開発された豊洲あたりとか色々なポイントで、少し色の濃いことろが比較的線量が高かったポイントです。

 神戸で0.05μSv/hなんですけど、福島に比べると◯◯(1:01:40) 0.1から0.2μSv/hでした。

 公園などを中心に廻ったんです。サーベイメーターを手にしながら。一番私が気になっていたのは砂場の砂だったんです。幸いなことに、放射能の問題ではなくて大腸菌の問題などがあって、定期的に砂場の砂は入れ替えているんですね。で、砂場の砂は、そうでもなかった。そころが砂場の脇にあるコンクリートのブロックとか、そういう所が結構高い、そういうことが分かりました。当時広い公園があって芝生とかがあると、芝生の中央で0.2とかありました。この間10月の終わりにもう一度同じ所に行ってみると0.2あった所が0.1に下がってるんです。ですから、芝生の中央からに外に向かってたぶん雨で流れたんでしょう。

 その証拠に芝生を取り巻いているようなコンクリートブロックの線量が高くなっているふうな点とか、あと◯◯(1:02:53)木の根っこで一番高い所で、ここに公園があるんですけど0.9というのが一個ありました。最初は薄い汚染が全体に広がったんだけど、ある所に溜まっていってるんです、水の流れで。ホコリがたまるとか水たまりができるような所とかそういう所は非常に線量が高くなる傾向は今も続いています。それが首都圏で言われているホットスポットと呼ばれるものです。この時にコンクリート結構やばいなぁということとか、古くなった木にくっつくとか、表面に細かい凹凸がある所にセシウムがくっつくなぁあということが分かりました。

 雨に流れているということで、公園なんかでも、側溝のグレーチングがあるような所が高い。水の溜まっている所がまたやけに高いと分かりました。0.2以上、0.25という所もありました。この水はどこに行くんですか?という話になると、全部、下水処理場に行くんですね。下水処理場の東部スラッジプラントというのがここにあるんですけど、ここ、最終的に消却灰でセシウム134、137合わせて一万超えるようなものがずっと恒常的に出ています。今も下がっていません。10月でも公表データとでも下がっていません。

 私達自身は、ここを中心とした二次汚染があるんじゃないかと訴えるわけですけれども東京都は何の反応もしようとしませんでした。そんな状態が今も続いています。バグフィルターというフィルターがついているのでセシウムは取れるという話なんですけど、これは5月の話ですからまだヨウ素だったんですね。ヨウ素は取れませんから、煙突の上からまた集まったヨウ素が東京の空に出ておったということは間違いのないことです。処理したものに放射性物質があるよということを東京都が公表したのは5月19日です。事故が3月で、東京に放射能が降り積もったのが4月21日だと言われています。ということは4月21日から5月19日までのほぼ1ヶ月の間、その間に処理された汚泥はどこへ行ったのか。で、コンクリートになっている。コンクリートブロック。流通したんです。どこに行ったか分からない。そういうふうな話で、追跡をするべきではないかという話もしたんですけど、その後話がどこへ行ったのか分からない。東京都の議員さんで、その問題をずっと追跡されるかたもうちの研究室に来ていろいろ話してもらったんですけど、対応が非常に悪いですね。

 ここにセシウムが溜まってきてるんで。おそらく東京全体を見渡した時に、どこに今 大量のセシウムが溜まっているかということと、これのプラントの内部に、例えば炉とか、炉から少し出た比較的低温の所、そこにセシウムがこびりついてると思うんです。私なんかが心配なのは、そこで働いている人なんですね。もともと放射性物質を扱うような施設ではない所がいきなり放射性物質を扱う所になっている。ですから、同じことがここでも起こりうるんです。普通、県とか市とかが対応しているゴミ焼却場とか下水処理場、放射能を扱うわけがないですよね。ところが、原発事故が起きると、そこに自然に行きます。燃やしたり、水を集めたりしていますから濃縮してるんです。これは、ですから今回 自治体のかたもいらっしゃるんではないかと思いますけど、徹底的に検証しておかないといけないことだろうかと思います。同じ問題は、瓦礫を引き受けたときにも出てくる問題になろうかと思います。

