トランプ大統領の「どっちもどっち」発言で各界に激震! 米軍トップが相次いで人種差別批判「海兵隊に過激主義の居場所はない」! 大統領諮問会議も委員ら辞任で解散へ 2017.8.18

記事公開日:2017.8.18 テキスト動画
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(文:ぎぎまき)

 8月12日、米国バージニア州・シャーロッツビルで白人至上主義者団体やネオナチの支持者の大規模集会が行われ、反対する市民との間で衝突事件が起きた。ヒトラーを崇拝する20代の白人男性が反対派に逆上し、デモ隊に車両ごと突っ込んだのだ。ヘイトクライムによって32歳の女性が死亡、35人が負傷するという最悪の事態となり、州知事は非常事態宣言を発令した。

 12日の衝突については、米国メディアの「VICE」が白人至上主義者の動きも取材しながら、こちらの動画で詳しく報じている(全編英語)。一部、暴力的なシーンがあるので閲覧の際は、注意していただきたい。

思い上がる差別主義者たち KKKリーダーがヘイトクライムで殺された女性について「死んでよかった」!?

 ヘイトクライムによって市民一人が死亡したことをうけて、白人至上主義者団体・KKK(クー・クラックス・クラン)のリーダー、ジャスティン・ムーア氏は女性が「死んでよかった」と発言。「今後もこうした事態が起こるだろう」と警告まがいのコメントまで寄せたことを、15日、Fox NewsやNew York Postが報じている。

 「移民が押し寄せることによって自分たちが少数民族になりたくない」――。それがオルト・ライト(白人ナショナリズムの右翼運動)が白人至上主義を正当化する動機であり、トランプ大統領を支持する理由だと、オルト・ライトの創設者、ジャレッド・テイラー氏が大統領選翌日の2016年11月9日、テレビ朝日の取材に答えている。

 しかし、ヘイトクライムで死亡した女性は白人だった。結局、白人だろうが何だろうが、自分と思想が異なる人間はすべて彼らにとっては「敵」であり、命を奪っても構わない相手だと見なしていることが、今回の事件で証明されたわけである。移民大国アメリカで、こうした憎悪に満ちた排外主義的思想が猛威をふるいだすことは、誰にとっても脅威以外の何ものでもない。

 しかも、市民が必死に差別に抵抗する目の前で、次のヘイトクライムを生む火種をつくっているのがこともあろうに大統領本人という最悪の危機に今、米国の人種差別の克服の歴史そのものが大きく揺らいでいる。

 衝突事件から3日後の15日の会見で、トランプ氏は衝突事件について白人至上主義者と差別反対派の「両方に非がある」とコメントしたのだ。

「両方に非がある」、どっちもどっち論を展開したトランプ大統領をKKK前指導者が歓迎

記者から「オルト・ライト」との関係を問いただされたトランプ大統領は「『オルト・ライト』の定義は何だ?」と口火を切り、「ならば、突撃してきた反対派の『オルト・レフト』はどうだ? 彼らに罪はないのか?」と述べ、白人至上主義デモに反対した市民を、「オルト・レフト」という造語で批判。反対派市民を人種差別主義・ネオナチの極右と対比させ、「極左」扱いした。一度は人種差別と暴力を非難する声明を出したトランプ大統領だったが、あっという間に化けの皮が剥がれた。

 白人至上主義者らはこの日、南北戦争で奴隷制存続を主張した南部側の英雄、ロバート・E・リー将軍の銅像撤去に反対するため、「この数十年で最大規模」の集会を開いていた。反対派との衝突を懸念し、集会を実施しないよう抗議する声があがっていたにも関わらず、集会は決行され、最悪の結果を招くこととなった。

▲バージニア州シャーロッツビル市内の公園にあるリー将軍の像。市議会で撤去が決定している

 会見では、「すべての人が白人至上主義者ではない。リー将軍の銅像撤去に反対する誠実な人もいた」と、オルト・ライトをかばうようなコメントまでトランプ大統領の口から飛び出した。これに喜んだのがKKKの前指導者、デービッド・デューク氏だ。

 デューク氏は「本当のことを言ってくれた誠実さと勇気に感謝する」とトランプ氏の発言を歓迎するコメントをツイッターに投稿した。

 「どっちもどっち」という危険なロジックで、ヘイトクライムに対する批判を回避しようとしたトランプ大統領は、この後、政界や経済界、スポーツ界から批判の嵐にあうことになる。

軍トップが相次いで人種差別批判! ブッシュ元大統領親子も異例の声明! サッカー女子米国代表「(トランプ氏に)吐き気を覚える」

 ともに共和党の元大統領であるジョージ・H・W・ブッシュと息子のジョージ・W・ブッシュ親子は、「あらゆる形の人種的偏見を拒む」よう国民に呼びかける声明を発表。現政権の問題に両氏がコメントするのは異例だという。オバマ前大統領も、反アパルトヘイト運動に生涯を捧げたネルソン・マンデラ元南アフリカ共和国大統領の「生まれたときから肌の色や出自、信仰の違いを理由に他人を憎む人などいない」という言葉を引用し、Twitterに投稿。史上最多の「いいね」を集めている。

 非難の波紋はとどまることを知らない。

 海軍の制服組トップのリチャードソン作戦部長は、事件当日の12日、海軍のホームページに「容認できず、大目に見てはならない。海軍は、憎悪と不寛容に立ち向かっていく」とするコメントを掲載。15日には海兵隊のロバート・ネラー総司令官が、自身のTwitterに、「海兵隊には、人種をめぐる憎しみや過激主義の居場所はない」と投稿している。

▲海兵隊のロバートン・ネラー総司令官のTwitter(8月16日)

 それだけではなく陸軍のマーク・ミリー参謀総長も16日、「陸軍は人種差別、過激主義、憎悪を許容しない。これは、われわれが支持してきた価値観であり、そして、あらゆることに反する」と、Twitterに書き込み、空軍のゴールドフェイン参謀総長も「仲間の参謀総長などとともにある」と投稿。政治的な発言に慎重な米軍のトップからこうした批判の声が噴出したことは、異例の動きだと米メディアは報じている。

▲陸軍のマーク・ミリー参謀総長のTwitter(8月16日)

 多くのアフリカン・アメリカンが活躍するスポーツ界も黙ってはいない。

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