立山町釜ヶ渕地区「災害廃棄物受入に関する住民説明会」 2012.4.25

記事公開日:2012.4.25取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2012年4月25日(水)19時、富山県立山町の釜ヶ渕公民館において「災害廃棄物受入に関する住民説明会」が開催された。政府が推進している、東日本大震災で発生した災害廃棄物の広域処理をめぐっては、その必要性や危険性などへの疑念から、各地で反対運動が起きている。この状況下、富山県においては、富山広域圏(富山市、滑川市、立山町、上市町、舟橋村)や高岡市、新川広域圏(魚津市、黒部市、入善町、朝日町)が受け入れを前向きに検討している。立山町は、石井隆一知事が岩手県を4月9日に訪問し災害廃棄物の受け入れに関する覚書を交わしたことを受け、町が2年に1度開いている「町政懇談会」の一環として、町内11ヶ所で住民説明会を開くこととした。この日は、町内最初の説明会として、釜ヶ渕地区の住民を対象に説明会が行われ、環境省や県の環境行政担当者らが出席し、広域処理の必要性や安全性などを説明した。

■全編動画

  • 日時 2012年4月25日(水)19:00~
  • 場所 釜ヶ渕公民館(富山県立山町)

 説明によると、広域処理の実施にあたって作成したガイドラインについて、「被災地で、可能な限り分別を行う」「再生利用が可能なものは、極力、再生利用を行う」「再生利用が困難な可燃物については、焼却処分の上、焼却灰を埋め立て処分する」「再生利用困難な不燃物については、埋め立て処分を行う」との解説がなされた。また、廃棄物や焼却灰に含まれる放射物質の基準として、可燃物で240~480Bq(ベクレル)/kg、再生利用できる製品の状態では100Bq/kg、不燃物の埋立基準では8,000Bq/kgとの説明がなされた。環境省の担当者は「放射性物質の濃度が8000Bq/kg以下の焼却灰は、周辺住民の被曝線量が1ミリSv(シーベルト)/年以下になるので安全。もし、8000Bq/kgを超えるようなことがあれば、国が責任を持って対応する」と明言した。

 参加した住民からは、健康への影響や風評被害を懸念する声が多数上がった。行政側の担当者は、「数式がどうのこうのといってもよく分からない。一度、震災瓦礫をこちらに持ってきて、マスコミや住民のいる前で測定すれば納得できる話だと思う」と回答した。また、住民の高齢男性が、「そもそも、クリーンセンターの目的は何だったのか。あくまで、富山地区の広域圏から出てくる家庭ごみに限定するというので、地元住民が了解していた施設だ。40億円も掛けて造った施設が(本来の目的外に使うことで)壊れたらどうするのか」と述べ、施設の安易な転用が地域住民との同意に反するという主旨の疑問を投げかけたが、環境省や行政側からの明確な返答はなかった。

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