 水で流れるな、ということがわかったのが1つですね。

 もう1つ。これは、埼玉の三郷という所なんですけど、ここは実は私が行く6月15日のほぼ1週間前程度に、三郷市自身で放射線の計測をやってました。幸いというか、今、私が持っているサーベイメーターと全く同じ機種で三郷市が計測していたんです。ところが計測のしかたというのが小学校全部で22とか23とかなんですけど、グラウンドのど真ん中に線量計を置いて計測してそれの一覧表を出してるという、そういうやりかたでした。

 江東区の結果で、そんなんじゃダメだよ、と。水によって流れて行くから、濃淡が出来ていますよ、という話をしたんですけど、それだったら一緒に測ってもらえないかということで行くんですけど、やっぱりここも小学校が入れてくれないんです。困ります、と言うんですけど、困りますと言われても、困っているのはお子さんを持っているお父さんお母さんであって、別に先生は私が放射能測ったからといって困らんじゃないですか、と言うんだけど、じゃぁ結果だけでも教えてもらえませんか。で、公表する時には事前に教えてください、というようなことをそこの学校の教頭先生は言うんですね。そんなふうな対応でした。今ようやく自分達でも測れるようになったみたいなんですけど、最初は分からんこと言うてましたよ。一カ所測ると不公平になるから、と。たぶん、だから同じことをこのあたりでも事故が起こったら起きるんじゃないですか。教育委員会がとにかく子供を守ろうとしない。この時、非常に大きな誤解を招いたのが福島県ないに出された、学校の被曝線量の上限値を20にしようという話です。あれは福島県で出されたものであるのにあたかも全国に出されたものであるかのように各自治体は受け取っていたんです。そこが一番大きなボタンの掛け違いだったと思います。福島がそれでいいと言っているんじゃないですよ。そうではないんですね。

 いくつかのことが分かったんですけど、これは、ある小学校。ここが正門なんですね。内側にずっと校庭が広がっていて、入った所は駐車場です。雨が降ると校舎から全部 水が流れてきて、普通は中のこの側溝から流れるんでしょうけど、ちょっと不具合で校庭から水がずーっと流れてきて、ちょうどここに農業用の用水路があるんですね。なんとなく加古川のあたりと近い雰囲気かもしれません。田んぼがあって、農業地帯の近くにあって、非常に住みやすい所でこのお母さん達もやっぱり外から越してきてるんですね。子供を育てようと。街中のすごい所ではなくて、少し自然が残っていることろで越してきて家を建てたとか、まだローンを払わなあかんとかそういうふうなお父さんお母さんです。ここに水がずーっと流れ込むような状態になってたんですね。ここの空間線量は東京に比べると高くて、駅を降りるともう0.2あったんです。あー、ちょっと高いなぁ。0.2、0.3、高い所で0.4。微妙だなぁ、と思うような所だったんですけど、ここを歩いている時に線量計の針がフッと振り切れたんです。あれ?と思って近づいてみるとここの土の表面で1.8μSv/hありました。通常なかなかそこまでのものは出てこないんですね。これを学校に持って帰って放射能を計測すると1万超えてたんですね。先ほど冒頭で、福島市内で30万ベクレルという話をしましたけど、三郷で1万超えてるものがみつかったんです。この1万というのはどういうふうなものかというと1万ベクレル/kgを超えたセシウム、あるいはその汚染物というのは法律で言う放射性同位元素として扱われる、つまり、使用に許可がいる。使用しようと思うと、管理区域を設定する。放射線の出入りの設備を整えるとか、放射線を使用する時の主任者を置くとかそういうふうなことをしないといけない、そんなふうなレベルのものです。それが小学校の真ん前で見つかったわけなんです。これもお父さんお母さんたちが(1:12:20) わけなんですけど、私自身は感謝状の1枚ぐらいも来るのかなと思っていたら何もないですね。その後この土は市が除去をしてアスファルトで埋めたということなんですけどようやく自治体も除染云々言い出すようになったみたいです。少し6月のころからは違っています。

