2013年1月12日(土) 13:30~名古屋YWCA 2Fビックスペースで、元読売新聞記者の山口正紀氏による講演会「〈壊憲〉勢力の台頭に抗して-領土・沖縄・オスプレイ、そして日米安保-」が行われた。【※ボランティア有志による講演会要旨を追加しました】
(文字起こし・要約:ボランティアスタッフ榊原)
2013年1月12日(土) 13:30~名古屋YWCA 2Fビックスペースで、元読売新聞記者の山口正紀氏による講演会「〈壊憲〉勢力の台頭に抗して-領土・沖縄・オスプレイ、そして日米安保-」が行われた。【※ボランティア有志による講演会要旨を追加しました】
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第9条の会なごや講演会
安倍〈壊憲〉政権とどう闘うか
~領土ナショナリズムと安保・沖縄・原発~
講師:山口正紀さん 2013年1月12日 名古屋YWCA
2年前、名古屋で講演をしたとき、改憲に向かう政権とメディアという話をした。その時もそれなりに危機感を持って話したが、その後、野田政権が成立して、自民党がそれまでできなかったことをどんどんするようになり、最終的には民主党を壊してしまった。
〈壊憲〉勢力の台頭が次の選挙で勝てば、憲法が日本でできて以来初めての危険的な事態が目の前に迫ることになる。そこでタイトルを、「安倍〈壊憲〉政権とどう闘うか」とした。いちジャーナリスだけでは対抗のしようがないので、みなさんと力を合わせて闘っていきたい。今回も長いレジュメを作った。前半では、なぜ民主党政権が壊れたのかの理由を考えてみたい。後半では安倍政権との対決の姿勢を述べ、みなさんからのご意見を伺いたい。
レジュメの〈はじめに〉に書いたとおり、2012年12月16日、衆議院選挙の開票速報を見ていて、ストレスでスイッチを切りたくなった。自民党と維新の会で、3分の2を大きく上回ってしまった。これでいよいよ、安倍や橋下が考えている方向に、日本が進む大きな転換点になるのだと思った。日本人、なんてバカなんだ、という思いを抱いた。
けれどそれだけで絶望感に陥っていてはいけないと、選挙結果を分析してみた。小選挙区制のカラクリ、民主党が誰も私に投票しないでくれという政策を行ってきたことで、有権者は投票する先を失った。未来の党も、小沢の隠れ蓑とされ、選択肢がなくなった。自民党に投票した人は有権者の16%、これで圧倒的な勝利を収めてしまった。
自民党は再稼働に向けて動き出している。けれど世論をみれば、原発反対は圧倒的、消費税増税にも多数は反対、憲法9条改憲も反対が多いという状況である以上、民意と政権とが対立することは目に見えている。
普天間を最低でも県外と言った鳩山、労働者派遣法の見直し、取り調べ可視化、それらは民主党のマニフェストにあった。孫崎享さんの『戦後史の正体』がベストセラーとなっているが、戦後政治史においては、やはり日米の関係が最重要だった。財界と官僚の抵抗。それらがマスメディアを使って、民主党政権を3年半でつぶしてしまった。
いまも許しがたいと思っているのは、検察による小沢攻撃。無罪判決が出るまでの3年、小沢氏に容疑者としてのレッテルを貼り続けた。捜査報告書を捏造してまでだ。それを検察審査会に回してしまう。刑事被告人として、マスメディアは報道し、無罪判決が出ても「灰色無罪」を報道しつづける。こういう検察の〈犯罪〉、疑惑の証拠もない、むしろ検察が証拠を捏造した。反小沢、自分たちの既得権益を壊そうとする小沢をつぶせという動きが、民主党を壊す入口となった。こうした一連の流れが総括されていない。ここをはっきりさせる必要がある。
普天間は最低でも県外といった民主党の基本方針を、官僚らがつぶした。官僚達は民主党が政権をとった直後、大臣のところに行って、毎日ブリーフィング。抵抗できないほど官僚たちに取り囲まれ、攻撃を受ける。
