「愛という言葉が出てくる憲法前文、それを受けたものが憲法9条です」若手弁護士がやさしく解説する改憲問題 ~学習会「戦争法を阻止するために」 2015.6.27

記事公開日:2015.7.2取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田)

※7月2日テキストを追加しました!

 「日本は、他国とのいざこざを解消するための手段として、武力を持たない。国際法上では認められる交戦権(戦争をする権利)だが、日本は認めない。9条は、日本という国は、戦争を一切行わないと宣言している」──。明日の自由を守る若手弁護士の会の高木野衣弁護士は、こう力説した。

 今国会は、2015年9月24日まで延長されることが決まった。安全保障関連法案に関する審議を深めることが期待されているが、「日本のあり方」を変える同法案をめぐっては、もっと国民的議論が盛り上がり、その結果が安倍晋三政権への支持率に反映されねばならない。

 しかし、ひと口に「安保法案」といっても、実際は11本の法案が同居している。国民が能動的にその中身を理解しようとしない限り、きちんとした把握は難しい。一般市民がテレビの国会中継を見ても、「議論が細かすぎる」と辟易するのではないか。

 そんな中、国民にとってわかりやすい視座が呈示されたのが、2015年6月4日の衆議院憲法審査会だ。3人の憲法学者が全員、「安保法案は違憲だ」と明言したのである。この「安保法案は違憲」という意味を、弁護士が市民にわかりやすく解説する学習会が、2015年6月27日、京都府南丹市で行われた。明日の自由を守る若手弁護士の会京都支部(あすわかKyoto)の高木野衣弁護士が、現行憲法について、また、国会で審議中の安全保障関連法案に関して説明していった。

 まず、現行憲法のイロハから講義を始めた高木弁護士は、憲法の背骨である「立憲主義」とは何かを端的に論じた上で、政府・与党が進める安保法制を新しくする動きは、本来なら国民投票を実施し、憲法9条の改正を経て行われるべき集団的自衛権の行使容認を、憲法解釈で行ってしまっている点で「非立憲」であることを指摘。さらに、この法案の中身には、集団的自衛権の行使以外にも、9条違反の恐れがあることを強く訴えた。

 その上で、「私は『愛』という言葉が出てくる憲法前文が非常に好きだ。これを受けたものが『憲法9条』です」と力を込めた。

記事目次

■ハイライト

  • 講演 高木野衣氏(弁護士、明日の自由を守る若手弁護士の会京都支部〔あすわかKyoto〕)「戦争法を阻止するために」

天皇が「王様」だった時代

 高木氏は聴衆に向かって、こう質問した。

 「今の憲法は、国民が守らねばならない法律である。これはマルか、バツか?」

 結果は全員が「バツ」に挙手。高木氏は笑みを浮かべ、「若い人たちに同じ質問をすると、マルであると誤認している人がけっこういるが、今日お集まりの皆さんは、さすがだ」と声を弾ませた。

 高木氏は、第二次世界大戦以前の、天皇が日本を統治していた時代の憲法「大日本帝国憲法」を、「憲法が定めた範囲内で国民は自由にしていい、とするもの」とし、次のように説明した。

 「つまり、天皇は王様のような存在ということで、天皇が出版を許可した本なら出してもいい、天皇に『戦争に行きなさい』と命じられたら行かねばならないという(今よりはるかに国民の自由が限定的だった)時代が、大日本帝国憲法の下、日本には続いていた」

 そして、第二次世界大戦に敗れた日本には、「国民の自由とは、本当に王様(天皇)から与えられるものなのか」という素朴な疑問が頭をもたげた、と高木氏は続け、それが起点となってでき上がったのが、戦後生まれの「日本国憲法」であると述べた。

 「(日本国憲法では)自由は、国民が生まれた時から持っている権利だ、とされる。つまり、その国民の権利を、その時々の政権が(悪知恵を働かせて)奪わないようにしたのが日本国憲法(以下、憲法)だ。憲法とは、その時々の政権に『やりたい放題』を許さないために、国家権力に縛りをかけるもので、これを『立憲主義』と呼ぶ」

9条の周囲には、常に「不穏な空気」が

 憲法の誕生には、第二次世界大戦への反省、つまり「平和への願い」から生まれた面が大きいと力を込めた高木氏は、「憲法では『国のあり方(=何ができる国にするか)』を決める権利は、国ではなく国民にある、とされている」とし、主権が国の側にあると、その時々の政権の判断で、日本は「戦争ができる国」にされてしまい、国民が戦争に駆り出されてしまう恐れがあると説明した。

 その上で憲法の前文を、「日本国民は、恒久の平和を念願し(略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して(略)全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と読み上げ、「私は『愛』という言葉が出てくるこの文章が、非常に好きだ」と表明した。そして、「この前文を受けたものが『憲法9条』である」と言い重ねた。

 高木氏は、このように力説する。

 「日本は、他国とのいざこざを解消するための手段として、武力を持たない。国際法上では認められる交戦権(戦争をする権利)だが、日本は認めない。9条は、日本という国は、戦争を一切行わないと宣言している」

(…会員ページにつづく)

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