 広告も何もしないでください、ということだったのでしてないですけど、ここで幼稚園の中に入れてもらいました。ぜひとも来てほしいということで2つ行ってきました。やっぱり園庭が高い。安心したのは、園舎の中、園児がいる建物の中は普通なんです。全然まぁ、問題ない。園庭だけが高くて、あと、遊具ありますよね、すべりだいとか。そういったものも基本的にもう大丈夫だったんです。ただ土が高い。土もトンボみたいなものでほんと1cmもしないですね、数ミリ表面をスーっと集めてやると◯◯(1:13:30) まで下がったんです。これだったら簡単に除染できますよ、という話になって、翌日、翌々日ぐらいには、2つ幼稚園に行ったんですけど両方とも除染をしてやることを父兄が決めて自分達でしたということになってます。三郷だとそのレベルでした。ただ、ここも非常に気になることがあって、ちょっと戻るんですけど、川の上流に結構汚染しているところが広がっているんです。関東の。雨のたびに、これがもう流れてくることになるんですね。細かい粘土にくっついてるんで、水に溶けている 例えば塩 NaCl、食塩のナトリウムみたいなものだと完全に水の中に溶けてしまいますから、それは海まで行きます。水と一緒に行動できるんですけど、粘土なんで、水の流れる勢いがなくなると、水に置いて行かれるんです。つまり、溜まるんです。川底に。私、もう関東ほとんど土地勘がないんですけど、埼玉のあたりでも潮が引くと川底が露出するんです。つまり、海の水が入っていってるんです。江戸川あたりの。ということは、セシウムは外には出ずに、この辺に溜まるんです。それは長期的には非常に大事なポイントになっていくだろうというふうに思います。

 次、福島なんですけど、空間線量は一桁上なんです。1μSvとか3μSv/hが普通になるんです。駅前で降りるとだいたい0.5。こないだ福島県庁のある政党の講演会に呼ばれて行ったんですけど、県庁の裏も1μ十分に超えるレベルありました。この川を渡った渡利というところで、あと大波、ここで計測したのが6月です。三郷に行った一週間後です。

 大波小学校という所があって、ここは山村といいますか、山村とかちょっと言えないのかな。まぁ、ほとんどが農業地帯で、山あいにあって、家は連続したやつはありません。あいだに必ず畑を挟んで存在してるふうな、そんなふうな所なんですね。小学校一つあって、スクールバスがあるんですけど、そこのバス停の土1万超えてるんです。近くにあった野球の広場、ここも一万超えてるんです。渡利地区に戻って市営住宅の公園。ジャングルジムがあったりグラウンドがあったり砂場があったりなんですけど、私が計測に入る2日前までは遊んでたらしいです。で、行った時には立ち入り禁止。立ち入り禁止の外の土を持って帰ったら1万7千超えてる。そこでこうやって遊んでたらしいんです。子供らが放射性物質を手でつかんで遊んでたんです。それが6月の頃までずっと続いてたんです。3、4、5、6月。注意も何もしなかった。小倉地区という地区がここにあるんですけど、そこで道路の側溝から4万6千ベクレル。ここも周辺から大量の土が集まってくるような所で、濃縮が起こっている。三郷で一番の所でもありました。それ以外の土も、江戸川のほうとかも測ったんですけど、なかなか1万というのはないんですね。それは明らかに水が運んできたセシウムによって濃縮してる。ここはここでやっぱり水が運んできたセシウム、粘土についたセシウム、それが付いたということです。

 私自身は、大波も非常に線量が高かったし、渡利も普通に3μを超えるようなところがあちこちにありましたから、避難干渉地点という所に設定されるとばかり思ってたし、その説明もそろそろあるはずだと聞いていたんです。ところが、待てど暮らせどその案内が全然来ない。大波は除染をするという話が出ました。渡利の人はこのままでは避難も何もさせてもらえないということで、今、立ち上がりました。その前に計測に行ったんですけど先ほど4万6千と言っていた所が、23万まで上がっていました。濃縮が続いているんです。前は6月でした。これ9月です。その間にどんどんどんどん濃縮が進んでここまで行ってるんですね。

