「国会議員を、戦場に行かせるべきだ」──。橋下徹大阪市長は、そうすれば、永田町での不適切な決定で国民が不幸に巻き込まれるリスクはぐんと減る、との考えを示した。
維新の党最高顧問で、大阪市長の橋下徹氏は、2015年6月18日、3週間ぶりに開いた大阪市役所での定例記者会見で、「安保法制」に関する持論を存分に披露した。
橋下氏は、2015年6月14日夜に安倍晋三首相と会談しているが、それに先立ち、維新の党代表・松野頼久氏と、同幹事長の柿沢未途氏の2人から、「安保問題などについて、自由に発言していい」との承諾があったことを明かし、この日の会見でも自衛権再編の必要性を訴えつつ、現在の国会議員の判断能力には疑問符を付けた。
「原発にも言えることだが、『今の日本には、重大な政策を正しく進められるだけの政治家が揃っているのか』という大きな問題がある」とした橋下氏は、国会議員らによる不適切な決定から国民を守る仕組みづくりが急務だと訴えた。
会見の中では、維新の党がすでにまとめている安保法案の対案について、「政府・与党との思想の違いが、まるで伝わってこない」と自らの党をダメ出しする場面もあった。橋下氏は、「戦争にGOサインを出す人間は、概して安全な場所でGOサインを出している」として、「銃弾が飛び交う不安がない、安全な場所(永田町)での決定が、軍事リスクを軽く見積もらせる」とも指摘。それを是正するひとつのアイデアとして、冒頭の発言が飛び出した。
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この日の会見は、前半の市政に関する部分でも、いつになく白熱した運びとなった。橋下氏は、大阪都構想の是非を問う住民投票で敗れた後の、市長としての仕事ぶりを批判的に報じたテレビ番組を問題視し、「(市政への)やる気は満タンだ」と豪語。当該するテレビ局2社の記者を、激しい口調で問い詰めるシーンが何度も見られた。