2014年6月6日17時から、東京電力で福島第一原発所長記者会見が開かれた。小野明福島第一発電所所長は、作業員の負傷が続発していることから、対策として一人危機予知活動を導入する考えを示した。緊張感の不足や、通常とはかけ離れた福島第一原発の作業環境に対応してもらう考えだ。
2014年6月6日17時から、東京電力で福島第一原発所長記者会見が開かれた。小野明福島第一発電所所長は、作業員の負傷が続発していることから、対策として一人危機予知活動を導入する考えを示した。緊張感の不足や、通常とはかけ離れた福島第一原発の作業環境に対応してもらう考えだ。
記事目次
■全編動画
福島県・Jヴィレッジ内「アルパインローズ」において、小野明福島第一発電所所長、白井功(しらい いさお)原子力・立地本部本部長代理の2名が会見した。会見は、東京電力のテレビ会議システムを活用し、Jヴィレッジと、本店会見室および福島市会見場(日生福島ビル3階会議室)と中継して行われた。
小野明所長は、「原発事故から3年が経過し、今もなお、発電所周辺の皆さん、それから広く社会の皆さんに迷惑と心配を掛けていることを改めてお詫申し上げる」と福島原発事故のお詫びから会見を始めた。さらに、6月2日に発見したノッチタンクからの汚染水漏えいについても重ねてお詫びした。
堰に雨が入らないようカバーを付ける作業に従事していた協力企業の50代男性が、終了後に休憩所で休憩していた際、体調が悪くなり救急医療室で診察を受けたところ、救急搬送の必要があると診断された。搬送されたが、その後の状況等の情報は、まだ入ってきていないのでわからないという。
2014年4月、5月にかけて、軽いものも含めて人身災害が10件ほど発生していることが報告された。小野所長は、「現場でこのような人身災害が発生するのは問題であると重く受け止めて、対策を講じているところだ」と説明する。
小野所長は原因に”緊張感の不足”があると考え、対策の一つとして、緊張感を高めてもらうため「1人危険予知(一人KY)」という活動を展開するという。作業開始前に全員で行うKTに加えて、一人KYも行い、さらに作業終了後もKYを行い、翌日につなげたいという考えだ。
これを実施し、危険性について自問自答をすることで、ケガの予防、作業ミス・ヒューマンエラーの防止といった、危険の芽の摘み取りへの効果を期待するのだという。そのため、元請けに伝えるとともに、東電社員が下請け企業の朝礼に出向いて、東電の思いを伝え、一人KYをお願していくということだ。
他方、土木建築の作業員が増えているが、福島第一原発での作業は、通常の作業環境との差が大きく、怪我が多い原因にもなっていると分析。「福島第一の作業環境が普通とかけ離れているので、入った時の教育も考えたい」と小野所長は説明した。
地下水バイパスの運用を開始し、すでに5月21日、5月27日、6月2日に地下水バイパスの一時貯留タンクからの排水を行った。
小野所長は「関係者の決断を始め、地域の皆さんの理解の賜であると思っている。改めて感謝を表したい」と謝辞を述べ、地域の信頼に応えていくため、慎重に設備管理、運用を行って行くとともに、第三者機関による水質調査を行い、運用基準等を厳守していきたいと述べた。
6月2日から、実質的に凍土式遮水壁の工事を開始した。「安全優先で今年度中に凍結を開始したい」との意気込みが示された。
6月5日までの実績は、現在、第4ブロックで2本の掘削作業を行っており、1本が約24.5メートル、もう1本が4.5メートルまで掘り進めたという。
凍土式遮水壁は、規制委との間で安全管理、水位管理の論点が残っている。小野所長は、「凍土遮水壁は変化が急激かもしれないので、サブドレンを使ってコントロールも考えている」と言い、春までにその手法を確立したい考えを示した。
CFF(クロスフローフィルタ)のパッキンが放射線劣化によって痛み、炭酸塩スラリーが流出したことを確認、ゴム系の耐放射線性のあるものに取り替えて対応したことが報告された。B系は5月23日に処理運転を再開、A系は6月9日、C系は6月19日に運転再開を目指していることが説明された。
本格稼働前に、すでに部品が劣化している。このようなALPSが汚染水処理の計画の重点に置かれていいのだろうか。
東電によれば、ALPSは技術としては確立しても商業運転は初めてだったため、放射線によるものなどの劣化は、今回のつぶし込みでより安定してきたという。小野所長は、「つぶし込みが進んでいる。自信を持っている」と答えている。
6月6日8時30分頃、構内車両からガソリンが漏れ、双葉消防本部から「危険物の漏洩事象」との判断を受けていたことが報告された。
構内の車両は発電所構外に持ち出せないため、構内に車両の整備場を作っているが、重機等は整備しきれないため、整備会社とも連携しているという。
6月2日に発見されたノッチタンクからの汚染水漏洩は、タンク堰外にも漏洩していたことが判明した。
当該1000トンノッチタンク群は、汚染水のタンクエリアの堰内に溜まった雨水を一時的に貯留するものだから、当該1000トンノッチタンク群の堰の排水弁(ドレン弁)は管理対象外、すなわち「開いていた」と小野所長は説明する。
排水弁周辺の土壌調査の結果、堰外に漏洩していたことが判明。β線で高い濃度の汚染水がおよそ40m×5mの範囲に漏れたことが分かり、5日からそのエリアの土の回収作業を行っていると、白井功原子力・立地本部本部長代理は説明した。
当該ノッチタンクは、通常パトロールをしていない。調査の結果、2月末に他のパトロールに合わせて確認したという。したがって、3月以降に漏洩が発生したと考えられるが、いつからかは不明だ。仮に3月から漏洩したと仮定すると、総漏洩量は約4トンと東電が推測している。
排水溝があるが、距離があり、高くなっているので直接排水溝への流れ込み、すなわち海への影響はないと考えている。
タンクの天板にあった切り欠き部分から雨水が入りこみ、タンク内水位が上昇して漏洩したことから、対策として切り欠き部分にテープ等で補修を行うとともに、堰の排水弁を「閉」に、1日1回定期パトロールを行うよう「的確な管理を進めていきたい」と述べた。
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2014年6月6日
2014年6月5日
2014年6月5日
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