たとえば死刑制度反対だった千葉元法務大臣。サインをしなければどうなるか、毎日攻撃された。民主党の議員も、そういう状況にある大臣を助けなかった。そうしてまず、北澤元防衛大臣がつぶされた。普天間の辺野古移設を受け入れなければ、日米同盟は壊れると、官僚たちは言い続けた。
メディアには毎日、ジャパンハンドラーの発言が掲載される。アメリカの高官たちの発言がそのまま出てくる。それを見て一般の人は、鳩山政権は危ないことをしようとしている、日米同盟は危なくなる、と思うようになる。「読売新聞」だけでなく、「朝日新聞」までもが〈論理的〉に日米同盟の重要性を強調し、キャンペーンを張っていく。
民主党の一番重要な政策は、1年ももたずにつぶされ、支持率も急降下していく。アメリカ、財界、官僚の攻撃とともに、内側から壊したのが、民主党右派。菅は、民主党のなかでも比較的まともと思われていたにもかかわらず、右派に担がれたことで、小沢と対立するような政策を打ち出していく。
小沢は、アメリカや官僚と対峙していこうという立場だった。そうした小沢の周りに、たとえば取り調べの可視化、可視化法案を成立させようとしたような人たちがいた。本来なら、菅もそうしたなかにいるはずの人物だったのに。
菅政権のもとで、中国との対立の前段階が作られてしまった。前原主導で、「尖閣諸島について解決すべき領有権問題は存在しない」と、2010年6月8日の菅内閣の初閣議で閣議決定してしまった。これは「産経新聞」だけが報じた。中国を仮想敵国とした新「防衛計画の大綱」により、防衛力が手薄だと、南西諸島に人々の関心を集めたい。そのために前原がやったこと。それにより、領土ナショナリズムが盛り上がっていった。
3.11以後、政権にあった菅は、はじめて市民派に戻ろうとした。もともと民主党は電力労連の支持を受けているので原発推進だった。けれど菅は、反原発を打ち出した。途端に菅おろしが始まった。菅が唯一良いことをしたのは、浜岡原発を停止させたこと。そして登場するのが野田政権。
野田は政権に就いた直後の2011年9月22日、国連で、「日本は原発から撤退しない」、日本は原発を続ける、と世界に向けて宣言した。科学者は誰も言っていないにもかかわらず、「事故収束、年内に冷温停止」と言ってしまった。アメリカの支持を得ようとした。
そして、大飯原発の再稼働を行った。ここで上手くつかったのが橋下。ひとつだけでも動かすことが、野田にとっては重要だった。原発がなくても日本の電力はまかなえることが実証された。そうなると何のために原発を行っているのかとなるからだ。
消費税増税により小沢グループを民主党から追い出した。これが野田の最大の〈犯罪〉だと思う。そして、総選挙、民主党政権崩壊の〈自爆テロ解散〉へと進んだ。
安倍が、憲法96条の「改定」に取り組みたい、これには維新の会も協力してくれる、と発言した。改憲発議要件の衆参両院の3分の2を、過半数にするという提案をした。「憲法96条改正めざす議員連盟」を3.11直後の6月に設立。あまりに報道されていないが、自民党の第一次憲法草案を作ったのは、いまはもう自民党に在籍していない与謝野と舛添だ。舛添は当時、96条から憲法に風穴を開けると発言した。
安倍もさっそく改憲を言い、維新の会の松井幹事長も同調していた。今後、自民・維新の会だけでなく、民主党内の改憲支持派も一緒になって動いていく可能性がある。
アメリカも9条改憲に圧力をかけている。アフガン・イラク戦争で嵩んだ軍事費の負担を日本に期待しての圧力だ。いま安倍が、集団的自衛権の行使はいまでもできると発言しているのは、こうした背景があってのこと。自衛隊を南西諸島に持って行きたい、自衛隊を国防軍として海外にもっていきたいというアメリカの思惑がある。
ここで、オキナワとフクシマをつなげて考えていくことの必要性を考えたい。高橋哲哉さんが、「犠牲のシステム」と表現したように、オキナワとフクシマには共通項がある。ともに利益は受けず、犠牲のみを強いられてきた。しかしいずれは、日本全土のオキナワ化・フクシマ化が起きるのではないか。
