丹後フェス!「米軍Xバンド基地建設に関する不安は何ひとつ解決していない。とにかく現状を知ってほしい」 ~「憂う会」永井友昭氏が訴え 2014.8.31

記事公開日:2014.9.12取材地: 動画
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 京都府京丹後市宇川地区で米軍Xバンドレーダー基地建設が進む中、宇川や京丹後の暮らしを身近に知ってもらおうと、2014年8月31日(日)、京都市左京区にある恵文社コテージで「丹後フェス!」と題したイベントが行われた。

 会場では、宇川での米軍基地計画を追ったドキュメンタリー映像の上映、ライブ演奏、京丹後周辺の農産物や加工品の販売があり、地元の素材を生かした料理や地酒なども提供されて、多くの人で賑わった。その中で、「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」の永井友昭氏が、地元から見た基地建設の実態や問題点、人々の思いを語った。

 米軍のXバンドレーダーとは、中国や北朝鮮などからの弾道ミサイルを探知、追尾するための高速レーダーで、日本国内では車力分屯基地(青森県)に配備されている。2013年2月末、政府は突然、京都府京丹後市の経ヶ岬にある自衛隊の分屯地を拡張して、米軍のXバンドレーダーを設置する計画を発表した。

 地元にとっては降って沸いたような建設計画だが、住民への説明も不十分なまま用地買収などが進められ、2014年5月27日に工事が着工された。防衛省は安全性をすべて米軍に委ねるような姿勢を見せており、周辺住民からは抗議の声が上がっている。

※8月31日のイベントの模様を9月5日(金)21時より録画配信しました。

■全編動画

  • 会場内の様子
  • ライブ 後藤雪絵さん(ピアノシンガーソングライター)
  • トーク 永井友昭氏(米軍基地建設を憂う宇川有志の会事務局長)
  • ライブ 長野たかしさん・森川あやこさん
  • 日時 2014年8月31日(日)13:00~19:00
  • 場所 恵文社Cottage(京都市左京区)
  • 告知 丹後フェス!

まず、何が起ころうとしているのか知ってほしい

 はじめに司会者が、京都府京丹後市での米軍Xバンドレーダー基地建設の計画が持ち上がってから、今日までどういう思いを抱えて活動してきたのかを、永井氏に尋ねた。

 永井氏は「育ってきた地域でこんな計画が持ち上がって、黙っていられなかった。過去には、美浜原発の建設問題で反対運動をしたこともあるが、今回は、その時よりも相手の数が3桁くらい多く感じる」と述べた。

 その上で、「こういう計画を止めさせる難しさもわかっているが、それよりもまず、何が起ころうとしているのか、皆に知ってほしいという気持ちで活動してきた」と語り、将来世代にまで関わる問題なので、簡単に判断せず、現状を知って考えてほしいと訴えた。

 また、「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」について、「憂う」という言葉に込めた意味を語った永井氏は、「止められない問題に対して『反対』を叫ぶよりも、『この問題を一緒に考えてみようよ』という訴え、憂いを打ち出したかった。とにかく、ちゃんと考えないといけないぞ、というスタンスでやってきた」と説明した。

地鎮祭も行なわれないまま、着々と進む工事

 次に、この計画に対する、国や京丹後市の対応について語る中で、永井氏は、Xバンドレーダーが設置されることによる電磁波や騒音などの環境問題、日米地位協定の下で、小さな町に最大160人もの米兵が来るという問題、住民の安全の保証などの問題を挙げた。

 5月の工事開始についても、「地元への連絡は、着工前日の午後だった」と永井氏は憤る。建設予定地の近くには、地元で「もんじゅさん」と親しまれている清涼山九品寺(穴文殊)があるが、「現在、地鎮祭も行なわれないまま、神も仏もないような中で、工事は着々と進んでいる」と嘆いた。

・2014/05/24 【京都】「集団的自衛権・日米同盟の最前線で、主権を明け渡す安倍政権」 国民の頭越しに米軍「Xバンドレーダー」基地が27日に建設着工! ~IWJによる「憂う会」永井友昭氏インタビュー

 また、国や自治体は、基地建設による軍事的脅威も、環境への影響も「問題ない」と言っておきながら、住民が電磁波の出力データなどを求めても公表しないという。「基地建設に関するわれわれの不安は、何ひとつ解決されていない」と、永井氏は力を込めた。

近づけない基地予定地「だから、参拝に行く」

 最後に、多くの人々がこの基地建設に疑問を感じていることを示すために、9月と10月に大きなイベントが計画されていることを告知し、会場の参加者に「機会があれば、穴文殊にお参りに来てください」と、永井氏は呼びかけた。建設予定地周辺では警察官が巡回し、近づく人間を遠ざけようとするが、参拝ならば排除されないからだ。

 「お参りをして、この建設工事の状況を見て、写真を撮ってください。そして、この問題をまだ知らない方々に、宇川の現状を伝えていただければ」と、永井氏は訴えた。

 続いて、長野たかし氏、森川あやこ氏によるライブが行なわれた。MCの中で森川氏は、兵士として戦場に行った自分の父親について話し、「戦争に行って、心に傷を負わずにその後の人生を過ごせた人は、本当に少ないのではないか」と述べた。

 そして、「戦争に加担させられるのは私たちであり、戦争すると決めた人たちではない。私は、これから生まれてくる子ども、若い世代の方たちに、父の世代が経験したような辛く理不尽な思いはしてほしくない」と語り、反戦の願いを込めた歌を披露した。【IWJテキストスタッフ・富山】

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