福島第一、1号機建屋カバー解体時にダスト飛散防止策を徹底すると発表したが効果は不明~東電定例会見 2014.7.17

記事公開日:2014.7.17取材地: テキスト動画
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 2014年7月17日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。福島第一原発1号機建屋カバーの解体時にダスト飛散防止策と監視を徹底し、作業開始前に通達協定を結んでいる自治体へ知らせ、緊急時には報道・マスコミに一斉通報メールで知らせる方針が示された。

■全編動画

  • 日時 2014年7月17日(木)17:30~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

2号機格納容器内温度計、温度安定し通常監視用に

 2号機原子炉格納容器(PCV)の既設の温度計の多くが故障し、十分な温度監視ができていないことから、2014年6月5日から6日にかけて、新たに6個の温度計を設置した。その際、PCV底部に溜まっている水は水位約30cmだということが分かり、6月9日に発表されている。

 その後、新設温度計の温度監視を1ヶ月行ったが、温度が安定しているため、本日7月17日0時から監視温度計として運用を開始したことが発表された。

 6月15日時点で、2号機の温度計は圧力容器(RPV)では全41個中10個、PCVでは全36個中19個のみが監視用に使用されている。

5号機海水配管弁の漏洩、弁を取り換えて原因調査へ

 7月6日に発見された5号機海水配管の弁からの漏洩について、福島県は点検状況などどのように対応したかを説明するよう東電に申し入れており、現場視察が行われた後、本日説明があった。

 漏洩により水のかかった機器を点検した結果、空調機のケーシングに海水が入り、電動機のファンを回す軸受に過荷重が生じて振動が発生した。これについては、軸受を交換し確認運転して、異常は解消したという。

 一方、穴のあいた5号機補機冷却系の熱交換器出口調整弁そのものは、同型の弁が福島第二(2F)3号機で使われている。福島原発事故以降、2Fの冷却系統は、原子炉を安定して冷却する分だけを使っており、全ての冷却系統を必要としない。2F-3号機の当該弁を取り外しても安全性に問題はないという。

 このことから、穴のあいた1F-5号機の弁を取り外す。次いで2F-3号機の弁を取り外し1F-5号機に取り付ける。そこで1F-5号機のSFP(使用済燃料プール)の冷却を、本来あるべき姿に戻すことを計画している。取り外して穴のあいた1F-5号機の弁は、穴があいた原因を調査、対策を検討し、修理するか、新しく造るかを決めて、2F-3号機に付けるという。

 つまり、1F-5号機の穴のあいた弁を、2F-3号機から取り外した弁で修理、早期復旧することになる。

5号機、交換する弁は補機系統、点検の有無は?

 穴のあいた1F-5号機の弁は、補機冷却海水系の弁である。「補機類は点検しているのに部品を他から融通しなければいけなくなった背景は何か」と記者が尋ねた。東電は、「以前のように定期的な点検でなく、使用状態等を見て点検している。すぐに手に入るものではない。期間を決めてのタイムベースメンテナンスはやっていない」と回答。

 何故、時間ベースで、定期なメンテナンスを行わないのか。記者質問に対し東電は、「事故前は時間ベースで点検をしていたが、点検したことによって、組み立てを間違えたりで、いじり壊したということがあった。今はコンディションベースで行っているものもある」と答えた。

C排水路、排水口を港湾内に変更して運用開始

 発電所構内を流れるC排水路の放水口を、港湾外から港湾内へ付け替える工事が行われている。まだ一部仮設だが、7月14日から、港湾内へ放水するよう切り替えられた。今後完成次第、仮設箇所を本設に切り替える予定だ。

 現在10L/secの流量で門を調整して排水している。今後状況を確認し、100L/secぐらいに増やし、最終的に300L/secになるように調整するという。

排水路の側溝放射線モニタ、運用開始

 排水路側溝放射線モニタの運用を7月14日から開始し、6月の現地調整会議の資料を基に詳しい説明があった。

 これは、汚染水を溜めているタンクからの汚染防止対策の一つで、タンクから漏洩して排水路に流れ混んだ場合、海洋流出を抑制することを目的としている。側溝モニタでβ線の異常上昇を検知し、警報を発せれば、タンク漏洩の可能性ありとして現場確認をする。万が一排水路に流入していれば、そこを隔離するような運用を計画している。

1号機クレーン クローラークレーン ブッシュの劣化

 7月上旬の台風8号対策で、1号機建屋カバー解体工事に使う750トンのクローラクレーンのブームを下げていた。復旧して7月14日に始業点検を行った際、エンジン異音を発する不具合を確認したという。

