東京電力福島第一、第二原発、さらに柏崎刈羽原発で重大な人身事故が起こったことから、緊急臨時記者会見が開かれた。会見はTV会議で結ばれ、原子力部門のトップ責任者である姉川尚史 原子力・立地本部長をはじめ、各発電所の所長が出席した。三つの現場に共通しているのは、東京電力の管轄だということであるため、姉川氏は、東京電力の中に問題があり、万全な対策を取っていきたいと述べた。
東京電力福島第一、第二原発、さらに柏崎刈羽原発で重大な人身事故が起こったことから、緊急臨時記者会見が開かれた。会見はTV会議で結ばれ、原子力部門のトップ責任者である姉川尚史 原子力・立地本部長をはじめ、各発電所の所長が出席した。三つの現場に共通しているのは、東京電力の管轄だということであるため、姉川氏は、東京電力の中に問題があり、万全な対策を取っていきたいと述べた。
■全編動画
増田尚宏廃炉推進カンパニープレジデントは、昨年のような重篤な人身災害を二度と起こさないという願いをこめて、1月15日に福島第一原子力発電所で安全総決起大会を開催した。その矢先、福島第一、第二で作業員2名が死亡する事故が発生、柏崎刈羽では1名が重傷になる事故が起こった。
福島第一原子力発電所では、1月19日9時6分ごろ、新たに設置した雨水受け用タンクの内面を検査する際、内部が暗かったため、天井部分のマンホールを開けようとした協力企業作業員が、約10mの高さの天井からタンク内部に転落、肋骨や骨盤を骨折する重傷を負った。磐木共立病院に救急搬送され、その時には意識があったが、1月20日1時22分に病院で死亡を確認した。
福島第二原子力発電所では、1月20日9時30分ごろ、放射性廃液を濃縮、減容する装置の点検終了後、作業の準備を行っていた協力企業作業員が、回転する装置に頭を挟まれた。作業員に意識はなく、ドクターヘリにて磐木共立病院へ搬送したが、11時57分に医師による死亡を確認した。
さらに柏崎刈羽原子力発電所では、作業員が点検作業中に誤って作業足場から転落、約3.5m落下した。本人に意識はある状態で、病院に救急搬送、診断、処置を受けている状態だ。
福島第一で発生したタンク天井からの転落事故では、安全帯を装備していたが、使用していなかった。高所作業時に転落を防止するための安全装備を備えていたにも関わらず、使用していなかったという。また、一人でタンク天井に登り作業していたため、転落時の目撃者はいない。
高所作業時に安全帯を使用するという、安全のための基本的な動作、KY(危険予知)が十分にできていなかった可能性がある。
福島第二で発生した事故では、装置の点検を終え通常処理の状態に戻すとき、大きく回転する構造になっている。不意の回転を防止するため、通常はクレーンで吊るようにしていると、設楽親・福島第二原子力発電所長は説明。しかし、そのような詳細手順は手順書に書かれているわけではなく、作業員の知恵としてKYとして行う範囲だという。ここでもKYが十分でなかったという認識だ。
一方、柏崎刈羽の転落事故は、安全帯を使用しておらず、現場の写真を撮影する際に移動したところ、転落したという。その場所には転落防止柵などがなかった。作業環境の不備という可能性がある。
本店からは原子力部門のトップである姉川尚史・常務が、Jヴィレッジは石崎芳之・復興本社代表と小野明・1F所長、設楽親・2F所長、新潟会場からは横村忠行・柏崎刈羽所長が出席した。
しかし、これだけの事故を起こしながらも廣瀬直己社長は顔を出していない。原子力規制委員会からも、原子力の安全に経営が積極的に関わる必要性を指摘されているにも関わらずである。
姉川尚史・常務は、「今回はこの2日の間に立て続いた重大事故なので、原子力部門の責任者の私が適当だと思って出席している」と答えた。
今後の事故防止対策として、小野明・1F所長は「基本動作の徹底と作業手順を守ること、気を引き締めることを周知。明日(21日)は全作業を止めて再発防止に取り組み、二度とこのような悲劇を繰り返さないよう全身全霊を傾ける」と決意を述べた。
姉川尚史・常務は、今回の事故に対し、原子力の現場は「協力企業の力で成り立っているが、現場が安全に作業できる環境を整えることが重大な使命だと思っている」と前置きし、「原因を究明して二度と災害が起きないように指示をした。今後、元請け各社と協力し、安全のため不足しているところがないか、それを見つけて水平展開し、改善する取り組みをしていきたい」と対策の方針を語った。
さらに、三つの現場に共通しているのは”東京電力”ということであるため、東京電力の中に問題があり、万全な対策を取っていきたいと話した。
これまでにも重大事故が起こるたび、原因究明、対策、水平展開を行ってきたはずだが、まだまだ不十分だったということが明らかになった。そもそも「事故」と言わず「災害」や「事象」と呼んでいるところに、根本的な対策をせず、現場任せで逃げている会社としての姿勢がのぞかれる。
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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示