 薬師町という町があるんですけど、そこの水路ですね。これ、裏に弁天山という山があって、そこに雨が降るとずーっと全部流れていくような水路で、普通に降りて行くことが出来るぐらいのステップです、この机よりも段差がないぐらい浅い水路なんですね。そこの底で30万超えてる。これが先ほどボードで言いました30万ベクレル/kg超えるやつが町なかにありますよというやつです。

 ここの八幡神社というのは、ほんと小さなお堂があるだけなんですけど、近くに学童保育をしている建物がありました。子供らが普通に通るとこなんです。そこで15万ベクレル/kgです。

 ちょっとここで話が急に変わるようになるんですけど、ちょっとお一人だけ紹介させて下さい。

 長尾さんという人なんですけど、私がお会いした時には大阪市にお住まいでした。大阪市内に。西淀川区になるんですかね。阪神の尼崎から西九条に行く線路沿いの市営住宅にお住まいだったんです。その当時、もう多発性の骨髄腫を発祥されてて左肩の鎖骨ですかね、それがもうない状態でした。

 白血病については労災が認められた例というのがあったわけなんですけど、骨髄腫についてはなかったんですね。被曝の手帳とかそういったものを見せてもらって、私なんかよりもっと詳しい労災の人なんかにも協力してもらって、労災は認定されたんです。

 彼は大きなメーカーに勤務していて、自分の若い部下も率いて、いろんな原発、福島でも働いていました。でも、労災をもらっても気持ちがおさまらないということで、裁判を訴えて、いうふうに言われて、東京電力に対して保証を求めた。そうしたら、国が出てきました。東電を◯◯(1:21:32) ために国が出てくるんですね。裁判自体は負けました。

 労災は認められてもそれは、責任はないけど、助けてやったんだ、そういうところです。たぶんその姿勢が今後も続くんだと、いうふうに思います。

 彼自身は記録上は70ミリシーベルトということなんですけど、低い人では5ミリシーベルトでも労災をもらえてるような人もいるんですけど、発症したとしても認めてこなかたというのが一つ、だと思います。

 ICRPの基準で年間20ミリシーベルトという話になってるんですけど、ICRPがその基準を作る時に採用はしていない調査結果というのがいくつもあります。そのいくつかを紹介したいと思いますけど。

 これは、横軸が西暦年なんです。縦軸が新生児の死亡率なんですね。医療の発展とともにずっと減少していくわけなんですけど、よく見るとちょっとコブがあるんです。ここの差が、期待値と観測値の違いということになります。不思議なことに1950年代以降からずっと増えて、ある時になくなるんですけど。スターングラスという科学者、多分今90歳超えてまだ存命中じゃないかと思うんですけど、彼がいろいろな影響を除外していって最後にたどり着いたのが、大気圏外の核実験。それのフォールアウトによって過剰な赤ん坊の死亡が起こってるんじゃないかということを指摘しました。これは非常に大きな社会問題になりました。

 同様の傾向がイギリスのウェールズやイングランドでも認められています。

 こちらはコネチカット州の女性の乳がんの発生率なんですけど、昔はそんなにあったわけじゃないらしいんです。35年か45年のトレンドで見ると、むしろ減ってるんですよね。で、1945年から増え出したんです。これも核開発との関係を指摘する研究者が大勢います。

 あと、イギリス、フランスの再処理工場周辺で小児白血病の過剰死ですね。過剰発生。これも10倍の違いどころじゃなくて、100倍以上、期待値と違うんですね。といったものが見つかっています。

 20ミリシーベルト、100ミリシーベルトの基準、ここまでなら大丈夫、大丈夫じゃない、というのは基本的には広島、長崎の原爆被害調査、寿命調査からきているわけなんですけど、線量がずっとあって(図)、癌の発症率ですね、白血病の発症率が過剰なのか、そうでないのか、そういうものを見てということなんですけど、問題が指摘されているのは、ここからなんです。1950年から始まっている調査なんです。投下されたのは1945年、調査がその5年後からなんです。

