「一番の争点は、新辺野古基地を作らせるのか、作らせないのか」――。2014年10月30日、告示された沖縄県知事選に立候補した翁長雄志氏。出陣式の演説をこう切り出した。
「普天間の県内移設反対、新辺野古基地は絶対に作らせない、そしてオスプレイ配備撤回。これを訴えるなかに、むしろ経済が発展する」。翁長氏は「基地経済依存」からの脱却は、沖縄の経済発展にもつながることだと強調した。
出陣式では、名護市長の稲嶺進氏が応援演説。「翁長さんが当選することによって、初めて『オール沖縄』が完成する」と声を上げれば、「そうだ」と聴衆が拍手で応える場面も。「名護市長も辺野古ダメ、新しい県知事も辺野古ダメ、この二人が揃って初めて辺野古(基地移転)は止められる」と翁長氏への支持を呼びかけた。
このほか、社会民主党の照屋寛徳衆議院議員、日本共産党の赤嶺政賢衆議院議員、沖縄社会大衆党の糸数慶子参議院議員、生活の党の玉城デニー衆議院議員の国会議員4人が応援に駆けつけた。
- 日時 2014年10月30日(木)
- 場所沖縄県那覇市
辺野古新基地建設は経済的な打撃も大きい
「沖縄がアジアの中心地になろうとしています」と語る翁長氏。国際物流拠点、情報通信産業拠点としての地位を固めつつあるほか、来年には外国からの観光客が100万人を突破する勢いだという。「沖縄の自然、歴史、伝統、文化、私たちのホスピタリティ、そしてやすらぎを求めて(観光客)がやってくる」。
一方、辺野古に新基地が建設されたら、沖縄の観光産業はどうなるのか。「ホテルの上を、オスプレイやF35がパタパタ、パタパタと飛んだら、これはもう国際観光リゾートとは言えません。ここに来て、戦闘機の音を聞いて安らぐということはありません」。
観光産業への打撃は深刻だとする翁長氏。辺野古への新基地建設により「上乗せされた300億ほどの振興策」は吹き飛んでしまい、むしろ経済的損失が何千億にも上ると見る。翁長氏は、「平和という意味でも作らせない、経済という意味でも作らせない」と決意を示した。
「銃剣とブルドーザーでとられた」ものの返還:仲井真弘多候補との違い
翁長氏は、現職の仲井真弘多氏から「普天間の移設を日本政府に丸投げするのは無責任ではないか」と指摘されたエピソードに言及。沖縄に集中する米軍基地をめぐり、自身と仲井真氏との間には、「発想」「感覚」の違いがあるとする。
「沖縄は丸投げされて当たり前、本土に丸投げするのは無責任」。翁長氏には、仲井真氏がこう言っているように聞こえる。翁長氏は、「こんな理不尽なことはありません」と語気を強める。
沖縄住民にとって、米軍基地とされた土地は「銃剣とブルドーザーでとられた」もの。翁長氏は、仲井真氏に対し次のように応じたという。
「その取られたものの基地を返還しようとするときに、なんで沖縄が丸投げされるようなものを受けるのですか。東京に丸投げするのは遠慮するのに、沖縄に丸投げされるのは、それでいいんですか」。
翁長氏の訴えに、聴衆は拍手で応えた。
沖縄県知事選挙の争点⇒イデオロギーからサーターアンダギー
http://ameblo.jp/unntama/