籠池泰典氏の理事長辞任表明と小学校の認可申請取り下げで、「森友学園」問題に幕引きが図られようとしている。しかし、そうさせるわけには到底いかない。
IWJの取材により、「森友学園」の経営する塚本幼稚園では、虐待行為や、ヘイトスピーチが繰り返されていたことが明らかになっている。これらの問題は、なんら解決されていないのだ。
「我々が虐待をしたとか、ここの幼稚園で虐待なんぞありませんよ」
解決どころか、2017年3月9日、自身でアップした自作自演のスピーチの中で籠池氏は、このように開き直った。このビデオはなぜかすぐ削除されたが、IWJは全文をテキスト化し、詳細な注をつけて検証している。
塚本幼稚園の園長を務める籠池氏や、副園長で籠池氏の妻の諄子氏が園児に対し「虐待」という他ない言動や行動を繰り返していることは、IWJがこれまでに報じてきたとおりである。
▲籠池泰典園長(左)と籠池諄子副園長(右)
おもらししたうんちを幼稚園バッグに詰めて帰す、「犬臭い」と言って幼稚園バッグを捨てる、トイレには決まった時間しか行かせないなどは、実際に園に通い、自主退園に追い込まれた保護者の方々が証言していることだ。さらに同園に出入りをしていた内部事情にくわしい関係者の証言から、伊勢神宮への参拝旅行で、食事の時間に子どもが自分の吐いたものまで食べさせられたということも、明らかになった。
前回の記事でIWJが報じたもの以外にも、保護者の方々から出てきた園の実態についての証言は他にもたくさんあった。取材をしたのは、森友学園問題が明るみに出てまもない、2月15日、16日だ。今回は、前回の記事に掲載しなかった話を、一挙に公開したいと思う。
岩上安身は3月16日に、退園者の保護者に単独独占インタビューを行う。この方もお子さんを「叩かれた」経験を持つ方である。籠池氏の「叩いていない」という証言とは、真っ向から食い違う。録画配信日時が決定次第すぐに告知するので、ぜひ、ご視聴いただきたい。
もどしながら「ごめんなさい…ごめんなさい…」 退園後の今も消えぬ子どもの傷
塚本幼稚園を退園したDさんは、副園長の言葉を聞いたときの驚きを語った。
「『熱があるから休ませます』と電話で伝えたら、副園長が『何度ありますか?』って言うんです。37℃くらいだったんですけど、『連れてきてください』って。感染症とかも流行っていたし、熱も急に上がったので良くないのではないかと思ったんですが、『そのくらいの熱やったら大丈夫です。連れてきてください』って」
上の子を育てていたときに通っていた別の幼稚園では、熱があるのに園に来させるなど、ありえない話だったという。
同じく退園者のEさんも、「インフルエンザでも熱が低かったら、たとえお医者さんがダメって言っても、『連れてきてください』と言うんです」と、Dさんと同様の体験を語った。風邪、ましてインフルエンザが園内に広がったらどう責任をとるのだろうか。教育者という以前にまず社会人としての常識を疑う。
Dさんは、こんなこともあったと話す。
「熱だったか、アレルギーだったか忘れてしまいましたが、病院に行ったんです。それで、検査の結果を伝えようと幼稚園に電話をしたら副園長が出て、『最近の親はそんなことですぐ病院に行く!』って一喝されて」
熱のある自分の子供を、親が病院に連れて行って、なぜ赤の他人から一喝されなければならないのか。籠池夫妻は「何様」なのか?籠池夫妻が、幼稚園児の上にだけでなく、その保護者の上にも君臨しようとしていたことがよくわかる。
こうした他者に対する支配的態度は、極右思想の持ち主であること、同様の思想の持ち主の集まりである日本会議のメンバーであることと、無関係であるとは思いにくい。
退園をした今でも、Dさんはお子さんのおかしな様子に気づくことがあるという。
「先日、子どもがもどしてしまったんですけど、もどしながら『ごめんなさい…ごめんなさい…』って言うんです。たぶんそういうの、怒られてたんやろうなあって」
お母さんは、あくまで推測をするしかない。なぜなら、幼稚園は普段から、授業参観のときなど以外は保護者を園内に入れさせないため、保護者は園内で何が行われているのか、知るすべがないからだ。
▲塚本幼稚園の授業参観の様子。保護者の目があるときには、普段とはガラリと授業内容が変わるという
だが、園内ではお母さん方の想像をはるかに超えることが行われていた。
2017年2月24日、岩上安身のインタビューにこたえた、園の内情をくわしく知るある関係者は、こんな証言をしている。
「毎年、伊勢神宮の参拝旅行に行くんですけど、そこで、大人でもお腹いっぱいになるようなすごい量のご飯が出てくるんです。残してはいけないからと、職員はお茶碗に味噌汁を入れて、無理やり子どもの口を開けさせて流し込む。当然、そういうことをされると、もどしてしまう子どももいるのですが、もどしてもまた食べさせる。もどしたものも、食べさせる」
ごめんなさい…ごめんなさい…
吐きながら、怒られることにおびえ、自分の吐いたものを泣きながら再び食べさせられる…子どもたちの悲鳴が、聞こえてくるようではないか。
「教育勅語」や「五箇条の御誓文」を言えないと下のクラスへ 廊下に立たせまるまる授業を受けさせてもらえないことも
籠池夫妻の「教育」方法は、この園の先生たちにも影響を及ぼしているという。 保護者の目を遮断していることをいいことに、園内で行われていた「罰」について、BさんはIWJに語ってくださった。
「教室に園児の名前を貼って『教育勅語』や『五箇条の御誓文』を言えた子には、カラフルなシールが貼ってもらえる。できなかった子には、黒の『ブラックシール』が貼られるんです」
▲「教育勅語」や「五箇条の御誓文」を暗唱させられる園児たち
担任の単独行動で行われていた「ブラックシール」制度は、保護者の苦情を受けて廃止されたという。しかし、実は園では、もっと信じがたい「罰」が行われていた。Dさんはこう述べた。
「できの悪い子は、数日間、下のクラスに入れる(年長から年中・年少、年中から年少へ)っていうのが、この園の通例の罰みたいで、うちの子に、『そんなんあるのー?』って聞いたら、『行かされた』って。親にも知らせず、年中だったうちの子を年少クラスに行かせていたんです」
Eさんはさらに、「子どもが廊下に立たされて、授業をまるまる受けさせてもらえなかったという話もあります」と語った。
小学生の時、度外れたいたずらをして廊下に立たされた経験のある方もいるかもしれない。現代では「廊下に立たせる」ことも体罰とされるが、しかし年端もいかない、この間まで赤ちゃんだった3~5才の幼児を「廊下に立たせる」ことに意味があるのか。園児はただただ恐怖を味わっているだけではないのか。
子どもが顔を腫らして帰ってきた… 副園長は暴行疑惑で過去に逮捕されていたことも!
さらに、具体的な「暴力」をうかがわせるような話も出てきた。Bさんはこう述べる。
「ここの幼稚園で虐待なんぞありませんよ」――籠池氏の開き直りを許すな! まだまだある塚本幼稚園での「虐待」証言 未公開証言を一挙公開! http://iwj.co.jp/wj/open/archives/368528 … @iwakamiyasumi
明白な虐待の事実。子どもたちの悲鳴が、聞こえてくるようではないか。
https://twitter.com/55kurosuke/status/841745750740557824