2011年12月08日(木)11時、参議院議員会館で、「福島原発行動隊 第12回院内集会」が行なわれた。福島原発行動隊は、福島第一原発事故の収束作業に当たる若い世代の被曝を軽減するため、若者に比べて放射能による影響が少ないとされる60歳以上の退役技術者や技能者を中心とする高齢者が現場に赴いて行動することを目的として結成された公益社団法人である。
理事には理系・文系問わず様々な経歴の高齢者が名を連ねている。また、行動隊には約600名が隊員として登録しており、東京電力や政府に対して福島第一原発や周辺の立入禁止区域への赴任許可を申請しているが、許可が下りないため、現在のところは、政府や東電に対する提言、国会議員への啓蒙を目的とした院内集会の実施、シンポジウムの開催、放射線のモニタリング、福島第一原発の現状分析などを行っている。
- 日時 2011年12月08日(木) 11:00~
- 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
集会ではまず、モニタリングチームが、11月29日に第1回目となるモニタリング研修会を千葉県船橋市で開催し、一般参加者17名が受講したことや、その際に1時間あたり1マイクロシーベルトを超える放射能汚染箇所(ホットスポット)が見つかり、簡易的な除染作業によって線量が下がったことなどを報告した。
また、各地で同様の講習会を開催していく方針であることを明らかにし、直近では神奈川と大阪での開催が決まっていることを表明した。今後の動向については、一時避難している被災者が現地に帰還するにあたって、モニタリング業務が欠かせないことから、行動隊にも依頼が入る可能性があり得るとの考えを明らかにした。
その後、福島第一原発の現状分析を行っている「ウォッチャー」から、東京電力のプレスリリースや報道などから得た様々な情報を整理して報告した。また、福島第一原発から20km圏内の除染とガレキ処理の状況について、東電グループのメンテナンス企業において、工程や計画の不備から、受注量が減少し雇用が失われている現状を報告した。
これに対し、参加者から「除染やガレキ処理は誰が行っているのか」との質問がなされたのに対し、「建設業界などに発注している模様だ」との趣旨を回答した。
また、国が原子力研究開発機構に「除染モデル事業」を発注し、鹿島・大成など3つのJV(共同事業体)が20km圏内において除染およびガレキ除去を行うための作業員を募集しているが、「暴力団排除関連法によって、人材確保が難航している」という情報や、時給換算で3万5000円というビラがまかれている現状などを報告し、「除染ビジネスで『ゼネコンが焼け太っていく』という報道もなされている。
今後も情報収集を強化していく」との方針を明らかにした。会場の参加者から、「我々はボランティアで協力するといっているのだから、国から正式にやらせてもらえないのか」といった声が上がり、除染を「事業」ととらえる利権の構図に疑問を投げかけた。