 これもアリス・スチュワートという非常に高名なイギリスの疫学者なんですけど、彼女が最初に指摘するんですけど、代表例になってるのかどうかという問題。つまり、当時の状況を考えると、非常に劣悪な環境にありました。原爆を投下した直後というのは。で、感染症にかかって何かあった人が非常に多いんですね。つまり、感染症にかかることのなかった、丈夫な人が、のちに癌で亡くなる、つまり、体の弱い人は癌にもなれなかった。そういうふうな意味で、このデータだけに基づいて被曝の影響を考えるのは危険ではないかという考えがあります。

 もう一つは、福島で今問題になっている被曝の形態というのは、じわじわじわじわとした、毎日の被曝です。こちら(原爆)の被曝は1回なんです。ボーンときて、γ線が降ってきた、中性子線が降ってきた、そのあと、基本的に放射線のない所で生活を人がしてる。ところが福島で問題になっているのは、このまま避難が出来ないとすれば、ずっと、じわじわじわじわ被曝を被り続ける。それを線量という数値だけ比較していいのか、そういう問題です。

 もう一つ二つ紹介させてもらいたいんですけど、これはスウェーデンで取り組まれた、全癌の、死亡ではなくて発症なんですけど、発症の増加の研究なんですね。

 これが(図)スウェーデン北部で、こっちに(左側)ノルウェーがあります。で、こっち(右側)にフィンランドがあります。ですからここは海で、バルト海です。この濃い所と薄い所でレベルがあるんですけど、汚染レベルはセシウム137換算で平方メートルあたり120キロ(ベクレル)程度なんですね。

 飯舘村の土壌の調査で言うと、飯舘村の方が高い。ですからこのあたり(スウェーデン)、福島市内とか郡山とか二本松市とか、そのあたりに比較できるようなレベルの所なんですね。

 こちら(グラフ横軸)に土壌の汚染レベルをとって、こちら(縦軸)に相対癌発生率をとると平方メートルあたり100キロベクレルと、こちらで言うとだいたい700ベクレル/kg程度の地域に住んでいる人達が1986年から1999年までの話として過剰に1260名程度亡くなっているんではないかというデータが出たんです。ICRPの体系で計算すると、それ、300になるはずなんです。数が合わない。ICRPは、「生涯で」300人。こちらの研究は「1999年までで」1260人。ですから、また今後、増えて行くわけです。こういう結果が出てきているんですけど、今の線量の、このレベルまで大丈夫というこういうふうなところには、こういうふうなデータは一切入っていません。このあたりが非常に大きな問題になろうかと思います。

 この辺も、そろそろ時間なんでスキップして。

 で、わりと最近の話ですが、これは朝日新聞ですけど、福島でしか載ってなかったというふうに思います。11月3日なんですけど、10月30日に野田総理なんかも現地に入って大波の地区で本格的な除染が始まったんです。私も野田首相が行った2日後に現地にテレビジョンのクルーと一緒に入って、うまくいけば今週の金曜日の朝のモーニングバードという番組がありますけどそこでその模様が放映されるはずです。テレビ朝日が本当にやる気があれば。報道ステーションは非常に、古舘伊知郎氏が来てくれて、渡利の問題を番組の意思として出してくれたんですけど、大波のほうを出してくれるかどうかというのは金曜日の朝8時からだと思うんで見てもらいたいというふうに思います。

 庭に行くと庭の土がもう全部はがされてしまっていて、30年40年かけて作ったという庭木、全部切られていました。もう何もない。線量は、土、全部取ったんですよ。取ったんで、基本的にセシウムは高くない。このあたりなら0.05になるんだけど、0.3とか0.4のまま。なぜかというと、お宅の庭、この部屋の2倍ぐらいある所に屋敷が建ってるというふうに広いものだったんですけど、敷地の外は除染してないんです。できないんですよね。土を取ってどこへ持って行くんだという話になるからできないんですよね。ですから離れたところからも飛んでくるから下がらない。そこだけきれいにしても。おうちに近づくと0.6ぐらい。おうちの中に入れてもらうと1階で0.3ぐらい。上に上げると0.4に上がるんです。2階にいくと0.4です。上に持ち上げると0.5、0.6に上がるんです。これは、と思って屋根瓦みると0.7近くあるんです。そのおうちは屋根瓦は伝統的な瓦でした。除染したんですよ、水をかけて。でも、下がってないんです。

