劣悪な労働環境と雇用形態が社会問題化している、いわゆる「ブラック企業」による労働者の被害を防ぐため、50人以上の弁護士が弁護団を結成し、31日に記者会見を開いた。
戦略的に心身を破壊するほどの過酷労働を強いて、若者を次々と使い潰していく「ブラック企業」は近年、急激に社会問題化している。被害者の多くは、専門学校や大学を卒業したばかりの若者であり、被害者はほとんど司法に訴えることがなく、泣き寝入りする場合が多い。その理由は、社会的支援を受けることができないからだ。
記者会見の冒頭、弁護団代表の佐々木亮・弁護士が、弁護団結成の経緯と目的を説明し、次に4名の被害者が自分たちの体験を語り、ブラック企業の劣悪な雇用実態を訴えた。同弁護団は今後、被害者の受け皿となるべく、法的権利の実現のために支援活動を行っていく。8月には、被害者に向けた対策セミナーや相談会を開催する予定だ。
若者の労働問題に詳しい「NPO法人 POSSE」の今野晴貴氏は、同弁護団結成の中心的役割を担ってきた。今野氏も会見に出席し、ブラック企業は、日本社会の根幹を揺るがす深刻な問題だと指摘。
さらに、「これまで『派遣』や『パート』を巡っても労働問題はあったが、派遣やパートは仕方ないと差別されてきた。しかし、大卒や高卒、専門学校卒という、若い世代を使い潰していくブラック企業は、日本の労働問題が、もう許されないところまで広がっていることを表している」と語った。