 調査の結果、エンジンの振動を減らす防振ゴムである”ブッシュ”が劣化し、エンジンの水平度が確保できないためと原因を特定した。

 クレーンの修理・点検に1~2週間程度が見込まれ、その後に1号機建屋カバー撤去作業に着手するという。

1号機建屋カバーの解体、ダスト飛散防止策を徹底

 1号機建屋上部のがれきを撤去するために建屋カバーの撤去が計画されている。昨年8月、3号機でのがれき撤去時にダストを飛散させたことの反省を踏まえ、東電は徹底したダスト飛散防止策を打ち出した。

 1号機は今後の燃料取出しのために瓦礫撤去する必要があり、そのために建屋カバーを撤去する。がれきの撤去をせずにカバーを建設したため、事故当時の状況がそのまま残っている状況だという。

 「1号機は手付かずだったので、大量に放射能が残っているものと思っている」と東電は考えているため、飛散防止策として、飛散防止剤の散布、吸引装置の使用、散水による飛散防止といった飛散防止を徹底していくとしている。飛散防止剤は3号機の時に比べ、濃度を濃くして使用する。東電は飛散防止能力が高まることを期待しているが、どの程度効果があるかは、数字として持ち合わせてないという。

1号機建屋カバーの解体、ダストモニタの運用方法、通報はどこまで?

 ダストの飛散防止策の一つとして、東電はダストモニタ等による作業中の監視体制を強化している。発電所敷地内のダストモニタを追加し、敷地境界のモニタリングポストで万が一飛散した場合に迅速に対応できるようにしている。一方、モニタリングは”敷地周辺のみ”で、敷地外のモニタリングは計画されていない。

 がれき撤去時に、万が一ダストが飛散、ダストモニタの警報が発生した時の対策も公表された。警報が発生した際、「報道・マスコミには一斉通報メールで知らせる」。さらに「警報が鳴って、MPに有意な上昇があった場合(バックグラウンド平均+2μSv/hを目安)のみ緊急会見を行う」ということだ。

 警報の場合ではなく、がれき撤去業務の地元への通達どうなっているのか、との記者の質問に対し、東電は「通達協定を結んでいる南相馬などには、作業開始前に伝える」としている。

 がれき撤去やカバー撤去の工程が必要なのは、通達協定を結んでいる自治体だけではない。「ネットがあるのだから、工程等を情報公開しないのか」と質問した記者に東電は「ホームページ等やるように検討中」だと答えた。

 記者が、「実際に放射能のダストが飛びました、では遅いので、作業計画の公開をお願いする」と要望したところ、東電は「ホームページで公表することが実際にどうできるか分からないが、考える」と述べた。記者が続けて「建屋カバーの解体、何かあった時にマスコミ等に伝えるとあったが、リアルタイムでメール等で来るようにするべきで合理的だ」と主張すると、「貴重なご意見として検討する」と回答した。

福島からのTV会議会見、現地広報官が現地情報を発表するよう記者が要請

 「福島で地震が連発している。せっかく福島から中継しているんだから、地元発の現地情報をもっと出してほしい」、「先週の地震は現場はどんな感じだったのか?」記者からの質問に対し、東電は次のように答えている。

 「緊急地震速報があったが、震度3で揺れは大きくなかった。加速度は10数ガルで特に影響なし。設備異常なし。津波注意報中は退避、特に設備的に問題はなかった。広野町で町内一斉の広報が流れた。昨日も地震があり、免震棟は揺れた」

 「地震の時、すぐにネットを見て確認し、揺れに関しては大丈夫だろうと思った。津波に関しては、すぐに職場に電話をかけて確認した。地震があったときはすぐに対応している」

7月から週2回のうち1回はTV会議の会見方法に記者から反対意見

 「会見が3回から2回に減ったあげく、うち1回は、やりにくいテレビ会議。地元からの情報発信というが、基本東京からの情報ではないか?」と記者が質問し、「東京からはいつもと同じ白井氏で、やりにくいだけってのは広報としてどうなんですか? 週3回に戻して欲しい」と要望した。

 東電広報担当は、「廃炉推進カンパニーの広報は、すぐに皆様の前でお答えするのは難しいので白井がやっている、廃炉推進カンパニーの担当が今日来てるので後で挨拶する」と答え、7月に着任したばかりの、廃炉カンパニーの広報担当カワムラ氏の紹介があった。

 リサイクル燃料貯蔵株式会社(RFS)に7年勤務し、震災時に福島にはいなかったが2Fにいたことはある。「新広報担当で研修中の身」だという。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年7月17日

2014年7月16日

2014年7月15日

プレスリリース

2014年7月16日

2014年7月15日

東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響

道関係各位一斉メール

お知らせ

2014年7月17日

福島第一原子力発電所 データ集

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「福島第一、1号機建屋カバー解体時にダスト飛散防止策を徹底すると発表したが効果は不明~東電定例会見」への1件のフィードバック

  1. @BiancaWhitake2さん(ツイッターのご意見より) より:

    解体時期未定。震度3でも発生中な希ガスがより多くなる事実と飛散を一切触れず。

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