いつも月末に集中して発刊している岩上安身のIWJ特報! 今月は先月に引き続き、日本獣医師会顧問で、元国会議員の北村直人氏のロングインタビュー。読み返すと発見が。「加計ありきで全部議論されてきた」と断言する北村氏、「頭にきた」から言いだしたとされる安倍総理の発言を見越していた。
北村氏「国家戦略特区のものすごい恐ろしさは、どこかでできると、それをコピーして同じものを作れるんですね。同じものを出せば、それを認めるというのが国家戦略特区ですから。10区ありますから、10の獣医学部ができる可能性があります」。←凄い慧眼。
怖いのは偽物の新旧交代劇。古ければ悪い、新しければいい、と決めつけてかかる論議。安倍総理の息のかかった国家戦略特区諮問会議での、八田達夫大阪大学名誉教授の発言を引く(2016年11月9日の第25回会議)。
「質の悪いもの(獣医学部)が出てきたらどうするか。これは実は新規参入ではなくて、おそらく従来あるものにまずい獣医学部があるのだと思います。そこがきちんと退出していけるようなメカニズムが必要で、新しいところが入ってきて、そこが競争して…」
「古い、あまり競争力がないところが出て行く。そういうシステムを、この特区とはまた別にシ考えていくべきではないか」。競争を促して優勝劣敗をつけよう、という理屈ならばまだわかる。しかし八田は古いものが出て行くと勝負の前に敗者を決めている。
安倍総理の息のかかった諮問会議の民間委員らは、市場における公正な競争など微塵も考えていない。古い=劣っている、新しい=優れていると、何の根拠も示さずに決めつけ、古きものの退出、すなわち伝統校の閉校に言及しているのである。
つまりは、獣医学部の総入れ替えだ。加計学園のような、アベノ学園が、今治を皮切りに全国の特区から現れ、伝統をもつ既存の16校は閉校に追いやられる、という道筋を考えると公言しているのである。競争力による、正々堂々とした勝負の前に、である。
これ、都議選に似ていなくはないだろうか? 古い政党は、古いというだけで否定され、あたらしい都政を始めると高らかに宣言しているのだが、その小池代表ご自身も古い古い、年季の入った自民党員で、いまだに離党していない。そして候補も元自民党だらけ。
おかしい。相当にうさんくさい。都議選を前に、都民はこの偽物の新旧交代劇の茶番に気付くべきだし、安倍総理が「頭にきた」と言い出す前に、加計学園を皮切りにして、全国の獣医学部の総入れ替えの筋書きが書かれていた、ということも気づくべきだ。