東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会による「中間報告」に関する記者会見 2011.12.26

記事公開日:2011.12.26取材地: テキスト動画
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 2011年12月26日、今年6月政府に設置された東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会により、野田総理に対して中間報告がなされ、19時より記者会見が開かれた。

 畑村洋太郎委員長以下、9名の委員たちが並んだ。記者たちからは、事故原因となった人為的ミスや、今後の原発の運転についての見解を求める質問が複数出された。しかし回答では、中間報告に記載のある内容と畑村委員長個人の所感の発言にとどまり、事故の責任問題など、事故原因以外に関して踏み込んだ見解が示されることはなかった。

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 まず委員長は「今回の事故で苦しんでいる被災者の持つ疑問に少しでも答えられるように作った。この中間報告は調査の途中段階であり、現時点までに判明した事実関係をできるだけ記述し、その範囲での評価と提言を行っている」と中間報告書の性格について説明した。

 続いて報告書の内容について、概要版を参照しながら、事故発生後の政府諸機関および現場の福島第一原発の対応の問題点 そして被害の拡大を防止する対策およびシビアアクシデント対策の問題点、原子力安全委員会のあり方への提言などが盛り込まれているとの説明が行われた。

 畑村委員長は以上に加え、「後から見れば、被害を最小限にする方策があったことが分かるものの、当事者にはそのときどきの全体像は見えず方策は分からない。ゆえに当事者に責任を押し付けてはならない。

 今回の災害の本質は、放射性物質の放散によって周辺住民が土地を離れざるを得なくなったことであり、避難者は塗炭の苦しみを味わっている。原発の中で起ったことに関心が集中しすぎるのは良くない。また想定外という言葉に責任回避を感じた向きも多いと思われるが、人間は考える範囲を決めないと、考えを進めることは出来ない。

 そして考える範囲を決めるとその外側については考えなくなるため、想定外の事象が起ったときに初めてその存在に気付かされる。最後に、今回の事故での原子力安全委員会や保安院、SPEEDIが機能しなかったということについては、組織の形を整えるだけはなく、所属している人員それぞれが組織に求められている機能について考えることが必要」との「所感」を述べ、ただしこれは委員会全体の意見ではないとした。

 会場からは1号機のICの問題について、「従来の、格納容器の弁は運転員が保安規定に従って閉めた、という東電の発表と食い違っている。また格納容器の弁の操作に関して人為的ミスはなかったのか」との質問があった。

 小川事務局長は「実際に総電源喪失によって弁が閉まったかということは一つの論点だったが、十月に現地に捜査員が入って判明した状況などから、フェイルセーフによってICがほとんど機能していなかったと考えられる。フェイルセーフとは電源喪失や管の破断があった場合に、自動的に弁を閉じ放射性物質が漏れないようにする仕組みである。操作ミスというよりも、ICが働いていないという認識がされていなかったのが問題。されていればもっと早く代替注水ができた」と答えた。

 また今回の報告と再稼動に向けてのストレステストとの関連性について会場から質問が相次いだ。委員長は、「ストレステストと中間報告を結びつけるということについて自分は判断できない」と答え、柳田委員も「再稼動についてはわれわれが判断するという話ではない」と述べた。また柳田委員は「個人の責任が問われる事態はありうるのでは」という質問に「責任を直接追及するわけではないが、責任をぼかす形では記述しないというのが国際的な事故調査のルールになっている」と答え、中間報告が結果として責任追及の証拠となる可能性については否定しなかった。

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