いよいよ選挙戦の火蓋が切られた参院選(7月10日投開票)。改選数4議席を争う大阪選挙区は、自民党、公明党、民進党、共産党、おおさか維新が激しいデッドヒートを繰り広げている。
立候補者は、自民党新人の松川るい氏、公明党現職の石川博崇氏、おおさか維新からは新人の高木佳保里氏と浅田均氏の2人、民進党現職の尾立源幸氏、共産党新人の渡部結氏ら9名だ。改憲勢力が与党候補2名、大阪で強い支持基盤を持つおおさか維新2名の計4名。それに対して3分の2議席阻止に立ち向かうのが、野党候補2名である。この6名が、4議席をかけて争う。
民・共の野党候補が2人とも落選すれば、4名の定数全員が改憲勢力に占められてしまう。その可能性が低いとは言えない選挙区である。
大阪は、大都市では異様なほど改憲勢力が圧倒的に強い地盤だ。関西ローカルのテレビ番組は、放送の中立性などどこ吹く風で、安倍政権支持の極右文化人(?)らが大半を占めるトーク番組が野放し状態である。中央権力に反発しているようで、実は体制べったりにごまをする番組が「本音トーク」としてもてはやされる。そうした風土の影響もあるのは間違いないだろう。
従って、2人の野党候補には奮起が求められ、また、支持者にも無党派の浮動層にも、なお一層の危機感をもってもらう必要のある選挙区であるといえる。
6月24日、京橋駅前で街宣を行った共産党の渡部結(わたなべ ゆい)氏は、改憲勢力が国会で3分の2の議席を取った先にある、「自民党の憲法改正」の危険性を正面から聴衆に訴えた。
- 弁士 非正規雇用の母親から/村上史好氏(生活の党と山本太郎となかまたち大阪府連代表、元衆議院議員)/渡部結氏(参院選大阪選挙区候補・新人)/山下芳生氏(日本共産党副委員長、参議院議員)
- タイトル 参議院 大阪選挙区 日本共産党 渡部結候補 街頭演説(京橋駅頭) ―弁士 山下芳生・副委員長
- 日時 2016年6月24日(金)17:00〜
- 場所 京橋駅頭(大阪市城東区・都島区)
- 告知 渡部結氏ツイート (Twitter)
「(自民党は)緊急事態だと言えば、私たちの人権も制限できる、そういう危ない緊急事態条項をつくると書いた自民党改憲草案を掲げ、参院選が終わればこの憲法改正をする、と言っています。今変えるべきは、憲法ではなく、憲法を踏みにじる政治ではないでしょうか」
また、自身が大学卒業後に非正規雇用で働き、使い捨てられ、低賃金を身をもって体験してきたことが、政治家になろうと思った直接のきっかけだと語る渡部氏は、国民目線に立った具体的な政策を掲げた。
「大企業に様々施されている優遇税制、富裕層に応分の負担をしてもらうことで、9兆円の財源がつくれます。増税に頼らなくても、医療や介護や年金、教育や保育など、私たち市民が普段から『ここにこそ税金を使って欲しい』というところに優先的に使っていく、そういう当たり前の政治を一緒につくっていきましょう。
また高すぎる学費の問題、私は10年間で、国立も私学も半額に引き下げ、返さなくてよい給付型奨学金、まずは月3万円から使ってもらえるように創設をしていきます。長時間労働をなくし、サービス残業をなくし、働いているみなさんが帰って家族と食卓を囲む、自分の時間を大切にする、そういう政策を進めていきます。
そして低すぎる最低賃金を今すぐに1000円にし、さらに1500円を目指して進めていく。働く貧困層の問題を解決していきます」
渡部結候補の「正論」そのものの訴えは、右派イデオロギーに染まった番組が垂れ流されている大阪で、はたして市民にどこまで届くのか。今まで一度も共産党に票を投じたことがないけど、「今回ばかりは、入れておくか」と立ち止まって考えてもらえるか、政治に関心の薄かった若い浮動層に、共産党アレルギーなしに共感をもってもらえるか。共産党支持者以外にアピールできるかどうかが、鍵になる。