構造改革特区の時代に安倍内閣は「加計学園」の申請事実を把握していた! 参院でも追及される「1月20日」発言に、安倍総理は「整理が不十分だった」と無理筋の弁明! 「公募」はやはり建前だった!? 2017.7.25

記事公開日:2017.7.26 テキスト
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(城石エマ、原佑介、 記事構成:岩上安身)

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 前日の衆院予算委員会の閉会中審査で飛び出した総理の発言が、翌、2017年7月25日の参院予算委員会の閉会中審査でも、質問の中心を占めた。

 7月24日、安倍総理は民進党・大串博志議員から、加計学園が特区申請をしている事実について知ったのはいつかと聞かれ、「(今年の)1月20日」であると答えた。答弁を受けた議場は、騒然となった。

 前愛媛県知事の加戸守行氏の答弁からも明らかなように、加計学園は10年も前から、愛媛県今治市での獣医学部新設のために動いてきた。総理が「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎氏が理事長を務める学校の長年の動きについて、今年の1月20日まで知らなかったとは、到底信じられない。

 なおこの1月20日という日付についてだが、「国家公務員倫理規程」3条の「禁止行為」中では、「利害関係者」からの供応接待やゴルフをすることが記されている。また安倍総理が加計氏と腹心の友であり、食事やゴルフを散々していることはすでに周知でもある。

 なので、加計学園が事業者に決定した1月20日以前に、「友」であることとは別に「利害関係者」である、と知っていては、絶対にいけなかったのだ。

 質疑に立った野党議員らは、安倍総理のこの発言が、今国会での安倍総理自身の答弁や、安倍内閣の閣議決定の内容にも反することを指摘した。

 実際、公開されている議事録を見れば、安倍総理が過去3回にわたって、今回の答弁とは異なる答弁をしていることがわかる。

 参院予算委員会(5月9日)での自由党・森ゆうこ議員の質問、参院決算委員会(6月5日)での民進党・平山佐知子議員の質問、同じく参院予算委員会(6月16日)での社民党の福島みずほ議員の質問に、安倍総理はそれぞれ一貫して「国家戦略特区に申請をすれば私の知り得るところになる」という趣旨の答弁をしている。

 加計学園が国家戦略特区に事業者として応募をするのは、今年1月10日のことだ。答弁の変遷を指摘された安倍総理は、「構造改革特区と混同していた」などと見え透いた弁明を口にした。

 しかし、構造改革特区の頃、今治市ははっきりと「加計学園」を事業主体として申請し、安倍内閣は2013年10月11日にはすでに、そのことを承知した上で政府対応を決めていた。この事実は、安倍内閣自身が、今年4月28日に答弁書の中で認めている。

 「構造改革特区のときは今治と加計学園はセットだった。加戸守行さんもそう言っていた。なぜか国家戦略特区では加計学園の名前を伏せた。あくまでも公募なんだという前提にした。知っているのに、知らないふりをした。だから混乱しているんです」

 この日、質疑に立った森ゆうこ議員のこの指摘こそが、的を射ているのではないか。

 「支持率26%」という、第二次安倍政権発足以来最低の数字を前に、安倍総理の答弁口調には、これまでに見られた傲慢さが鳴りをひそめているように見えた。しかし、終始一貫して説得力に欠ける答弁を繰り返す姿勢は変わらず、民進党の蓮舫代表は「口調だけ丁寧」と批判した。

 衆参の閉会中審査は終わったが、野党議員らは引き続き、当事者の加計孝太郎氏の証人喚問を求めた。もはや、支持率回復など望むべくもないが、総辞職をする前に、安倍総理にはこの問題の真相をはっきりさせる義務がある。

 以下、IWJがおこなった実況ツイートを並べて加筆し掲載する。

記事目次

「加計ありき」を前川喜平前事務次官のでっちあげということに!? 相変わらず止まらない自民・青山繁晴議員の「前川氏個人攻撃」 前川氏は淡々と反論

 7月25日参院予算委員会の閉会中審査が開会。「安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議」が行われた。加戸守行前愛媛県知事、前川喜平前文科事務次官、和泉洋人首相補佐官、藤原豊内閣府審議官、柳瀬唯夫元首相秘書官、原英史・特区ワーキンググループ委員が参考人に。

