2015年9月7日(月)17時30分から、東京電力定例記者会見が行われた。東京電力原子力・立地本部長代理白井功氏が東電本社で行なった説明は9分。その後の質疑応答は約30分だった。
(取材:箕島望、記事:IWJテキストスタッフ・本多容子)
2015年9月7日(月)17時30分から、東京電力定例記者会見が行われた。東京電力原子力・立地本部長代理白井功氏が東電本社で行なった説明は9分。その後の質疑応答は約30分だった。
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この日、質問が集中したのは、同日深夜から朝にかけて流出したK排水路から、汚染水が無濾過で流れ出たこと。
井戸からのくみ上げで濾過などの手段を尽くす一方、K排水路から高線量の排水が、そのまま外洋へ流出していること(東電は「K排水路からの一部水の海への移水」と表現)がこれまでも問題視されていたが、7日深夜2時55分から4時6分の間、一部の雨水がせきを超えて外洋へ流出したことが分かった。これは今年に入ってから、判明しているだけで六回目である。
9月7日の早朝2時から3時の1時間に14.5mm、3時から4時に11.5mm相当の降雨(気象用語では10 mm~20 mm未満は「やや強い雨・ザーザー降り」)により、K排水路から雨水が外洋へ流出したことが分かった。監視カメラによる確認で発見され、2時55分ごろから4時6分の間は流出、その後はポンプで汲み上げC排水路に移しており、流出は止まっている。
9月7日07時27分に同排水路の排水口の採水、分析したサンプリング結果は、Cs-134が100Bq/L、Cs-137が410Bq/L、全ベータが650Bq/Lであり、9月6日朝の採水、分析結果と比べていずれも約20倍程度上昇している。流出時の放射能濃度は不明だが、同程度だったと推定される。
K排水路は、流路をC排水路に合流させ、港湾内の開渠部分に排水するように工事を行っている。工事の完成は来年3月を目処としている。それまでは出口手前でポンプで汲み上げC排水路へ放水している。しかし、降雨量が1時間当たり約14mmを超えるとポンプの汲み上げ能力を超えて外洋へ流出することが分かっており、東電はあらかじめ知らせていた。このポンプの能力を増強することは、現場の施工環境や作業環境などの点で難しく、流れ出すままになっている。
K排水路についての質疑が相次いだが、10月8日、岡山大学医学部の津田敏秀教授(環境疫学)が福島県内の子どもの甲状腺がんが増え、増加傾向からみて、福島第一原発事故の放射性ヨウ素の放出量はチェルノブイリ事故の1/10にとどまらず、上回るだろうと述べた。
あらためて原発敷地内はきわめて高線量であることが思われ、K排水路の高線量排水に対する無為無策などにも納得がいく。住民だけでなく、廃炉作業関係者を取り巻く実線量、危険情報にも注視する必要がある。
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2015年9月7日
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2015年9月4日
2015年9月7日
2015年9月4日
2015年9月7日