父親の高木孝一元敦賀市長が「50年後、100年後に生まれた子どもが片輪になるかもしれない」が「原発は金になる」と言い放った約30年前、息子は女性宅に侵入して下着を盗んでいた――「パンツ泥棒」スキャンダルに狼狽する高木毅新復興大臣に被災地復興の重責が担えるのか!? 2015.10.16

記事公開日:2015.10.16 テキスト
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(取材・文 青木浩文、記事構成 岩上安身)

 「高木といえばパンツ」――

 「下着ドロボーが復興大臣」――

 2015年10月15日は、朝からこんな言葉がツイッター上で賑わい始めた。『週刊新潮』や『週刊文春』が一斉に報じた高木毅・新復興大臣(59)の「下着ドロボー」事件だ。

 週刊新潮10月22日号によれば、高木毅・復興大臣は今から30年ほど前、福井銀行敦賀支店で窓口業務をしていた20代女性の家へ合鍵を作って侵入。女性の部屋で箪笥の中などを物色して帰っていったという。

 高木氏は同銀行へは客として訪れ、この女性のことを一方的に気に入っていた。家の前に車を停めて家に入っていく不審な男性を、近所の女性が見かけたことで事件が発覚。彼女が車のナンバーを控えていたことから、すぐに高木氏の犯行だと分かったとのこと。

高木毅復興大臣

▲高木毅・新復興大臣(写真は同氏ホームページより)

 当時、高木毅氏は30歳前半。青山大学法学部を卒業後、父親が設立した高木商事株式会社で働いていた。20代半ばに結婚し、4人の子どもの父親だった。

 高木氏の父親は、故高木孝一氏。1979年から95年まで4期16年間も敦賀市長をつとめた地元の名士。この事件があったときも現職の敦賀市長だった。

 週刊新潮の報道が事実であれば、高木氏の行為が犯罪であることは間違いないが、この件は立件されなかったらしい。被害者の女性が騒ぎになって勤め先の福井銀行に迷惑がかかるのを避けようとしたことと、父親である高木孝一敦賀市長が謝罪に訪れたことが、その理由であると同誌は報じている。

 この事件の10数年後の2000年に、高木毅氏は、福井3区から自民党公認で第42回衆議院議員総選挙に立候補し初当選している。

 10月16日午前、なぜか正式な記者会見は行われず、立ったまま記者が囲む形の略式の会見(いわゆるぶらさがり)でのみ取材に応じた高木毅・復興大臣は、週刊誌報道の真偽について問い質されると、「今日はそういった場所ではございませんので、お答えを控えさせていただく」と述べ、報道を否定せず、明確な答えを避けた。記者団が「事実かどうか」とさらに質問を重ねたものの、高木氏は答えずに官邸を立ち去ってしまった。

 「否定しないのか?!」――

 「『事実無根』とは言わないんだ?!」

 反論をしない高木大臣に、ツイッター上はますます盛り上がり、「『パンツ泥棒』高木毅復興大臣」の文字が繰り返しリツイートされる結果となっている。

記事目次

「50年後、100年後に生まれた子どもが片輪になるかもしれない」が「原発は金になる」――原発推進講演会での高木大臣の父の発言

 もう一つ、ツイッターで繰り返しリツートされている話題がある

 高木毅大臣の父親、全国原子力発電所所在市町村協議会長を務めていた福井県敦賀市の高木孝一市長が、北陸電力の原発建設候補地になっていた石川県羽咋郡志賀町で開催された原発推進講演会で発した問題発言だ。

 「50年後、100年後に生まれた子どもが片輪になるかもしれないが」――

 「原発は金になる」――

 この講演会は、原発推進派の羽咋(はくい)広域商工会が1983年1月26日、町民約150人を集めて開催された。

▲原発銀座とも呼ばれる若狭湾に隣接する原発

 福井県南西部の若狭湾沿岸は原発銀座とも呼ばれる原発の集中する地域だ。敦賀市市街の北西に15km突き出した敦賀半島には、日本原子力発電の敦賀発電所の1~2号機、関西電力・美浜発電所の1~3号機、原子力機構の高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」と6基の原発が狭い地域に隣接している。原発立地のうま味を覚えてしまった自治体が、原発依存から抜け出せない実情が垣間見られる。

 多くの問題を抱えた高速増殖炉「もんじゅ」の試運転を認めたのも当時の高木孝一市長である。

(※)高木孝一氏の講演内容は録音データを文字起こしして、経済評論家である内橋克人の著書『原発への警鐘』(講談社文庫)で紹介されている。下記のサイトに転載され、その全文を読むことができる。
http://www.labornetjp.org/news/2015/1444315859492zad25714

1983年2月5日発刊の毎日新聞

▲1983年2月5日発刊の毎日新聞より

 講演会では、敦賀発電所一号機の一般排水溝から放射性物質コバルト60が漏れた1981年4月の事故に触れ、「新聞報道、マスコミは騒ぐけれど、コバルト60がホンダワラ(海藻の一種)に付いたといって、私は何か(なぜ騒ぐのか)、さっぱりもうわからない。そのホンダワラを1年食ったって、規制量の量(放射線被曝のこと)にはならない」と語り、マスコミが騒いでいるだけで、健康になんら影響はなどない、などと持論を展開している。

