2013年4月10日(水)14時より、東京都港区のフォンテーヌにおいて、畑中龍太郎金融庁長官の講演が行われた。畑中氏は講演の中で「6月にも取りまとめられる成長戦略が鍵である」と話し、「中小企業経営者が、これからの日本が変わると確信を持っていただくことが重要であり、そのためにはTPPも積極的に取り組む必要がある。さまざまな規制緩和に取り組んでいく。また、諸外国との競争条件の均衡において、法人税の実効税率も大きな議論になってくる」と話した。
(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)
特集 TPP問題
2013年4月10日(水)14時より、東京都港区のフォンテーヌにおいて、畑中龍太郎金融庁長官の講演が行われた。畑中氏は講演の中で「6月にも取りまとめられる成長戦略が鍵である」と話し、「中小企業経営者が、これからの日本が変わると確信を持っていただくことが重要であり、そのためにはTPPも積極的に取り組む必要がある。さまざまな規制緩和に取り組んでいく。また、諸外国との競争条件の均衡において、法人税の実効税率も大きな議論になってくる」と話した。
■ハイライト
畑中氏は、日本を取り巻く金融情勢およびリスクについて、欧州の債務問題、欧米の規制強化、日本の構造的問題を挙げた。日本の構造的問題に関して、「まず、企業部門の余剰資金が設備投資や配当、賃金に向かっていないのが、現時点における深刻な問題のひとつ。したがって、余剰資金を成長分野にどのように向かわせるかが、デフレ脱却を図るための大変重要なテーマとなる。もうひとつの問題は、家計金融資産において、将来の備えができていない、金融資産ゼロ世帯がどんどん増えていること。特に20代、30代、若年になればなるほど将来への備えがないという、由々しき状態が広がっている」と述べた。
金融の構造について、「デフレが続くと、名目金利と実質金利が逆転する。物価下落が続き、実質金利水準が低下しないことが、企業行動、家計行動に大きな影響を与える。企業については、実質金利が高いので資金調達コストが高くなり、銀行借り入れを抑制する。そして、設備投資など成長分野への資金供給が不十分になる。家計では、資産運用面において名目利回りが低い元本保証商品で運用しても、実質利回りが高いので特に不利ではない。したがってリスク商品への資金の過小供給となり、個人から企業を支える資金が出てこないという、構造的な問題がある」と述べた。
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