みどり岡山 市民自治講座2013「福島を忘れない 私たちに求められていること」 2013.1.19

記事公開日:2013.1.19取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2013年1月19日(土)14時から、岡山市のウィズセンターで、「みどり岡山 市民自治講座2013『福島を忘れない 私たちに求められていること』」が開かれた。福島県いわき市の佐藤和良市議が講演を行い、市民による放射能測定室での結果報告、福島の実状や問題点について語った。

■全編動画

0分~ 奥津氏あいさつ/9分~ 佐藤氏講演(10分~34分 「たらちね」報告)/2時間1分~ 大塚氏報告/2時間14分~ 質疑応答
  • 出演者 奥津亘氏(弁護士、さようなら原発1000万人アクション in 岡山 実行委員長) 佐藤和良氏(いわき市市議会議員、福島原発震災情報連絡センター共同代表) 大塚愛氏(子ども未来・愛ネットワーク)

 最初の挨拶で、奥津亘氏は、今回の衆議院選挙における自民党圧勝について、「脱原発と言うのは簡単だが 具体的な選挙行動の中で、有権者の共感を得て投票に結びつけることができなかった。現実をどうやって見据えていくかが、我々の課題であり、3.11の事故を受けて、実際に苦しんだり、抵抗してる人たちに、共感し、想いを共有することができるかが課題」と述べた。

 いわき市市議会議員の佐藤和良氏は、市民が行政に先駆けて立ち上げた、放射能測定室での一年間の活動報告をした。併せて、中学生の頃から原発のために地域が引き裂かれていくことに疑問を感じていた、という自身のこれまでの活動、事故後にゴーストタウンと化したいわき市の様子などを説明した。

 「事故収束宣言は、政治的に行われた、いかがわしいものであり、法律的に非常事態宣言は出されたままである」と指摘する佐藤氏は、福島第一原子力発電所の1号機から4号機が、安定して運転できる状態で冷温停止をしていない点を説明し、「東電の発表でも、毎時1000万bqの放射性物質が放出されており、毎日2億4000万bqの放射性物質が放出されている計算にもなる。福島原発事故は終わっていない」と述べた。

 また、大量被曝の原因となったSPEEDI(予測情報緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による情報隠しの問題を説明し、「国も県も、ただちに影響はないとし、避難しなくても良いという状況にしてきた。国策として、棄民政策、留置政策が行われている。これは犯罪である」と述べた。また、3.11以降、県民健康管理調査検討委員会の座長も務める山下俊一福島県立医大副学長によって『放射能安全神話』が広められていった問題を指摘し、「我々は強制的に被曝させられている。不安の解消が目的化されている健康管理調査は、本来、癌や、その他さまざまな疾病の未然防止を目的としなければおかしい」と述べ、人を人として扱わず、調査はするが、命を守る立場をとらない検討委員会の姿勢を問題視した。

 除染については、「1兆円の除染マネーを村に還流するためのもの」であることを指摘し、原子力ムラの再生のために行われている点を説明した。続けて、国による補償金の有無により、地域間に格差が生まれ、被災者同士が分断されていく問題点も指摘した。

 日本を滅ぼすリスクを背負ってまで、原発を継続させていく国の姿勢を危惧する佐藤氏は、「人の復興なくして、日本の再生はない。これだけの事故が起こったにもかかわらず、何事もなかったかのように、再び原発を推進していくことは、明らかに新たな危機を作っている。経済活動の原理はカネではなく命である、と社会の中にひとつの合意が形成されるところまで持っていかないと、脱原発は実現できない」と訴えた。

 川内村に12年住み、原発事故後に岡山に移住した、「子ども未来・愛ネットワーク」代表の大塚愛氏は、自身の活動の様子と、事故以来、初めて川内村に帰った時の様子を報告した。「先の見通しが立たない仮説住宅で生活するよりも、我が家で生活できる方が安心という理由から、帰ることもひとつの選択肢である。しかし、避難先から戻ってきた人たちが、被曝の不安を感じながら生活している」と述べ、「原発さえなければ、あんなに豊かな里だったのに、という想いが強いが、地域とつながって、できることをしていきたい」と語った。

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