原発再稼働だけでなく、大間にも原発を作ろうとしている。止めていたって危険な原発であるにも関わらず、まだ動かそうとする。安倍政権がやろうとしていることは、オキナワ・フクシマを全土に広げていくことだ。
憲法からすれば、オキナワ・フクシマは、平和的生存権が失われている。そこにあるのは恐怖と欠乏、かわりに大企業、ゼネコンはやりたい放題だ。「朝日新聞」がスクープした除染とゼネコンのつながり。飯舘の若者は、完全に絶望している。もともと除染が無理にもかかわらず、除染事業を進めている。
オスプレイ配備も同様だ。沖縄だけでなく、自衛隊が買おうとしている。憲法の適用外にされた沖縄と福島を見ることで、この先の日本全体が見えてくる。沖縄・福島の思いを共有することが大切だ。
「ハシズム」。2012年9月に産経新聞社とFNNが行った世論調査では、比例代表の投票先として、橋下市長が率いる「大阪維新の会」が、23.8%で1位になった。石原と組むことで、支持はやや下がったが、2位の自民党(21.7%)3位の民主党(17.4%)を上回った。
大阪知事時代からメディアは、毎日、橋下が話すことを流す。まるですばらしいことをやったかのように。大阪のとくに「朝日新聞」はヒドイ、橋下を持ち上げる。橋下は、テレビ、マスメディアの使い方が上手い。まるで非正規、ワーキングプアを救う存在であるかのように。既得権益への攻撃を、労働組合攻撃にすり替える。重要なこと、もともと非正規雇用を生んだのは誰か、は問われない。けれど大阪での人気は高い。
橋下はもともとサラ金の顧問弁護士だったので、取り立てになれていて口が上手い。それがテレビに出るようになって、人気が出た。彼が大阪市長になって何か良い政策があったかというと、ない。高齢者が利用していたバスを切って黒字にしたと。〈愛国者〉というなら、尖閣のことではなく、なぜ、米軍機が墜落し被害の出た沖縄のことを言わないのか。
何のために尖閣問題を取りあげているか、その背景を見ることが大切だ。戦前、日本の帝国主義がアジアを攻撃した。そこまで遡らなければならない問題。けれど領土ナショナリズムによって、石原や橋下が支持される流れになっている。安倍が行く先を、若者が日の丸をもって見ている。在日特権というのなら、アメリカが筆頭のはずだ。
今回、自民党は勝てる選挙で、改憲を挙げた。けれどそれを、マスメディアは取りあげなかった。紙面は経済問題ばかり。「改憲」の文字はほとんどなかった。自民党の憲法改正草案のなかで、表現の自由に関する21条はじめ、「公の秩序」があちこちに書き込まれている。これは明治憲法と同じ。そうした改憲草案を、自民党は今回の選挙で公約にしたのに、「産経新聞」を除く大手新聞は取りあげなかった。
安倍は、来年7月までこのままもっていこうとして、改憲を口にしなくなった。マスメディアもそうした流れに呼応している。
安倍新政権のメンバーを見ると、稲田、新藤、下村、古屋、超タカ派のお友達内閣だ。麻生・財務相は、国債発行枠44兆突破を言い、茂木経産相は、「原発ゼロ政策」の再検討を言っている。
ただ、安倍政権は、前回のときほどには人気は高くない。小泉や鳩山が就任した当初のような熱い人気はない。いっぽうで、脱原発を求める世論は高い、ここが重要だ。9条改憲でも反対は多数だ。沖縄の動きについても、知事は保守にもかかわらず、辺野古新設、オスプレイ反対を言っている。沖縄は日本政府が何を言っても従わないという姿勢、この闘いの力も安倍政権にとっては難題のはずだ。
経済政策について、「アベノミクス」と言っているが、三本の矢は自民党がずっとやって来て、折れた矢。それを再度言っているだけ。「69ヶ月、戦後最長の好景気」と言われ、景気回復していた小泉時代、庶民の生活は豊かにならなかった。儲かったのは大企業だけ。非正規労働が拡大し、賃下げが進み、格差・貧困が拡大した。それをマスメディアは伝えない。彼らも恩恵を受けているからだ。
三本の矢は的外れ。マスメディアがちゃんと批判しないことで、幻想が生まれている。本当にやらなければいけないのは、内需を拡大するために、大企業が隠している内部留保を吐き出させ、賃上げ、雇用確保により安定した内需を作ること。自民党も分かっているが、それをやると大企業の思惑に反するからやろうとしない。