自民党・青山繁晴議員「前川氏が和泉氏に会ったという日付が変遷。どれが本当なのか」

▲自民党・青山繁晴議員

前川喜平・前文科事務次官「獣医学部新設の件で和泉補佐官に最初に呼ばれたのは2016年9月9日の15時頃。10時頃は言い間違い。メディアのインタビューで9月5日と言ったことも、別件で会ったものだった」

青山議員「『加計学園ありき』で決まっていると情報を作られたのは、前川氏では」

前川氏「木曽功氏からは『今治の獣医学部の件よろしく』と。和泉氏からは『総理は自分の口から言えないから私から言う』と。総理のご友人の学校の件を早くしろと理解。

 9月26日に藤原審議官から『今治の獣医学部の件で総理は平成30年4月開学とおしりを切っている』と。10月21日萩生田副長官ご発言概要にも。私の理解は正しかった」

▲前川喜平・前文科事務次官

青山議員「『加計』という言葉は出てこないんですよ」

野次「『今治』と言っているだろ!」

「文科省や農水省など既得権益」が行政を歪めた!? 安倍総理と歩調をあわせる加戸守行前愛媛県知事

安倍総理「今年1月20日に、はじめて加計学園の応募を承知した。お互いの立場を利用して何かをしようとしたことは、ただの一度もない。教育者として時代のニーズに合わせ、新たな学部にチャレンジしたいという話はあったが、具体的にどの学部、という話はない」

▲安倍総理

加戸守行前愛媛県知事「昨年まで、安倍総理が加計理事長とご友人とは知らなかった。教育再生会議の場で、獣医学部の問題で暗礁に乗り上げているから、岩盤に穴を開けてもらえないかと言ったが、総理は興味なさそうだった。ご友人の加計学園と知れば、反応は違っただろうに。構造改革特区でもうまくいかなかった。理由は文科省や農水省など既得権益団体の岩盤に阻まれていたから」

▲加戸守行・前愛媛県知事

安倍総理「昭和41年を最後に獣医学部は新設されず。公務員獣医師の確保は喫緊の課題。時代の変化に対応できない制度こそ歪んだ行政」

加戸氏「あるテレビ局の取材で前川氏が、私が教育再生実行会議で安倍総理の指示で学部新設について発言したと述べた。私は笑い飛ばしましたが、カットに」

前川氏「誤解だと思います。安倍総理の指示で言ったとは言っていない。加戸先輩の誤解だと思います」

「シビリアンコントロールはできている」――「日報隠蔽」問題で稲田防衛相が民進党・蓮舫代表の追及に弁明 安倍総理は稲田防衛相の罷免を否定

青山議員「稲田防衛相は南スーダンの日報問題で忙殺。日報は統幕が発表しているので、陸自から同じ日報が出ようと問題ではない」

稲田朋美防衛相「日報については『戦闘』という言葉を含め当初から公開すべしという態度。しっかり探して公表するようにと指示」

▲稲田朋美防衛相

民進党・蓮舫議員「昨日の審議で疑惑は軽くなったか?」

安倍総理「事実に基いて述べましたが、国民の十分なご納得を得られていないのは承知」

蓮舫議員「事実に基いてと言うが、記録、記憶はない。柳瀬氏さえも見事に記憶をなくしていた。稲田防衛相、防衛省を統制できているのか?

▲蓮舫代表

稲田防衛相「ご批判はご批判と受け止め…これまでも統制してきたと思います

(野次「甘ったれるな!」)

稲田防衛相「いったん不開示となったものを、私の指示で公開に。これもシビリアンコントロール」

蓮舫議員「ではなぜ次々内部情報が出るのか?報道にある防衛監察のまとめは本物か?」

稲田防衛相「私に報告はありません。したがって何を指しているのかわかりません」

蓮舫議員「誤報ということか」

稲田防衛相「特別防衛監察の事実調査は継続中」

安倍総理「現役の検事も所属する特別防衛監察を指示。稲田大臣が説明責任を果たす」

蓮舫議員「指示をした大臣自身が聴取を受けるという異常事態。稲田防衛相を罷免するべきでは」

安倍総理「再発防止を図ることで責任を果たしていただきたい」

蓮舫議員「都議選では稲田大臣が違法な発言も。暴言を吐いたが違法行為はしてない今村復興相は罷免されたのに、総理はなぜ稲田大臣をそんなに守るのか?

