【再アップ!】3.11翌日に行われた、NPO法人「原子力資料情報室」による緊急記者会見で、上澤千尋氏(原子炉・安全問題担当,原子力資料情報室)、後藤政志氏(東芝・元原子炉格納容器設計者)、田中三彦氏(日立バブコック・元原子力圧力容器設計者・サイエンスライター)、海渡雄一氏(弁護士)、河合弘之(弁護士)らが発言! 2011.3.12

記事公開日:2016.3.13取材地: テキスト動画
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(岩上安身)

※2016年3月12日再アップしました!

 3月11日午後2時4分ごろ発生した「東北地方太平洋沖地震」(マグニチュード8.8)によって、福島第一原子力発電所・第二原子力発電所の周辺20kmの住民が避難する事態となった。12日午後3時36分ごろには、福島第一原発1号機の建屋の壁が爆発によって崩壊。内閣・原子力保安院・東京電力の情報開示が必ずしも十分とは言えない中、原子炉の設計に関わった技術者2人を交え、NPO法人「原子力資料情報室」による緊急記者会見が3月12日夜8時から開かれた。

 登壇者は、上澤千尋氏(原子炉・安全問題担当,原子力資料情報室)、後藤政志氏(柴田宏行)(東芝・元原子炉格納容器設計者)、田中三彦氏(日立バブコック・元原子力圧力容器設計者・サイエンスライター)、海渡雄一氏(弁護士・原子力発電所運転差止弁護団)の4名。今回初めて本名で発言した後藤氏は、政府が発表した内容は既に設計条件の2倍。これは技術者に言わせると「もう保証できない状態」とのこと。大事故にならないために大事なことは二点「炉心が冷やせるか・格納容器がもつか」ということを強調した。

【岩上安身による関連ツイート】

 NPO原子力資料情報室の会見が始まる。まず河合弁護士。浜中原発の差し止め訴訟の弁護団。集まったのは四時間前。その間でも事態は、大変動している。昨日の15時42分、地震が起きて、東北電力からの電力供給が止まったが、非常用発電機が稼働せず、原子炉の冷却ができなくなった。危険な状態に。

 放射能の放出が始まっている。1015マイクロシーベルトの放射能線量。避難命令を出す時、重大事故を想定、それが、20ミリシーベルト。1ミリシーベルトで、1万人が被爆すると、500〜1000人がガンになる。

 格納容器の開発をしていた、元東芝の開発責任者の後藤政志さんが発言。今回吹き飛んだのは、原子炉の建屋。建屋の中に、原子炉格納容器。その内部に原子炉圧力容器。原子炉を動かすには、外部から電気が必要。地震で供給されず、非常用のディーゼル発電機も立ち上がらなかった。

 程度はわからないが、明らかに炉心溶融が起きているのは間違いない。冷却水が100度に達していて、冷却水が不足している可能性。外部からの冷却水供給がスムーズならいいが、津波も取水系統に問題があった可能性も。圧力もあがってきているとみられる。このままだとスリーマイル島と同じ。

 スリーマイル島の原発事故は、炉心溶融の進行がギリギリで格納容器を溶かす直前で止まった。格納容器を溶かしていたら、チャイナシンドロームに。

 爆発は、三段階。最悪なのは、原子炉圧力容器まるごと爆発する爆発。第二は、格納容器を水素爆発や過圧で吹き飛ばす爆発。第三に建屋だけを吹き飛ばす爆発。今回、午後に起きたのは、三番目の可能性が高いが、まだわからない。情報が足りない。

 政府の情報開示が足りないが、考えるのは二つ。ひとつは、わからないということ。もともとすべてのデータを計測することが可能なシステムではない。第二は、政府が隠している可能性。今回の建屋の爆発も、何時間も経ってから出してきた。許されない。

 福島第一原発の一号機の格納要求は、マーク1型。柏崎原発などは、マーク2型。水素爆発と、もうひとつ、起こりうる爆発は、急激に冷やすときに生じる水蒸気爆発。

 枝野官房長官、会見。格納容器と圧力容器をすべて海水満たすと発表したと速報が会場に届く。炉心の溶融が起きている可能性があり、そこに水漬けにすると、水蒸気爆発が起きる可能性がある。冷やさないと、炉心溶融によって水蒸気爆発が起きる。

 海水と冷却水の供給方法の違いは? この私の質問には、充分な回答はなく。枝野官房長官の言葉が。建屋を吹き飛ばしたのは水素爆発。格納容器は異常なし。1019マイクロシーベルトだった放射能線量は、860、70・5と下がっている。万が一の場合を考え、20キロ以内の人に避難指示。

 海水の注入作業に着手したという政府の発表。しかし、水漬けにする究極の選択について、確実な方法があるわけではないと。核分裂が止まっても、あるレベルの溶融した核物質が溜まると、再臨界に達して再び核分裂が起こる可能性がある。それを起こさせないための措置。

 起きていることはすでに、原発の格納容器の設計思想を越えている。格納容器のベントなど、設計思想外。

 科学ライターの田中三彦さん。専門は圧力容器、原子炉。原発は、自動停止しました、というのは、安全圏に達した、という意味ではない。制御棒を入れ、連鎖反応を止めている、というに過ぎない。地震の場合、運転はその通りにはいかない。

 僕らからすると、大変な事態。格納容器は、普通は1気圧。4気圧強まで耐えられる設計。ところが今回、その二倍の8気圧にまで、高まった。その気圧を外へ出していいか、という議論をNHKでもしていたが、問題は、どこから水蒸気が入ってきたか。誰もその疑問を投げかけない。

 制御棒を入れて、ウランの核分裂を止めても、ヨウ素やセシウムとかクリプトンのどの核生成物が生まれ、どんどん分裂して、核崩壊熱が生じる。なので、ウランの核分裂が止まったからと言って、熱発生が止まるわけではなく、冷却がうまくいかなくなると、設計圧力を超えてしまう。

 一番大事なのは、格納容器の気圧が高まったこと。なぜ、起きたのか。データがなく、推測しか話せないが、その問題をNHKの解説員も、東大教授も話さない。怖いのは、配管破断。開固着の問題も。一基だけでも大問題だが、五基ある。コントロールは非常に難しい。

 圧力容器と格納容器は、政府発表と違い、決して安全でも大丈夫でもない。建屋が爆発したのは、ベント管あたりに発生した水素が爆発したものと考えられる。圧力のために、容器も変形したであろう。

 次に、海渡雄一弁護士。爆発の際、オレンジの光が見えたので、水蒸気爆発ではなく、水素爆発と思っていた。官房長官の発言で裏付けられた。炉心はまったく冷却できなくなっている。絶体絶命の状態。パニックを起こさせないために官房長官は言葉を選んでいるが、もっときちんと説明すべき。

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