安倍・維新の会が主張する〈国を守る闘い〉の実態を明らかにすることが重要だ。安保は国を守ってきたのか。彼らが言っている国とは何なのか。国民のことではないのは明かだ。少子高齢化の少子。若い人は結婚して、子どもをもうけられる状況にない。そうした状況を誰が作ってきたのか。こうしたことを、若い人にどう伝えていくか、対話の重要性を思っている。
安倍がターゲットにしている96条の問題を、どうやって人々に伝えていくか。国民投票で、国民の、ではなく有効投票の過半数、にしようとしていること。憲法審査会が再度作り直しになる。そこが何をしていくか、注目・監視していくこと、夏の参院選で、改憲勢力の「3分の2」確保を阻止すること、それらが重要だ。
男性:自公連立にそれなりに期待していた。50~60年の垢はそう簡単には取れないというのが、有権者が民主党に投票しなかった最大の理由だと思う。同時に、日本の有権者事態が右傾化、テレビに登場するコメンテーターの程度の低さ。聞くに堪えない評論をする評論家が多い。それが怖い。日本の有権者を馬鹿にしていく。
山口:テレビのコメンテーターはまともなことを2回言うと降ろされる。「とくダネ!」に出ていた岩上さん。上杉さんは1回で降ろされた。「東京新聞」は3.11で大きく転換したメディア。記者たちが、一生懸命勉強、活動している。記者たちもとても元気、だからこそ、スクープも出る。「朝日新聞」は「プロメテウスの罠」も書いているが、それは他社から移ってきた記者が書いている。そういう記者達たちが、ヘッドハンティングのようにして取られてきた。東京では「朝日新聞」の読者は、どんどん「東京新聞」に流れている。それを引き留めているのは、彼ら、他者から移ってきた記者たちの活動によるところが大きい。「毎日新聞」も社内でいろいろな議論があって、岸井さんも反原発をテレビで言うようになった。「毎日新聞」の労組が地方の労組と一緒になって頑張っている。「読売新聞」はどんどん右になってきている。
女性:山口さんのメディアに対する批判・警告はすばらしいと思っている。現場の記者のなかにも、頑張ってやっている人がいる。けれどその結果がいまの現状。ますます自民党キャンペーンをやることは分かっている。私たちも学ばないといけない。新聞不買運動をするしかない。とくに「朝日新聞」。なぜなら護憲派の人で、朝日を読んでいる人がいるから。朝日の罪は大きい。ツイッターを始めた方が良い。大きな記事はツイッターでも拾える。ただ、ツッターでもネトウヨはすごい。お金をもらってやっている人がいる。同時にツイッターは、どうしても同じ考えの人と固まりやすい。ネット外の人にどう伝えていくかが重要。そして不正選挙の問題。「ムサシ」という開票ソフトシステム会社について、明らかにしないといけない。国民投票も改竄される恐れがある。不正選挙をどう思うか。
山口:不正選挙のことはあまり詳しくはない。むしろこの小選挙区制、オセロゲームのように取られていくシステムの方を、考えるべきだと思う。すぐに変わらないとしても。メディアの問題も、不買運動を呼びかけても成功しない。それを組織的にやっていくのは、右翼だ。新聞テレビがいまこういうことを言っていると知ることが大切。石原は15億も寄付を集めた。寄付したのはどういう人なのか、それを知ることも大切。ネット右翼も、展望がないのにやっている。ネットを通じて広がりがあり、一定の基盤を作っているのはたしか。ただ、高齢者にとってハードルが高い。運動をしていて、いろいろなことを知っている高齢者と、ネットはできるが、政治的な知識が少ない若い人。かろうじて運動を支えている人たちの考えを、少しずつでも伝えていくことが大切だ。世の中どんどん悪くなっているように見えるが、辛うじて頑張っている人たちはいる。その人たちの活動を見ることで、ネットワークができていく。新聞購読者が、良い記事を支持することで、それを書いた記者が社内で発言しやすくなる。そうした行動も大切だと思う。