安倍総理「稲田大臣は、その日のうちに発言を撤回した」

参院決算委、参院予算委で安倍総理は「国家戦略特区に申請した段階」で加計学園の応募を知っていたと答弁…「構造改革特区と混同」と弁明

蓮舫議員「総理は1月20日に加計学園の公募を初めて知ったと。6月に福島瑞穂議員が『加計学園の新設をいつ知ったか』と聞いたとき(※)何と答えたか」

安倍総理「『国家戦略特区に申請すれば知りうる』と(※)。急な質問に整理が不十分なままお答えした」

(※)6月16日の参院予算委員会での、社民党の福島みずほ議員の質問:

福島議員「総理、加計学園の加計孝太郎さんが今治市に獣医学部をつくりたいというのは、いつから知っていましたか?」
安倍総理「(前略)当時は国家戦略特区ではなくて構造改革特区であったわけでありますが、そこで申請されたということについては、私は承知をしていたところでございますが、その後に当然、私は議長を務めておりますから、国家戦略特区に申請をすれば私の知り得るところになるということでございます」

蓮舫議員「福田内閣のときに申請したことも知っていた。構造改革特区に申請したことも知っていた。平山議員の質問(※)にも『国家戦略特区に応募した段階で知った』と」

(※)6月5日の参院決算委員会での、民進党・平山佐知子議員の質問:

平山議員「大親友である加計さんがずっとこの獣医学部を新設したいという思いであったということは当然ながら御存じでいらっしゃいましたよね?」
安倍総理「これは、安倍政権になりましてから、国家戦略特区に、その申請を今治市とともに出された段階で承知をしたわけでございます」

安倍総理「急な質問だった…(野次)。今治市とともに決定する段階で知ったということ」

蓮舫議員「急な質問ではありません。通告しています

安倍総理「整理が不十分なまま申し上げた。もう一度しっかり調べて先ほど答弁した」

蓮舫議員「予算委員会、決算委員会、昨日の予算委員会。どれが虚偽答弁か」

安倍総理「今答弁したことが事実である」

蓮舫議員「平山議員の質問に『国家戦略特区に応募した時点で知った』と」

安倍総理「申請段階ではなく決定段階だった。混同していた」

「今治と加計学園はセット」であると閣議決定している! それでも安倍総理は「今治市の申請は知っていたが加計学園は知らなかった」と強弁

蓮舫議員「国会を何と思っている。今治市と知っていながら加計学園と知らなかったとは言わせない

 4月28日の質問主意書への答弁書では、『今治市の説明資料に加計学園が候補になる社と記載があり、安倍総理を本部長とする構造改革特区推進本部で2013年、2014年、2015年、それぞれの提案に対する政府方針を定めた』と書いている。安倍内閣が閣議決定している。今治と加計学園はセットだと閣議決定で書いている

安倍総理「構造改革特区におきましては…安倍内閣になってからは、今治市としか書いていない」

速記止まる。

安倍総理「獣医学部新設について、平成19年11月の構造改革特区の説明資料に加計学園が候補として書かれ、安倍総理を本部長とする構造改革特区推進本部で決定とあるが、第5回より後には加計学園の記載ない」

蓮舫議員「何を信頼すればいいのか?1月20日に知ったのは間違いだと認めればいいではないか」

安倍総理「安倍政権においては加計学園と記載はない。今治市の申請は知っていたが加計学園は知らなかった

蓮舫議員「今治市が申請をしたのは6月。加計学園が申請したのは1月10日」

安倍総理「1月20日に認定してそこで初めて知った」

蓮舫議員「要求している臨時国会はいつ開くのか?」

安倍総理「概算要求など、来年度の予算編成と、働き方改革の法案などを作成したうえで議論してほしいと思っている。これを合理的な期間だと思っている」

(…会員ページにつづく)

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