原子力災害対策本部 枝野経産相記者会見 2011.12.26

記事公開日:2011.12.26取材地: テキスト動画
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 2011年12月26日、第23回原子力災害対策本部の開催をうけ、枝野経産相が会見を行った。

 ステップ2の完了をうけ、警戒区域及び避難指示区域の解除が検討されていることが明らかにされた。警戒区域は来年4月を目処に解除するとし、新たな避難指示区域として、年間積算線量20ミリシーベルト以下となる地域を「避難指示解除準備区域」、年間20ミリシーベルトを超えるおそれがある地域を「居住制限区域」、現時点で年間50ミリシーベルトを超える地域を「帰還困難区域」として、再設定することが発表された。

■全編動画

  • 日時 2011年12月26日(月)

 枝野大臣から第23回原子力災害対策本部に関して、野田首相より福島第二原発の「原子力緊急事態」の解除が宣言されたことが報告された。その内容は、ステップ2の完了をうけ、短時間で高い線量の被爆を受ける可能性は下がったため、警戒区域及び避難指示区域の解除の検討を開始し、見直しに関する基本的な考え方を国として提示するというものである。避難指示区域について大臣は「福島県や市町村、住民を含め関係者と慎重に協議を進めていきたい」とし、現在の半径20キロ及びそれより遠い警戒的避難区域を一体として見直していく方針を示した。また大臣は今後新たに設定される区域の共通課題として以下の3点を挙げた。「住民の安全安心の確保を最優先にし、放射線に対する不安を払拭するためにも、放射線物質に対する健康管理をコミュニティレベルで行っていく」「除染については適切な中間目標を設定して徹底した除染を行う」「住民の期間に向けて必要なインフラ整備や雇用促進策を行う」大臣は以上の共通課題を踏まえて、警戒区域の見直しについて検討を進め、早ければ4月に、警戒区域を解除することを目指すとした。

 続いて大臣は新たに設定される予定の三つの区域について具体的に説明した。まず住民の年間積算線量が20ミリシーベルト以下と確認された地域を「避難指示準備区域」とし、この区域について「当面避難指示は維持するものの、除染、インフラ復旧、雇用対策などを早急に実施し、できるだけ早期に段階的に避難の指示を解除したい」とした。

 また住民の年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがある地域は「居住制限区域」とし、この区域では「将来的な住民の帰還、コミュニティの再開を目指し、除染やインフラ復旧を計画的に進めていく」とした。「居住制限区域の解除に関して具体的な期間を想定しているのか」という会場からの質問には「一律にいつということではなく、線量と支援の体制が整ったところで解除する」と答えた。

 さらに汚染レベルが極めて高く、現時点で50ミリシーベルトを越えており、今後五年間が経過しても20ミリシーベルトを下回る可能性が低いと考えられる地域を「帰還困難区域」として設定し、「コミュニティの維持など、国として責任をもって対応していく」とした上で、区域内の不動産の取り扱いについても意見交換を行い、救済策を検討していきたいと述べた。この点について会場内から「居住制限区域は対象外なのか」という質問が上がり、大臣は「賠償に関するプランと市町村の復興に関するプランには相関関係があり、全体としての支援パッケージを決める中で今後方針を詰めていく」と答えた。「東電が損害賠償支援機構に対し6000億円の追加支援の要請を決めたという報道については」という質問には、「早期に諒とする判断を示したということはない」とし、「お金がないから賠償できないとなってしまってはいけないが、一方で東電のガバナンス全体を見極めながら慎重に判断する必要がある」との基本方針を示した。

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