男性:野田政権が潰れたのも、大飯原発再稼働をめぐって全国で反原発の運動がおきたことが影響している。オスプレイ配備反対も全国で広げることで、安倍政権も何とかしなくてはとなってくる。参議院選挙以前に、安倍が中国の領空侵犯に関してちゃんと対応するよう、関連部署の職員を集めて言ったという。8月選挙と考えていると足をすくわれる。いまこころから、原発再稼働反対、オスプレイ配備反対の動きを作っていかないといけない。
山口:安倍はジレンマを抱えている。具体的に自衛隊を動かして衝突に向かうと、経団連が止めろという。あの米倉でさえ、損失の大きさから止めろと言った。尖閣問題で国を守ると言うが、あそこで何を守るのか。誰のために。いま必要なのは、沖縄、福島の人たちを守ること。そうしたことを若い人たちに伝えていくことが大切だ。オスプレイを自衛隊が取り入れようとしている。それはどういうことなのか。それぞれの地域で、具体的な反対運動を起こしていく。いま、あちこちの運動を見ていると、労働組合排除に向かっている。政治的な問題を持ち込むなと。けれど一番強いのは、働いている人だと思う。
男性:小沢さんにずっと期待していた。小沢さんの動向を知りたい。
山口:メディアで出ていることしか知らない。メディアでは、小沢さんに関することはタブーになっている。未来の党ができたときも、腐すことしかしていない。小沢さんの周りにいたひとたちも、今回の衆議院選で負けてしまった。ただ、今回の選挙で学んだ参議院の人たちがどうしていくか。いろいろな勢力が一緒になって。そこまで幅広くできればと思うが。あまり小沢さん個人に頼らずに。
女性:なぜ、暴力、領土ナショナリズムに拘るのか。遠くの小さな島に。なぜ国民は盛り上がるのか。昔からの権力や暴力に、なぜ固執するのか。
山口:石原は、日本人の誇りを中国に傷つけられたと言っている。日本がずっと天皇制を背景として行ってきた侵略主義。それと同じことをまたやろうとしているということを、若い人に伝えていかないといけない。
男性:脱原発、9条改悪反対、でまとめて、一緒に頑張って行いくことが大切だと思う。もしできたら、核の問題についてもふれてほしい。原発輸出にお金を付けると報道されている。
山口;以前、原発の継続は核保有につながると、石破も明言している。石原も橋下も安倍も、それが根っこにある本音。核を持つ狙いは何か。一度でも福島を歩けば、原発事故が何をもたらしたのか、誰でも分かるはず。土が剥がされ、こどもたちが遊ばない校庭、子どもが遊ばない町。頭の中で核保有を考えている人に、もっと日常の生活を考えるよう訴えることが必要だ。
女性:橋下が政界に出てきて3年、なぜ彼をあそこまでメディアが持ち上げるか。
山口:視聴率が挙がる。テレビは企業、儲かるからだ。テレビには、ジャーナリズムと企業としての機能の両方がある。そしてまともなジャーナリズムが少ない国が、日本とアメリカだ。橋下は視聴率が取れる存在として使われている。絶望的だけれど、日本社会がいかにメディアにだまされやすい存在になっているか、そうしたことを明らかにする運動をしていくことが必要。情報をどう受け止めるか。洗脳的、報道しないことでつぶしていく。メディアリテラシーを高めていくことが重要だ。
女性:沖縄は日本政府と対立する勢いで頑張っているが、そこで沖縄を切り離そうとしている印象がある。沖縄の問題だけではない。本土に住む者は沖縄の民意をいかに受け止めるか。沖縄の問題、というだけで済まさないで。沖縄だけに安保の負担を押しつけている。
山口:沖縄に学ぼうという姿勢が必要、沖縄は学ぶ対象だと思う。自分たちのところでも活かしていく。ジャーナリストのなかでも、沖縄に学ぼうとしているひとたちがいる。沖縄のジャーナリズムの取り組みは、県民の闘いと一体となっている。「沖縄を返せ」ということばが、新聞見出しになった。自分の住んでいる町を、自分たちに返せ。沖縄の人たちは、もうとっくにそこに行っている。そこに学ぶことが必要だ。