「工程ありきでなく安全を確認してから再開する」人身事故対策の安全総点検いまだ終わらず~東京電力「中長期ロードマップの進捗(2015年1月版)に関する記者会見」 2015.1.29

記事公開日:2015.1.29取材地: テキスト動画
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 2015年1月29日19時から、東京電力で中長期ロードマップの進捗に関する記者会見が開かれた。重大な人身事故の対策”安全総点検”はまだ終わっていない。原子力部門トップの姉川尚史・常務が現場を視察し、安全を確認した箇所から徐々に作業を再開する予定だという。増田尚宏・廃炉推進カンパニープレジデントは、「工程ありきでなく安全を確認してから再開する」との姿勢を強調した。

■全編動画

安全総点検継続中、工程ありきでなく安全を確認してから再開

 福島第一、第二、柏崎刈羽原発で作業員の死亡事故や重傷を負う人身事故が続いたことの対策として、1月21から行っている”安全総点検”は、まだ終了していない。増田尚宏CDO(廃炉推進カンパニープレジデント)は、安全が第一、安全を確保することが工程を守ることに繋がると、作業安全の確保を確実にする姿勢を見せた。

 原子力部門のトップである姉川尚史・常務が31日の土曜日に現場を視察して、安全が確認できた箇所から徐々に作業を再開する予定。作業再開後に工程の遅れの影響を評価し工程を見直す予定で、凍土遮水壁などの工程遅れがどの程度かについて、明言は避けた。

 作業を急がせ現場のプレッシャーになったことが事故の原因ではないか、そうした背景も分析しないと事故を繰り返すのではと記者が指摘。増田CDOは、安全を守らないと工程を確保できない、安全を確保することが結局は工程を守ることになると、『安全』を守ることを繰り返し強調した。

汚染水処理完了は5月中の予定、敷地境界線量の3月達成目標は予定通り目指す

 増田CDOは、「汚染水の処理は総理の要請通りには行かないことになった」と説明。このことは1月23日に廣瀬直己社長が資源エネルギー庁に報告している。遅れの程度は検討中で、3月中旬に詳細な見通しを発表するという。現時点では5月の間に終わらせるという見通ししかない。

ALPS処理後のトリチウム水の処理、国のタスクフォースの結果を待つ

 現在、タンクに溜めている高濃度の汚染水(RO濃縮塩水)は、最終的にはALPSで62種類の核種を除去したALPS処理水になる。これにはトリチウムが比較的高い濃度で含まれており、どう扱うかが懸念されている。

 増田CDOは、「(経産省の)トリチウムタスクホースで有識者がいろいろ提案してる、希釈という意見もある」。「どのやり方がいいのか議論しており、その結果に従う」と回答。記者からは、もっと(東電が)主体的にやるべきではないかとの指摘があがった。

ミューオンによる燃料デブリ調査を来月2月から開始予定

 2月に入ってから福島第一原発1号機の燃料デブリのミューオンによる調査を開始する予定だ。調査機材の搬入、設置・設定などを行う必要があるが、具体的にいつ行うかは回答を避けた。小林照明・立地本部長代理は、1号機で行う”透過法”の調査について、炉心に燃料が残っていないことを調べ、全体像を掴むためだと説明。1号機は、ほぼ全ての燃料が溶け落ちていると考えられている。もう一つの”散乱法”では詳細な情報を得ることができるため、炉心部にも燃料が残っている可能性がある2号機に適用する予定だ。

 1号機の調査では、測定器の設置後、一か月程度測定を継続し、その後まとめ、報告、発表される予定だ。

■■■■■■ 以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

中長期ロードマップの進捗状況

2015年1月29日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第14回事務局会議)

報道配布資料

2015年1月29日

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