 もう1件のお宅は新建材を使って今風のおうちなんですけどやっぱり1階は0.3。2階はそっちのほうが高かったですね。0.5とか0.7です。屋根の上に線量計を上げると1超えてるんです。ですから、家の中のほうが線量が高い。でも家の中にだいたい8時間ぐらい寝てますよね。で、残りの時間 仕事したりご飯食べたりしますよね。外に出る時間が8時間だとすると家の中の線量が下がらないと意味がないんです。計測結果を各おうちに紙で渡すんですけど、ここに書いてるんですけど2階で25%の低減、つまり3/4にしか下がってないということです。これが除染の実態です。イメージとしては除染というと元に戻るというイメージしませんか。本来そのはずなんです。汚れを取り除くんですから。だけど、違いますね。その庭の土を全部取ったお宅というのは大工さんのお宅なんですけど、もちろん畑も持っています。家の続きで、道を挟んだお向かいが自分のところの畑なんです。そこに2.5メートルの穴を掘ってビニールシートを適当に敷いてそこに土を今 入れているらしいです。で、盛り土を数十センチしてるという状態です。だから、その土地があるから除染が出来た。持って行くところがあったから。じゃあ他の家はどうするんか。町なか、渡利地区のような。持って行くところがないんですよね。で、持って行くところがないから除染はできません、という説明をするんです。住民の被曝線量を下げるのが除染の目的のはずなんですけど、そうでなくなってきるんですね。

 飯舘村なんかでも、これから帰って除染するぞという話になってるですけど、福島市の比じゃないですね。私の入ったところの2倍、3倍、4倍、5倍。そういうふうなレベルなんです。年配のかたは帰ろうということになりますけれども、国が言うてるのでも家の除染に2年、畑に2年、山林に20年。そしたら今 25歳としたら45歳まで。除染を続ける人生になる。外に出たいと考えてる人もいてるんです。だけどその意思を表明することが非常に難しい状態に追い込まれているということみたいです。私は◯◯(1:34:45) できないかと。放射能は正面から行ってスコップで取ったからといって取れるような相手じゃないって、やさしく突き放しといて、別なところに自分は移って生活するというのも決して逃げることじゃないと。そちらのほうでもっといいブランド、飯舘の名前を残したいいブランドの農作物を作るということもあり得るんじゃないかってことを考えますし、そういうふうに思います。

 これは郡山です。郡山でも除染が行われてるんですけど、これは何かというと除染して出てきた土なんです。公園にポンと積まれてるんです。

 「一週間ぐらいで学校の校庭と同じ方法で処理します。町内会内の歩道の土があります。多少線量が高いです。公園内に入らないでください」

 公園にボンと土を積んでるんです。まぁこれ仮置き場という話になってるんですけど、仮置き場にしてもいいというふうに言ったのは郡山市の説明だと、「町会長が言った」ということになるんですけど、町会に入っていない住民もおるんです。加入してない。除染するにしても、これを持って行く場がない。これを仮置きと言ってますけど、いつまでが仮かどうか分からないということです。

 今、あちこちで言ってるのは、まずやっぱり計測しないと、見えない放射能を可視化するじゃないですけど、本当に見えないんで。測って、ここのレベルがどうかということにするしかないんですね。

