1票の格差問題、参院選・全選挙区の結果無効を求めて提訴 ~「1票の格差」裁判についての記者会見 2013.7.22

記事公開日:2013.7.22取材地: テキスト動画
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(IWJ・大西雅明)

 2013年7月22日(月)、東京都千代田区の司法記者クラブで、「1票の格差」裁判についての記者会見が行なわれた。「1票の格差」を是正しないまま行われた、第23回参議院議員選挙は違憲だとして、升永英俊弁護士を中心とする弁護士グループは、同日、47都道府県の全選挙区の選挙無効を求めて、全国14の高裁・高裁支部に訴えを起こした。升永弁護士らは、2009年から「1人1票実現運動」を展開している。

■ハイライト

 7月21日に投開票が行われた参議院議員選挙では、議員1人当たりの有権者数が最も少ない鳥取県と、最も多い北海道との1票の格差は4.77倍だった。

 昨年10月17日、最高裁大法廷は、最大で5倍の格差となった、第22回参議院議員選挙(2010年7月施行)を「違憲状態」と判断した。判決では、参議院も衆議院と同価値の1票でなければならないこと、また、都道府県単位としている現行の選挙区制度を改めることなどを求めている(※1)。

 しかし、「違憲状態」でありながら、選挙結果が無効とならない理由に、「事情判決の法理」がある。

 これは、行政上の処分や裁決などが違法の場合でも、それを取り消すと著しく公共の福祉を害する、と判断された時に、裁判所が取り消し請求を棄却することができる制度だ。この法理を、升永弁護士は「まったく理解できない理屈」と述べ、今回提訴した弁護士グループの1人である伊藤真弁護士も、「事情判決の法理自体が、憲法違反だ」と厳しく批判した。

 高裁判決の見通しとして、升永弁護士は「14(の高裁・高裁支部)全部で違憲無効判決が出る」と断言し、伊藤弁護士も「まともな頭を持っていれば、理屈の上で無効判決以外書けないでしょう」と自信を見せた。判決は、遅くても10月下旬には出る見込みである。

(※1)最高裁大法廷判決文の一部を以下、引用します(平成24年10月17日)。

「さきに述べたような憲法の趣旨、参議院の役割等に照らすと、参議院は衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであり、参議員議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い」

「国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり、投票価値の平等が憲法上の要請であることや、さきに述べた国政の運営における参議院の役割に照らせば、より適切な民意の反映が可能となるよう、単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず、都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ、できるだけ速やかに違憲の問題が生じる前記の不平等状態を解消する必要がある」

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「1票の格差問題、参院選・全選挙区の結果無効を求めて提訴 ~「1票の格差」裁判についての記者会見」への4件のフィードバック

  1. あのねあのね より:

     法的な正当性が無い人間が立法した法律は無効です。参議院議員選挙投票当日締め切り間近の7時55分頃、投票所になった東京都中野区の平和の森小学校の体育館の舞台に組み立てていない投票箱が有った。あれは何でしょう。

  2. 藤田 弘 より:

    陸山会事件にしろ現在進行中のPC遠隔操作事件,そのほか冤罪・捏造をした事件でも法務官僚の意に沿う判決しか出せない裁判所が選挙の憲法違反無効判決を出せるのか、我が国の民主主義が問われている裁判だ。

  3. 岩上休め より:

    IWJ・大西様も、上の二氏も、マスコミのキャンペーンに騙されています。

    「1人1票実現運動」には、経団連と経済同友会が関与しています。経団連は「希望の国、日本」(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/vision.pdf)というヴィジョンを発表しています。そこの84頁に「教育・啓蒙活動を通じ、政党政治・政治参加の重要性に関する国民意識を高めるとともに、一票の格差を含め、政治制度改革を進めていく必要がある。」と記されています。経済同友会は「投票価値の平等実現Webサイト/経済同友会の取り組み」(http://www.doyukai.or.jp/kakusa/torikumi.html)にて、長谷川閑史(武田薬品工業社長、経済同友会代表幹事)や永山治(中外製薬会長、ソニー取締役会議長)がこの件に“取り組んでいる”様子がアップされています。これは「一人一票実現国民会議」のサイトからリンクされています。

    一人一票の結果として、TPP・原発・基地・増税などの、地方切捨て政策、民主主義を否定する政策が通り易くなります。この参院選から、福島県と岐阜県は二人区が一人区になってしまいました。これは議決権の半減です。特に福島の方に対しては、本当に気の毒に思います(涙)。

    渋谷ではなく、鳥取・高知・徳島・佐賀などの「都鄙の格差」に苦しむ地域でトークカフェを開き、この件を議論なさってください。そして、この四県の人財をIWJで採用してください。IWJは地方の会員を斬りたいのでしょうか?

    北海道に関しては選挙区より寧ろブロックに近いので定数増を否定しません。しかし、31/47県も小選挙区を残している中で、地方から議席を巻き上げるのは新自由主義政策であると、私は考えます。

  4. 西川英一 より:

    東京の人口は、鳥取・島根の20倍です。東京は鳥取の20倍の議員を出せということでしょうが。東京が5人なら、鳥取・島根・岡山で1人だけということでしょうか。地方の声は聞くなということでしょうか。都会の人の一票と地方の人の一票の価値が同じというほうがおかしいと思います。衆議院が一票の価値が同じということなら、せめて参議院は各都道府県2名づつというほうにしたほうがいいと思います。それでこそ、参議院の存在感が出るのではないでしょうか。一票の格差、くそくらえです。

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