参院選・三重選挙区。民進党・岡田克也代表が、自身の地元であるこの三重の地で賭けに出ている。
一人区の三重は、3期目に挑戦する民進党現職・芝博一氏と自民党新人・山本佐知子候補の事実上の一騎打ちとなっている。民進・岡田代表は「芝さんは私の盟友。芝さんが落ちるなら、次の(民進党の)代表選に出ない」と公言。「背水の陣」でこの選挙に臨んでいるという「覚悟」をアピールした。
他方、自民党も安倍総理ら幹部が立て続けに応援に入るなど、三重選挙区では激しいつばぜり合いが繰り広げられている。
岡田代表のお膝元だけあり、民進党としては絶対に落せない一戦。6月30日、近鉄江戸橋駅前で芝候補が街頭演説に立った。野党統一候補である芝候補の応援にはSEALDsの奥田愛基氏が駆けつけた。
- 日時 2016年6月30日(木) 8:00~
- 場所 近鉄・江戸橋駅前(三重県津市)
芝候補「安倍さんは『自分の在任中に憲法を変えたい』と話した。だまされてはいけない」
「政治に無関心でも、政治に無関係ではいられない」
芝候補は、「学生が借金を抱えて社会に飛び出していくなど、先進国のこの日本でおかしいことだ。野党みんなで無利子の奨学金を作りたい」と語り、「ぜひ、若い皆さんに、政治に関わってほしい。ひとりひとりの思いが政治を変える原動力となる。みんなで選挙に行って、政治を変えよう」と呼びかけた。
争点のひとつである「経済」について、芝候補は、「この3年半、アベノミクスで日本中に広がったのは格差だけ」と自民党を批判し、「4割が非正規雇用で、年収200万円に満たない人が1000万人もいるというのはおかしい」と疑問を呈した。
「昨年、国会で派遣法が改正された。民主党政権で、3年働けば派遣労働でも正社員になれるという法律を作ったが、その法律が施行される前に、自民党は新たに派遣法の改正をし、派遣の人は一生派遣のままという法律が作られてしまった。今の日本に広がる格差の是正、政治の流れを変えなければ変わらない。人を大事にする政治を取り戻したい」
さらに憲法改正について、「『改憲は参院選の争点にはしない』というが、安倍さんにとっては今しかない。衆院で3分の2を持つ今しか改憲はできない」と指摘。「安倍さんは国会で、『自分の在任中に憲法を変えたい』と話した。今は隠しているが、だまされてはいけない」と述べ、支持を訴えた。
SEALDs奥田氏「今の政治に違和感あるなら、芝さんに一票を入れてほしい」
SEALDsの奥田氏は、「政治は生活のためにある。しかし、どんどんそうした実感から離れていく。そんな政治が続くことがいやだ」と話す。
「本当にアベノミクスが成功しているのか、選挙で示してほしい。『野党がだらしない』という人も、民進党の政策をみてほしい。野党が言っているのは、生活をどう底上げするかということ。今の社会をおかしいと思いませんか? 残業で倒れそうになりながら働いている人もたくさんいる。そういう生活の不満も含めて、選挙にいってほしい」
そのうえで、「もし芝さんを応援したいという人がいれば一緒に選挙を戦ってほしい」と呼びかける。
「最後は自分の家族や回りにどれだけ伝えられるかが選挙を左右する。政党や組合の人数も減り、選挙に関わる人がどんどん少なくなってきて、投票率も下がってきている。自分たちの日常の中で選挙に関わらなければ、新しい政治は出てこない」
奥田氏は、「今の政治に違和感あるなら、芝さんに一票を入れてほしい。若者の投票率が低くなれば、政治が若者の声を聞いてくれなくなる」と若者に向けて語りかける。
「学生の生活環境は悪化し、学生の半分は奨学金を借りている。就職しても非正規雇用が増えている。(安倍総理の言う)『この道』ではなく、他の道を探している人がいれば、今回ばかりは野党候補に票を入れてほしい」
最後に、「自民党のほうが頼りがいがある、と思う人がいるかもしれないが、このまま自民党に1議席とらせても、調子に乗らせるだけで、自分たちの生活にとっては何もいいことがない」と批判。「7月10日に参院選があることを、自分の言葉で友だちにも伝えてほしい」と投票率向上を訴えた。
容赦なく大物議員を次々投入し、露骨に「岡田陥落」を狙う自民党!
議席死守を目指す芝候補。自身の進退をかける岡田代表は2015年11月以降、計120回もの演説を三重県内で行うなど、なりふり構わぬ力の入れようをみせている。
他方で自民党も負けていない。奥田氏が芝候補の応援に入った同日、自民党からは安倍総理が山本佐知子候補の応援のために三重県入りし、県民に「子どもの未来や安全を、無責任な民進と共産に託すのか。日本人の命をしっかり守る自民、公明に託すのか」と選択を迫った。最後には岡田代表の地盤である四日市を練り歩いたという。
公示後は安倍総理だけでなく、麻生太郎財務相や石破茂地方創生相、谷垣禎一幹事長や小泉進次郎衆院議員も三重に入っている。自民党は2014年の衆院選でも、当時、民主党代表だった海江田万里氏の東京1区に幹部を続々投入し、結果的に海江田代表を落選に追い込んでいる。
岡田氏が代表引退をも賭けた三重県での選挙結果は、後の永田町の情勢にも大きな影響を与えることは間違いない。