 これ、◯◯(1:36:38)名前になってますけど、結構いいサーベイメーターを是非とも集めて、知り合いのかたが自由に使えるようにしてもらえないかと思います。外の線量を測るのも大事なんですけど、まずは寝ている部屋とか子供を寝かせてる部屋とか、そこの部屋を計測して、家の中で0.1から0.05ぐらいを目指してもらいたい。除染の際にはほこりを吸い込まないようにして、あと情報を提供する。あと、もしそこに住み続けるんだとすると、屋根の汚染が最後まで消えないんですよ。屋根の汚染をしてると、雨のたびにまた落ちてくるんです。だから庭を先にきれいにして、屋根が汚染したままだと、放っとくとまた庭も汚染してしまうんです。ですから、言うてるのは、屋根を取り替えてしまえと。同時にソーラーパネルを付けて補助金付けるとかして、福島の中通りのあたり、そこを日本有数のソーラーパネル設置の地域にしたらいいんじゃないかと私は見てます。福島市は2年後に1μSvを目指すというふうに言ってるんです。なんとなく頑張ろうかなぁというかんじ、せんでもないですけど、今の空間線量のうちの3/4は、実はセシウム134なんです。残りの1/4が、セシウム137なんです。134のほうが、たくさん放射線を出してるんです。同じベクレルでも。134は半減期2年なんです。だから3/4の分は、2年待ったら何もしなくても半分になるんです。半分になったら、たいていこれ(1μSv)いきますわ。だから福島市が掲げている目標をいうのは、事実上 何もしない、あるいは除染をしても下がらないと言ってるのと同じことなんです。渡利の人とか、現地の対策本部とか、あるいは福島市の東部の人と交渉しているのに私も同席させてもらって、この問題を指摘するんですけど、もう何も言えなくなりました。これ何もしなくてもこうなるような目標じゃないですか、と。ですからできないと、もう分かってるんです。結局なにが、というと、汚染した土壌に住民をつなぎ止めようということなんです。そこに。もうちょっと言うと、自治体を続けたいという意味なんです。これはものすごい大きな問題で、軽々しく言えるようなことじゃないんですけど、住民がいなくなったら、税収も全部なくなりますからね。あそこの◯◯(1:39:29)とかがどうなっていくのかがものすごい大きな社会問題になると思います。

 実は先週、西宮とか尼崎とかの納税協会が関係する方々のところに招かれて話してるとやっぱり税金の問題、資産価値の問題それはものすごい大きな問題になっていくと思います。

 最後、もう1つだけ。

 10月28日に渡利のお父さんお母さんが国と交渉しました。レベルが高い、という話なんですけど、その時にはもう一回 渡利の全世帯を対象として詳細調査をしてほしいと。実は南相馬市というところでは50cmの高さで2μSv/hという測定結果があると無条件に子供・妊婦さんのいる世帯は避難干渉地点にしてるんです。除染を優先すると言っても具体的なめどがたっていない。除染の効果が出るまで子供・妊婦が避難できるような予算措置をしてほしい。当然の要求だと思うんですね。説明会をちゃんとかけてほしいと、そういうことを言われています。おそらく来週の23日にも地元で報告会をしようと。何人かの協力する国会議員の先生たちも出てきてくれてるみたいです。おそらく渡利の子供達を救うことが出来ないとすれば、ただ一人の福島県民も救えない。ここを出発点にしてやらないと、だぶん物事は動かないと思います。南相馬市では50cmで、繰り返しですけど、この値(2μSv/h)を基準にしています。私自身はこれでも高いと思いますけど、南相馬市がやっているということは福島市も出来るはずなんです。細野担当大臣と私 直接テレビ番組の収録の合間に話をすることが1回だけ出来たんですけど、その時彼は、渡利の問題は分かっている、で、避難干渉地点については、自治体との協議事項なので、とはっきり言っていました。ということは、自治体が要請すればできるということです。福島市がそれをやってないんです。これをなんとか実現しないといけない。

 これから日本は人口がどんどん減ります。ですから若いお父さんお母さんが子供を運で育てたいと考える地域でなければおそらくその地域に将来はないと思うんです。今後 福島県内どこも非常にシビアなことになろうかと思いますけど、まず今は渡利の子供達を外に避難させる、そういうふうな取り組みが必要になってるんじゃないかというふうに思います。

 AVAAZというサイトが、グループがアメリカにあるんですけど、一昨日から渡利の奨励を集めてくれています。たぶんグーグルかなんかで「AVAAZ」とすると出てきます。で、2日間でもう10万超えました。まだ、それを継続するというふうにいわれてるんで是非ともみなさんやるし、友人も拡散していただきたいなと思います。私のほうからは以上です。

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