原子力規制委員長及び委員による共同記者会見 2012.9.19

記事公開日:2012.9.19取材地: テキスト動画
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(IWJ・原祐介)

 2012年9月19日、原子力規制委員会が発足し、第一回会合、発足式、記者会見が行われた。会合冒頭、各委員より、挨拶や抱負が述べられた。

 委員長の田中俊一氏は、地に落ちた原子力行政の信頼回復が最も重要であるとし、「規制委員会の会議は原則公開。透明性を持ち、国民の声に耳を傾けていきたい。厳しい中での規制委員会の発足だが、原子力で国民の生命、財産、環境に害を及ぼさないよう努める」とした。

■ハイライト

  • 日時 2012年9月19日(水)
  • 場所 原子力規制委員会(東京都港区)

 島崎邦彦委員は、これまでも自身が津波対策面で警鐘を鳴らしてきたものの、圧力などによって反映されて来なかったとし、「自然が語りかけることに、素直に耳を傾け、常に基本に立ち返り、科学的判断をしたい」と述べ、更田豊志委員は、原子力の危険性を正確に捉えることが、規制委員会の価値を左右するとし、「安全確だけでなく、常に危険が存在するということを直視したい。最新の知見に基づき、どれだけ安全基準や規制に反映できるかが私の仕事」と語った。中村佳代子委員は、二度と福島原発のような事故を起こしてはならないとし、「事故で、心身傷付き、辛い思いをしている方が今も多くいる。そうして方々に寄り添い、全身全霊をかけて仕事したい」とし、大島賢三委員は、「国論二分している状況下で、我々が取り組む課題や宿題は山積みである。他の委員と違い、放射線や津波の専門家ではないが、チェルノブイリの救済等にも取り組んだ経験から、できる限り安全を作り直していきたい」と述べた。

 会合では、委員会の意思決定プロセスや、規制委員会の透明性、中立性の確保、福島第一原発や大飯原発の監視体制など、今後検討していく課題について、委員間で確認がなされた。1回目の会合では実現しなかった一般傍聴も、次回以降には検討する予定だという。

 記者会見では、各委員が再度抱負を述べ、質疑応答が行われた。喫緊の課題は何か。また、今後のストレステストの仕組み、保安院によって一次審査終えた原発、審査途中の原発、これらの取り扱いについての質問に対し、田中委員長は「福島のサイトの片付けをどう安全に進めるか。事故を起こした原子力施設の防災をどうするか。低線量とはいえ住民が住んでいる場所もある。その対応がまず最優先。ストレステストや暫定基準は、新たな基準で見直す。ストレステストの結果は、それで十分でも十分でないともならない」と回答した。
 政府が打ち出している「40年廃炉」について、田中氏は「40年は、技術の寿命としては長い。40年前の設計は、これから作る基準から見ると十分ではなく、バックフィットをどのように課していくかが問題」としながらも、現存の、バックフィット対象になる3つの建設中原子炉については、「バックフィットが見えるまで待ったほうが無駄はないと個人的には思う。が、待つかまたないかは事業者の判断」との見解を示した。

 委員には、多くが原子力ムラ出身との批判があり、事実、保安院、文科省出身者が中心に、事務局が構成されている。本当に悔いた人が集まっているのか。田中「どこ出身、どういう仕事していたからどうだという価値判断には反対。規制庁の職員はノーリターンルールで身を捧げようという覚悟」と釈明した。

 更田、中村委員が欠格要件に該当するのではないかという指摘についての認識について。更田氏は、「私自身の考えより、選ぶ側から、そもそも欠格ならば話が無いだろうと受け止めた。これまでも規制を支援するための安全研究に従事し、事業者から煙たがられてきた」とし、中村委員は、「科学者として、数々の実験を下に100以上の論文を書き、アイソトープ協会でも仕事してきた。このことに一点の曇りもない。欠格条件と言われることは合点がいかず、透明性を持って、信条をお伝えしていく」とした。

 また、これまでの、田中氏の「100mSvは健康に大きな影響与えない」という発言についての質問に、田中氏は「私個人の考えではなく、国連科学委員会等のデータを示した。福島の方は低線量被曝の不安を抱き、そのストレスから他の病気起こすことが非常に心配される」と回答。

 最後、フリーライター・木野氏の「欠格要件を読んだことはあるか。細野大臣と議論したことはあるか」との質問に、田中氏は、「読んだ。細野大臣も私が欠格だと判断せず、任命されたと思っている」と回答。更田委員は、「読んだ。細野大臣と議論はしていない」とし、中村委員は「読み、該当しないことを自分の目で確認した。大臣とは議論していない」と回答。木野氏の、「読んだ上で、”事業者”に該当しないと認識を?」との追加質問に、中村委員は、「欠格要件に関してはオファーを受けた時に全て読んだ。私は該当しないと判断した」と断言した。

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