(*)敦賀発電所(日本原子力発電株式会社)の放射能漏れ事故

 1981年4月、福井県の調査で、海藻から異常に高い放射能が検出された。調査の結果、敦賀発電所一号機の一般排水溝から放射性物質が漏洩したことが分かった。漏れた放射性物質はコバルト60であり、平常時の約10倍の量が検出された。さらに調査を進めたところ、一般排水路の出口に積もった土砂からも高濃度のコバルト60とマンガン54が検出された。放射性物質が検出された原因は、原子力安全委員会の調査によると放射性廃棄物処理旧建屋の設計・施工管理上の問題に、運転上のミスが重なったからとされた。

 しかし、上記の放射能が検出された原因は、この漏出が判明する前月に大量の放射性廃液がタンクからあふれるという事故が起きていたからであり、敦賀発電所はその事実を隠蔽していた。この「事故隠し」によって、これ以降の日本での原子力発電に対する不信感が大きく芽生えるきっかけになったと考えられている。

 「敦賀は日本全国の食用の昆布の7~8割を作っておるんです。が、その昆布までですね、敦賀にある昆布なら、いうようなことで全く売れなくなってしまった。ちょうど4月でございますので、ワカメの最中であったのですが、ワカメも全く売れなかった。」

 「そこで私は、まあ魚屋さんでも、あるいは民宿でも100円損したと思うものは150円貰いなさいというのが、いわゆる私の趣旨であったんです。100円損して200円貰うことはならんぞ、と。本当にワカメが売れなくて、100円損したんなら、精神的慰謝料50円を含んで150円貰いなさい、正々堂々と貰いなさいと言った」

 「一昨年の事故で大きな損をしたとか、事故が起きて困ったとかいう人は全く一人もおりません。まあ言うなれば、率直に言うなれば、一年一回ぐらいは、あんなことがあればいいがなあ、そういうふうなのが敦賀の町の現状なんです。笑い話のようですが、もうそんなんでホクホクなんですよ」

 また、原発を設置すれば電源三法交付金が貰えるとして、「敦賀の場合、敦賀2号機のカネが7年間で42億入ってくる。三法のカネが7年間でそれだけ入ってくる。それに『もんじゅ』がございますと、出力は低いですが、その危険性……、うん、いやまあ、建設費はかかりますので、建設費と比較検討しますと入ってくるカネが60数億円になろうかと思っておるわけでございます…(会場感嘆の声と溜息がもれる)」

 さらに、敦賀の金ケ崎宮という神社の修復費に6千万円、北陸一の宮の修繕に6億円を日本原子力発電と動燃(原子力機構)から出させたと語り、「まあそんな訳で短大は建つわ、高校はできるわ、50億円で運動公園はできるわね」「そりゃあもうまったくタナボタ式の街づくりができるんじゃなかろうか、と、そういうことで私は皆さんに(原発を)お薦めしたい。これは(私は)信念を持っとる、信念!」

 原発推進派の人々に囲まれ、悦に入ったのだろうか。最後は、悪乗りだとしても決して許されない、信じられない言葉で締めくっている。

 「その代わりに100年経って片輪が生まれてくるやら、50年後に生まれた子どもが全部片輪になるやら、それはわかりませんよ。わかりませんけど、今の段階では(原発を)おやりになった方がよいのではなかろうか…。こういうふうに思っております。どうもありがとうございました。(会場、大拍手)」

 この講演から5年後の1988年8月、会場となった志賀に北陸電力による原子炉の設置が許可され、1993年7月には志賀原発1号機が営業運転を開始している。

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  1. 清沢満之 より:

    【広瀬隆】”重要” な緊急対話集会のお知らせ
    もと国会事故調の田中三彦さんから、川内原発2号機再稼働に続く、伊方原発再稼働に突進する狂気の日本にあって、きわめて重要な二つの緊急対話集会の呼びかけがありましたので、広く、多くの方にお知らせください。そして動いてください。
    http://hibi-zakkan.net/archives/45703298.html

  2. 宇佐美 保 より:

    高木毅氏、いわんやその父親のような人物が望まれる人物として、アベ政権は将来の日本を(世界を)背負う子供たちへの教育改革を実行しているのでしょうか!?
    そして、又、ご自身はフリガナ原稿を読み上げたり、いわんや、その横にいつも鎮座される方は、アベ氏以上の体たらくな上に、己のことを棚に上げて、”釧路は湿原(失言)が多い”などと発言したり!
    (釧路の方々に失礼な発言とは考えないのでしょうか!?)
    何故、このような人物を選挙民は選ぶのでしょうか!?
    選挙民こそに重大な責任があると存じます。

  3. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    福島の子どもたちの甲状腺癌発症率が20~50倍――パンツ泥棒騒ぎにかき消される日本復興の議論 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/270810 … @iwakamiyasumi
    復興大臣の職責は、限りなく重い。福島の人々は、故郷を追われ、今もなお避難生活を余儀なくされている。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/655138464795525121

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